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第一章
太陽の騎士
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数で圧倒的に勝るサクソン人を倒したアーサーの武名は、徐々に広がり、オークニー島のロット王の元にまで広がっていた。ロット王の妻、モルゴースがロット王に話しかけた。
「我が弟ながら、アーサーの優れた武勇にはまことに屈服の極みですわね、ロット王。」
「ふん、小僧が、調子にのりおって。」
ロット王は不機嫌そうにそう言った。ロット王の妻であるモルゴースは、アーサー王の血の繋がっていない姉である。なので、アーサーはロット王にとって義弟にあたるが、ロット王はアーサーのことが気に食わなかった。ロット王は欲深き男だった。今はオークニー島という最北端の小さな島の領主だが、いずれは自らの武勇を持ってブリテンを支配し、そのままイングランドを統一しようとしていたのだ。だが、自分が就くはずのその座にはまだ年端もいかぬ子供がついているのだ。そのことがとにかく腹立たしかった。だが、ロット王はアーサーの武勇を認めてもいた。あの時、見た鬼神の如きアーサーの戦いぶり。久しぶりに強き者に会った。そこで、ロット王はアーサーの力を見極める為に、自分の息子をアーサーの元へと遣わした。そう、その息子こそが、この物語の主人公の一人、ガウェインである。
オークニー島を後にしたガウェインは、一人、物思いにふけながら馬を走らせていた。
(何故、父は俺をアーサーの元へ遣わしたのか…。)
ガウェインは父からなんの為にアーサーの元へ向かうのか伝えられていなかった。ただ、一言アーサーに会ってこいと言われただけだった。
ガウェインは、今年で17。歳の近い王、アーサーに純粋に敬意を示していた。だが、父はアーサーを敵視している。
(俺はアーサーを暗殺すればいいのか?
それともアーサーの元に仕えればいいのか?)
ガウェインは、目の前に映るアーサーの居城、キャメロット城を見据え、馬をとばした。
「お初にお目にかかります、アーサー王。ロット王の長男、ガウェインでございます。」
キャメロット城についたガウェインは目の前の青年王に恭しく頭を下げた。
「表を上げよ、ガウェイン卿。それで、かの偉大なる王、ロット王のご子息が私になんの用かな?」
まだ15歳とは思えぬ圧倒的な威圧感にガウェインはアーサーが只者ではないことを一瞬で見抜いた。
「此度は、我が父、ロット王からアーサー王へ献上したき土産の品がありまして、参りました。」
ガウェインはアーサー王の目を真っ直ぐに見据え、答えた。
「ほう。その献上したき土産の品とは如何なるものか?」
ガウェインは、それを聞き、おもむろに立ち上がって答えた。
「父、ロット王が献上したき物、それは私そのものでございます!私をアーサー王の配下にしてもらいませんか?」
ガウェインは父ロット王がアーサーの力を見極める為に自分を送ったのだと判断した。そして、その為にもまずはアーサーの配下になることにしたのだ。もちろん、アーサーが王に相応しくないと判断すれば、命を奪い、その首を父に献上するつもりだ。
アーサーはその言葉を聞き、ただ黙ってガウェインの目を見つめた。そしてゆっくりと口を開いた。
「なるほどな。お前は俺の力を見極めようとしているな?」
ガウェインは驚愕した。俺はそんな素振りは全くしていない。なのに、アーサーにはすべてお見通しだった。
「そして、俺が王に相応しくないと判断すれば、俺をその剣で殺そう、とそういう算段なのだろう?」
ガウェインは恐怖した。この男は、人の心を読み取る能力でも身につけているのか。ガウェインはひと呼吸つくと、答えた。
「王の仰る通りです。私は貴方様の力を見極める為にここに来ました。だが、父からそう命じられて来たわけではありません。これは私の独断です。」
ガウェインはこう言うことで、自分が失敗を犯しても、父に迷惑がかからないようにしたのだ。
「なるほどな。いいだろう、我が配下に加えてやろう。だが、それには試験がある。わが配下の誰か一人と一騎打ちをし、勝利すれば円卓の騎士の一員としてやろう。」
「分かりました。それで、その相手とはどなたでしょうか?」
「わしが行こう。」
ガウェインの問いかけにそう答えたのは、その場にいたアーサーの配下の誰よりも年配の老騎士、セグラントだった。だが、ガウェインは油断しない。見た目だけで物事を判断するのは愚か者のすることだと知っていたからだ。
「良いだろう。セグラント、ガウェイン卿の力を見極めてやってくれ。」
こうして、ガウェインとセグラントの一騎打ちが始まった。
「我が弟ながら、アーサーの優れた武勇にはまことに屈服の極みですわね、ロット王。」
「ふん、小僧が、調子にのりおって。」
ロット王は不機嫌そうにそう言った。ロット王の妻であるモルゴースは、アーサー王の血の繋がっていない姉である。なので、アーサーはロット王にとって義弟にあたるが、ロット王はアーサーのことが気に食わなかった。ロット王は欲深き男だった。今はオークニー島という最北端の小さな島の領主だが、いずれは自らの武勇を持ってブリテンを支配し、そのままイングランドを統一しようとしていたのだ。だが、自分が就くはずのその座にはまだ年端もいかぬ子供がついているのだ。そのことがとにかく腹立たしかった。だが、ロット王はアーサーの武勇を認めてもいた。あの時、見た鬼神の如きアーサーの戦いぶり。久しぶりに強き者に会った。そこで、ロット王はアーサーの力を見極める為に、自分の息子をアーサーの元へと遣わした。そう、その息子こそが、この物語の主人公の一人、ガウェインである。
オークニー島を後にしたガウェインは、一人、物思いにふけながら馬を走らせていた。
(何故、父は俺をアーサーの元へ遣わしたのか…。)
ガウェインは父からなんの為にアーサーの元へ向かうのか伝えられていなかった。ただ、一言アーサーに会ってこいと言われただけだった。
ガウェインは、今年で17。歳の近い王、アーサーに純粋に敬意を示していた。だが、父はアーサーを敵視している。
(俺はアーサーを暗殺すればいいのか?
それともアーサーの元に仕えればいいのか?)
ガウェインは、目の前に映るアーサーの居城、キャメロット城を見据え、馬をとばした。
「お初にお目にかかります、アーサー王。ロット王の長男、ガウェインでございます。」
キャメロット城についたガウェインは目の前の青年王に恭しく頭を下げた。
「表を上げよ、ガウェイン卿。それで、かの偉大なる王、ロット王のご子息が私になんの用かな?」
まだ15歳とは思えぬ圧倒的な威圧感にガウェインはアーサーが只者ではないことを一瞬で見抜いた。
「此度は、我が父、ロット王からアーサー王へ献上したき土産の品がありまして、参りました。」
ガウェインはアーサー王の目を真っ直ぐに見据え、答えた。
「ほう。その献上したき土産の品とは如何なるものか?」
ガウェインは、それを聞き、おもむろに立ち上がって答えた。
「父、ロット王が献上したき物、それは私そのものでございます!私をアーサー王の配下にしてもらいませんか?」
ガウェインは父ロット王がアーサーの力を見極める為に自分を送ったのだと判断した。そして、その為にもまずはアーサーの配下になることにしたのだ。もちろん、アーサーが王に相応しくないと判断すれば、命を奪い、その首を父に献上するつもりだ。
アーサーはその言葉を聞き、ただ黙ってガウェインの目を見つめた。そしてゆっくりと口を開いた。
「なるほどな。お前は俺の力を見極めようとしているな?」
ガウェインは驚愕した。俺はそんな素振りは全くしていない。なのに、アーサーにはすべてお見通しだった。
「そして、俺が王に相応しくないと判断すれば、俺をその剣で殺そう、とそういう算段なのだろう?」
ガウェインは恐怖した。この男は、人の心を読み取る能力でも身につけているのか。ガウェインはひと呼吸つくと、答えた。
「王の仰る通りです。私は貴方様の力を見極める為にここに来ました。だが、父からそう命じられて来たわけではありません。これは私の独断です。」
ガウェインはこう言うことで、自分が失敗を犯しても、父に迷惑がかからないようにしたのだ。
「なるほどな。いいだろう、我が配下に加えてやろう。だが、それには試験がある。わが配下の誰か一人と一騎打ちをし、勝利すれば円卓の騎士の一員としてやろう。」
「分かりました。それで、その相手とはどなたでしょうか?」
「わしが行こう。」
ガウェインの問いかけにそう答えたのは、その場にいたアーサーの配下の誰よりも年配の老騎士、セグラントだった。だが、ガウェインは油断しない。見た目だけで物事を判断するのは愚か者のすることだと知っていたからだ。
「良いだろう。セグラント、ガウェイン卿の力を見極めてやってくれ。」
こうして、ガウェインとセグラントの一騎打ちが始まった。
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