305 / 321
終章
顕現
しおりを挟む
爆風が収まると、地面に横たわるフリードリヒの姿が見えた。
腰から下が吹き飛ばされ内臓が一部飛び出している。
「無茶しやがって……」
唸るような声を上げながらフリードリヒが上体を両腕で支えて起き上がる。
周囲に複雑な魔法陣が広がり、吹き飛ばされた下半身が徐々に再構築される。
上空からはパラパラと小さな肉片が落ちてきていた。
「おい!?あれ……」
フリードリヒの惨状を見てオットー達Sランク冒険者たちは言葉を失っていた。
サトシとルークスは、再構築が始まっている事を確認して視線をカルロスに移す。
画面上に映し出された上空の映像には、こぶし大の肉片が空中にとどまっていた。
その上に表示される「カルロス」の名前。
「まだ生きてるって事か?」
「いえ。見てください。変化しそうです」
ルークスの呟きに、サトシは「カルロス」のステータス表示を指さす。
すると、「カルロス」の表示がブロックノイズと共に消え去り、「administrator」と変化した。
こぶし大だった肉片は、みるみる大きな人型に変化する。そして、周囲の魔力を吸い込みながらぼんやりと輝き始める。
上空の変化に気づき、フリードリヒは下半身の再構築を急ぐ。
カールは輝きを増す人型の肉片を見つめながら再び掌をかざす。
途端にあたりにはまばゆい光と激しい衝撃波が発生し、フリードリヒは弾き飛ばされ地面を転がりつづける。
しかし、輝く人型の肉塊には何の変化も起きない。
カールの動作は相変わらずゆったりとしたものだったが、表情が険しくなる。
すでに肉塊は人の形になり、その背中からは大きな翼が生えていた。
カールは両手をその人型に向ける。すると、カールと体が激しく輝き始め先ほどより激しい光が人型へと放たれる。
ガガガァンーーーーーーーーーーー!!
会議室に浮かぶ画面すら揺れたと錯覚するほどの轟音と閃光。
あたり一面がまばゆい光で白一色となる。
「あれでも効いてないのか……」
「それが管理者って事なんでしょうね」
ルークスとサトシは画面に表示されている「administrator」が消えないことに苛立ちにも似た絶望感を抱いていた。
あたりが色を取り戻すと、上空には長髪の美少年が浮かんでいる。
背中には12枚の純白の羽根。美しい艶を持つ純白の布に身を包んだその様は、まさに天使と呼ぶにふさわし様相だった。
カールはその姿を確認するや、鞘から日本刀をすらりと抜き上空へと一気に飛び上がる。
その跳躍力は人間のそれとはまったく別次元のものだった。
10m以上上空に居る天使に向かい日本刀を二度、三度と振り下ろす。
天使はその斬撃の軌道を左手で撫でるように逸らす。
カールは上空で数回斬撃を入れた後、そのまま自由落下し再び大地を蹴って飛びあがる。
「おい、サトシ。カールに「反重力(アンチグラビティ)」教えてないのか?」
「あ、ああ。そうっすね。鍛冶仕事しかしてなかったですから、教える必要なかったんで。あ~。でもタイムリープしたときに教えておくべきでしたね」
緊張感のない普段通りの会話をする二人だったが、その心中は穏やかではなかった。
目の前で繰り広げられる戦いに参加できる能力を有する者は、この会議室には誰も居ない。
ウルサンに居るフリードリヒですら、体の再構築を終え万全の状態になってなお、その場から動くことが出来ずにいる。
カールの跳躍と斬撃、それを難なく躱す天使。その攻防がしばらく続く。
キィーーーーーン!
甲高い澄んだ音と共に、カールの持つ日本刀が真っ二つに折れた。
ルドルフ作の業物と言えど、人外のこの戦いに耐えられるものではなかった。
着地したカールは、折れて地面に刺さった日本刀の刃先を拾い上げると、その欠片を顔の前で強く握りしめる。
刃を握りしめた拳からは真っ赤な血が滲み出る。その血は拳から肘へと流れ、地面に滴り落ちる。
鮮やかな赤色だった血は、見る見るどす黒く変色していった。
地面の血だまりは黒さを増し、漆黒へと近づいて行く。
大きくなった血だまりはカール足元にまで広がり、その漆黒がカールを足から黒に染めてゆく。
「お゛ぉ゛~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
カールは慟哭の声を上げる。
地面の血だまりは生き物のように波打ち大きく伸び広がり、繭のようにカールを包み込んだ。
腰から下が吹き飛ばされ内臓が一部飛び出している。
「無茶しやがって……」
唸るような声を上げながらフリードリヒが上体を両腕で支えて起き上がる。
周囲に複雑な魔法陣が広がり、吹き飛ばされた下半身が徐々に再構築される。
上空からはパラパラと小さな肉片が落ちてきていた。
「おい!?あれ……」
フリードリヒの惨状を見てオットー達Sランク冒険者たちは言葉を失っていた。
サトシとルークスは、再構築が始まっている事を確認して視線をカルロスに移す。
画面上に映し出された上空の映像には、こぶし大の肉片が空中にとどまっていた。
その上に表示される「カルロス」の名前。
「まだ生きてるって事か?」
「いえ。見てください。変化しそうです」
ルークスの呟きに、サトシは「カルロス」のステータス表示を指さす。
すると、「カルロス」の表示がブロックノイズと共に消え去り、「administrator」と変化した。
こぶし大だった肉片は、みるみる大きな人型に変化する。そして、周囲の魔力を吸い込みながらぼんやりと輝き始める。
上空の変化に気づき、フリードリヒは下半身の再構築を急ぐ。
カールは輝きを増す人型の肉片を見つめながら再び掌をかざす。
途端にあたりにはまばゆい光と激しい衝撃波が発生し、フリードリヒは弾き飛ばされ地面を転がりつづける。
しかし、輝く人型の肉塊には何の変化も起きない。
カールの動作は相変わらずゆったりとしたものだったが、表情が険しくなる。
すでに肉塊は人の形になり、その背中からは大きな翼が生えていた。
カールは両手をその人型に向ける。すると、カールと体が激しく輝き始め先ほどより激しい光が人型へと放たれる。
ガガガァンーーーーーーーーーーー!!
会議室に浮かぶ画面すら揺れたと錯覚するほどの轟音と閃光。
あたり一面がまばゆい光で白一色となる。
「あれでも効いてないのか……」
「それが管理者って事なんでしょうね」
ルークスとサトシは画面に表示されている「administrator」が消えないことに苛立ちにも似た絶望感を抱いていた。
あたりが色を取り戻すと、上空には長髪の美少年が浮かんでいる。
背中には12枚の純白の羽根。美しい艶を持つ純白の布に身を包んだその様は、まさに天使と呼ぶにふさわし様相だった。
カールはその姿を確認するや、鞘から日本刀をすらりと抜き上空へと一気に飛び上がる。
その跳躍力は人間のそれとはまったく別次元のものだった。
10m以上上空に居る天使に向かい日本刀を二度、三度と振り下ろす。
天使はその斬撃の軌道を左手で撫でるように逸らす。
カールは上空で数回斬撃を入れた後、そのまま自由落下し再び大地を蹴って飛びあがる。
「おい、サトシ。カールに「反重力(アンチグラビティ)」教えてないのか?」
「あ、ああ。そうっすね。鍛冶仕事しかしてなかったですから、教える必要なかったんで。あ~。でもタイムリープしたときに教えておくべきでしたね」
緊張感のない普段通りの会話をする二人だったが、その心中は穏やかではなかった。
目の前で繰り広げられる戦いに参加できる能力を有する者は、この会議室には誰も居ない。
ウルサンに居るフリードリヒですら、体の再構築を終え万全の状態になってなお、その場から動くことが出来ずにいる。
カールの跳躍と斬撃、それを難なく躱す天使。その攻防がしばらく続く。
キィーーーーーン!
甲高い澄んだ音と共に、カールの持つ日本刀が真っ二つに折れた。
ルドルフ作の業物と言えど、人外のこの戦いに耐えられるものではなかった。
着地したカールは、折れて地面に刺さった日本刀の刃先を拾い上げると、その欠片を顔の前で強く握りしめる。
刃を握りしめた拳からは真っ赤な血が滲み出る。その血は拳から肘へと流れ、地面に滴り落ちる。
鮮やかな赤色だった血は、見る見るどす黒く変色していった。
地面の血だまりは黒さを増し、漆黒へと近づいて行く。
大きくなった血だまりはカール足元にまで広がり、その漆黒がカールを足から黒に染めてゆく。
「お゛ぉ゛~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
カールは慟哭の声を上げる。
地面の血だまりは生き物のように波打ち大きく伸び広がり、繭のようにカールを包み込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる