中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

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終章

顕現

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 爆風が収まると、地面に横たわるフリードリヒの姿が見えた。
 腰から下が吹き飛ばされ内臓が一部飛び出している。

「無茶しやがって……」
 唸るような声を上げながらフリードリヒが上体を両腕で支えて起き上がる。
 周囲に複雑な魔法陣が広がり、吹き飛ばされた下半身が徐々に再構築される。

 上空からはパラパラと小さな肉片が落ちてきていた。

「おい!?あれ……」
 フリードリヒの惨状を見てオットー達Sランク冒険者たちは言葉を失っていた。
 サトシとルークスは、再構築が始まっている事を確認して視線をカルロスに移す。

 画面上に映し出された上空の映像には、こぶし大の肉片が空中にとどまっていた。
 その上に表示される「カルロス」の名前。

「まだ生きてるって事か?」
「いえ。見てください。変化しそうです」
 ルークスの呟きに、サトシは「カルロス」のステータス表示を指さす。

 すると、「カルロス」の表示がブロックノイズと共に消え去り、「administrator」と変化した。
 こぶし大だった肉片は、みるみる大きな人型に変化する。そして、周囲の魔力を吸い込みながらぼんやりと輝き始める。

 上空の変化に気づき、フリードリヒは下半身の再構築を急ぐ。
 
 カールは輝きを増す人型の肉片を見つめながら再び掌をかざす。
 
 途端にあたりにはまばゆい光と激しい衝撃波が発生し、フリードリヒは弾き飛ばされ地面を転がりつづける。


 しかし、輝く人型の肉塊には何の変化も起きない。

 カールの動作は相変わらずゆったりとしたものだったが、表情が険しくなる。
 すでに肉塊は人の形になり、その背中からは大きな翼が生えていた。

 カールは両手をその人型に向ける。すると、カールと体が激しく輝き始め先ほどより激しい光が人型へと放たれる。


 ガガガァンーーーーーーーーーーー!!

 会議室に浮かぶ画面すら揺れたと錯覚するほどの轟音と閃光。
 あたり一面がまばゆい光で白一色となる。

 
「あれでも効いてないのか……」
「それが管理者って事なんでしょうね」
 ルークスとサトシは画面に表示されている「administrator」が消えないことに苛立ちにも似た絶望感を抱いていた。

 あたりが色を取り戻すと、上空には長髪の美少年が浮かんでいる。
 背中には12枚の純白の羽根。美しい艶を持つ純白の布に身を包んだその様は、まさに天使と呼ぶにふさわし様相だった。

 カールはその姿を確認するや、鞘から日本刀をすらりと抜き上空へと一気に飛び上がる。
 その跳躍力は人間のそれとはまったく別次元のものだった。

 10m以上上空に居る天使に向かい日本刀を二度、三度と振り下ろす。
 天使はその斬撃の軌道を左手で撫でるように逸らす。

 カールは上空で数回斬撃を入れた後、そのまま自由落下し再び大地を蹴って飛びあがる。

「おい、サトシ。カールに「反重力(アンチグラビティ)」教えてないのか?」
「あ、ああ。そうっすね。鍛冶仕事しかしてなかったですから、教える必要なかったんで。あ~。でもタイムリープしたときに教えておくべきでしたね」
 緊張感のない普段通りの会話をする二人だったが、その心中は穏やかではなかった。

 目の前で繰り広げられる戦いに参加できる能力を有する者は、この会議室には誰も居ない。
 ウルサンに居るフリードリヒですら、体の再構築を終え万全の状態になってなお、その場から動くことが出来ずにいる。

 カールの跳躍と斬撃、それを難なく躱す天使。その攻防がしばらく続く。

 キィーーーーーン!

 甲高い澄んだ音と共に、カールの持つ日本刀が真っ二つに折れた。
 ルドルフ作の業物と言えど、人外のこの戦いに耐えられるものではなかった。

 着地したカールは、折れて地面に刺さった日本刀の刃先を拾い上げると、その欠片を顔の前で強く握りしめる。

 刃を握りしめた拳からは真っ赤な血が滲み出る。その血は拳から肘へと流れ、地面に滴り落ちる。
 鮮やかな赤色だった血は、見る見るどす黒く変色していった。

 地面の血だまりは黒さを増し、漆黒へと近づいて行く。

 大きくなった血だまりはカール足元にまで広がり、その漆黒がカールを足から黒に染めてゆく。

「お゛ぉ゛~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
 カールは慟哭の声を上げる。


 地面の血だまりは生き物のように波打ち大きく伸び広がり、繭のようにカールを包み込んだ。
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