中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

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生方蒼甫の譚

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「で、どうします?」
 サトシはそう言うと、一口大に切り分けたポークステーキを口に放り込む。うん。結構うまいよね。このポークステーキ。
「そうだな。今のままじゃ厳しそうだな。」
「やっぱりレベル上げるしかないですよね。」
 おう、ジャンキーだね。嫌いじゃないが、好きでもないな。もっと楽な方法探そうよ。
「お前、レベル上げ好きだね。」
「え?楽しくないっすか?自分が強くなるのって」
「そりゃ楽しいけどさ。なんか労力に見合ってない気がしないか?」
「そんなことないですよ。ミノタウロス結構経験値もらえたじゃないですか。」

 まあ、確かに破格の経験値だったことは確かだが、それに要した時間も半端なかったような……そこは無視ですか。
 とりあえず、さっき仕入れた情報に誘導したいな。できれば自然に。

「でさ、お前のスキルを活用したいと思うんだが」

「俺のスキルですか?なんか道具出します?」
 いや、そんな猫型ロボットみたいなことは頼むつもりないけどさ。

「攻撃と防御に使えないか?」
「攻撃と防御ですか?」
 サトシは復唱しながら視線を逸らす。かなり思案してるみたいだな。
 その割には、必死にポークステーキ切り刻んでるが。まあ、うまいしな。

「お前のスキル、触ってないと物を作れないんだっけ?」
「そっすね。取り敢えず触ると言うか、手から出すと言うか。」

「触れてない物からなんか出したりできない?ほら、地面から棘をビシャー!!って出したりさ。相手の体を石化させたりとかさ。」

「ああ、試したことがないんでわかんないですけど、いけそうな気はしますね。でも、どんな物質にします?硬いのが良いですよね。炭化タングステンとか……ダイヤモンドあたりですかね。」
「実在する元素しかダメなのか?ファンタジー要素強い物でも作れるんじゃね?」

「考えたこともなかったですね。……確かに架空の物質いいかもしれませんね。」

「今作れない?」

「食事中です!!」
 
 アイ……お前はオカンか。

「はい。」
 サトシ、シュンとするな。がんばれよ。

 まあ、とりあえず食事を済ませるか。

 ……

 食後のお茶を飲みながら、サトシとスキルについての確認作業をする。
 アイは片付けついでに食後のデザートを作りたいらしく台所に行ってしまった。
 
「まずは、手以外から出せるかどうかだな。」

「やってみますか。」

 サトシは意識を集中しているようだ。力んでは小首をかしげ、また力んでは腕を組み悩んでいる。なかなか上手くいかないみたいだな。

「ダメそうか?」
「できそうな気はするんですけどね。なんだかイメージしても、その通りに魔力が流れないと言うか」

「いま、どんなイメージしてる?」
「床から棘を出そうとしてます。」
「床に手をついて試してみたら?」
「ああ、そうですね。やってみます。」

 サトシは椅子から立ち上がると、床に手を付き念じ始める。すると。

 ビシャァ!
 カキィン!!
「無効」
 うおい!!
 俺に直撃したんですけど!!
 俺の周りの床から棘が飛び出してきた。

「殺す気か!」
「いや、死なないじゃないっすか。大丈夫だろうなぁと思って。でもよかったです。うまくいって」
 うまく行ってないよ。恐ろしい子。殺しに来たよ。完全に。

 まあ、いい。

「ちょっとスピードは遅いですけど、攻撃はできそうですね。」
「そうだな。ところで、これ何で作った棘?」
「これは氷ですね。」
「氷か。奴ら属性吸収持ってたから、役に立たないかもな。無属性で硬い材質がいいな。なんかない?ファンタジー要素強めの奴」
「そうですね。オリハルコンとかミスリルとかできたらいいですけど、実物を見たことないのでイメージできないんですよね。」

「完全に、サトシオリジナルみたいなのはダメなのか?」
「オリジナルですか……どんな物質が良いんですかね。」
 
「そりゃ、硬さと粘り強さを兼ね備えてて、化学変化を起こさなくて、軽い。となりゃ最高じゃね?」
「むしろ、硬さが無限大なら、粘り強さ無視してもよさそうな気も……」
「いいよ。どっちでも。これだから材料系は……」
「あれ、ルークスさんも工学系ですか?」
「いや、それは良いんだよ。別に。で、出来そうか?」

「ああ、やってみます。」

 ビシャァ!
 カキィン!!
「無効」
 うおい!!またかよ!
 また俺の周りの床から棘が飛び出してきた。

「今度こそ殺す気だったろ!」
「だから、死なないじゃないですか。」
「そういう問題じゃねぇんだよ。ったく。
 お、これがサトシオリジナルか。」
 今度飛び出してきた棘は、艶の無い白色だった。白磁というか、釉薬を付ける前の素焼きと言った感じか。
 棘を杖で叩いてみる。

 カキィーーン!
 
 甲高い音がしたが微動だにしない。
 撓むこともなく、折れるどころか欠けるような気配もない。

「これは強いな。」
「良いですね。」
 サトシも自分の剣を持ち出して切りかかってみる。

 カキィーーン!
 
 魔力を流しながら斬りつけたにもかかわらず、剣の方が刃こぼれする。

「これすごいですね。」
 サトシはそう言いながら、剣の刃こぼれした部分を撫でながら修復してゆく。器用な奴だ。

「この材質は良いな。これなら奴らも貫けるんじゃないか?」
「いけますかね。」
「イケるさきっと。ようやく光が見えてきたな。」

「じゃあ、このオリジナルの材質に名前つけましょうか。」
「名前?」
「やっぱり、発見者が名前を付けるべきだと思うんですよね。」
「まあ、発見者って言うか、発明者って言うか、製作者?」
「そうですね。何がいいかなぁ。」
「サトシメタルで良いんじゃね?」
「嫌ですよ。かっこ悪い。」
「なんだっていいだろ?どうせお前しか作れないんだし。」
「いや、そう言う事じゃないんですよ。ロマンですよ。ロマン。」
 よくわからん。
「そうだな。不滅の物質ですから、イモータライトってのはどうです?」
「どうです?じゃねぇよ。面倒くせえ。ガンダリウムでもルナチタニウムでも何でもいいよ。」
「良くないですよ。イモータライトです。」
「超合金で良くない?」
「えー。ダサくないっすか?」


「ねぇ。この床、どうすんの?」
 はしゃいでいた俺たちに、台所からやってきたアイの冷たい声が突き刺さる。

「どうすんだろう。」
「どうしましょう。」
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