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第一章

若き騎士王

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「緊張しているのか?アーサー。」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえ、アーサーは後ろを振り向いた。
「兄上。確かに緊張はしています。ですが、俺は今日からブリテンの王です。ブリテンをより良き国にする為に、覚悟を決めていたところです。」
アーサーの兄、ケイはそれを聞き、安心したように微笑み、アーサーの肩をたたいた。
「お前は強い。弟よ、俺が抜けなかったエクスカリバーをお前が抜いたのだ。俺の分まで頑張ってくれよ。」
「もちろんです。ですが、兄上にも文官として俺と共に」
「すまんな、アーサー。俺はちとこれから旅に出ることにしたんだわ。行方不明の父を探しに行かねぇとだからな。全く困った親父だ。」
アーサーは残念に思ったが、アーサーが王位に即位すると決まってから行方を眩ませていた父のことは確かに気がかりだ。
「そうですか。では、父のことお願いします、兄上。」
「おう!任せときな!お前もしっかりな!じゃあ、また会おう!」
ケイはそれだけ言って、魔法を使い、その場から姿を消した。
アーサーは、王宮からブリテンを見渡し、改めて良い王となることを決意した。この時、アーサー、齢15歳であった。

ケイがブリテンを後にした数時間後、アーサーの王位即位式が始まった。ブリテンと同盟国にある様々な国からも客人が訪れ、その数はアーサーが今まで見たことも無いほどであった。アーサーは、前王ウーサーの最強の配下、セグラントの前まで行き、冠を授かった。
そして、セグラントが高らかに叫ぶ。
「これにて!ここに、ブリテンの新たなる王、アーサー王の誕生を宣言する!!!」
湧き上がる喝采、歓声。
アーサーはそれを手で制し、民衆の前に立った。
「私の名は、アーサー!アーサー・ペンドラゴンである!亡き父の跡を継ぎ、王として、我らが母国、ブリテンをより良き国にする為に、常に正しく優れた政治を行うことをここに宣言しよう!皆の者、私を信じ、ついてくるがよい!」
アーサーの宣言が終わるや否や、再び大きな歓声が起こる。
アーサーはそれを見届け、王宮の中へと戻っていった。

アーサーが王宮へ戻った後、民衆の中に紛れ込んでいたオークニー島の王、ロット王は隣にいたゴールの王、ユリエンス王に話しかけた。
「ユリエンス王よ、全く嘆かわしいことだとは思わんか?」
ユリエンス王は、眉をひそめ、静かな声で聞いた。
「何がだ?」
「何がだ、ではなかろう。アーサー・ペンドラゴンと言ったか、あんな小僧が、王だと?ブリテンももう終わりだな、そろそろ手を切った方が良いかもしれんぞ?」
ユリエンス王は普段から険しい顔をさらに険しくし、言った。
「そんなことをここで軽々しく言うものではない、ロット王よ。確かにまだ子供かもしれんが、あの少年の目を見れば、中々の大物だということが分かる。」
「はっ!どうだか。確かに武勇は優れるという話をよく聞くし、礼儀正しくもあるな。だが、所詮は子供。戦場に出れば、腰が引け、まともに戦うことも出来ないだろうよ。」
ロット王がそう言い、鼻で笑った時、警鐘が鳴り響いた。
「敵軍!!!敵軍が攻めてきたぞー!!!サクソン人だー!!!」
ロット王はそれを聞き、笑いながら言った。
「ふはは!何とタイミングの良いことだ!では、アーサー王のお手並み拝見といきましょうかな、ユリエンス王よ!」
ユリエンス王は、そんなロット王を放って、とっとと馬を走らせていた。

サクソン人侵攻の報せを聞き、アーサーは出陣の準備をしていた。サクソン人、それは祖父、コンスタンティン王の時代から、ブリテンへの侵攻を繰り返していた蛮族。父、ウーサーは病死だと言われているが、ブリテンに忍び込んだサクソン人に殺されたのだとアーサーは思っていた。だからアーサーは初陣で、サクソン人と戦えることを嬉しく思っていた。恐怖心など微塵もない。
「行くぞ!皆の者!憎き、サクソン人を皆殺しにしてくれようぞ!!!」
アーサーは号令を発すると馬を走らせた。そして、それに続くようにブリテンの兵がサクソン人に向かっていった。

ロット王とユリエンス王は部下を母国へ避難させ、高台からアーサーの戦いぶりを見ていた。そして、ロット王の表情からは先程のような威勢のいいものはとっくに消えていた。
「あの小僧、、。なんという強さだ。人間技には思えん、、。」
ロット王は、アーサーの鬼神の如き戦いぶりに完全に飲まれていた。それはユリエンス王も同じようで、彼に至っては言葉も出ないようであった。
「ユリエンス王、奴とはしばらくの間は諍いは起こさない方が良さそうだな。だが、やはりまだ軟弱者よ。確かに戦いぶりは凄まじいが、軍の指揮能力はそうでもないな。このままでは数で押されるぞ。」
少し落ち着きを取り戻したロット王がそう言った。
「ふむ、確かにそうだな。」
ユリエンス王もやっと喋り、それに同調する。ロット王とユリエンス王はもう充分と言うように、自らの領地へと戻っていった。

ブリテン軍2万に対し、サクソン軍5万。圧倒的なまでの差であった。だが、その差を感じさせないくらいにアーサーは強かった。そして、ブリテンの兵も強かった。戦いにはあまり向いていなかったブリテンの民をここまで強くしたのはウーサーである。ウーサー自身が戦い方を何人かに教え、そしてその教えを更に広めていった結果、ブリテンの兵は強者揃いのサクソン人よりも遥かに強くなったのだ。また、アーサー自身の武勇はまさに人間離れしていた。アーサーが剣を振るたびに5,6人のサクソン人が吹き飛ばされていく。アーサーの気迫にサクソン人の士気は完全に消沈していた。こうして、サクソン人は為す術も無く、撤退していった。
「我々の勝ちだ!!ブリテンの民よ、よく戦った!!!君達は私の誇りだ!!」
こうして、アーサーは輝かしい初陣を飾った。そしてアーサーのこの武勇はブリテン以外の様々な国家にも聞き伝わることになるのであった。
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