18 / 20
18.
初めての晩餐 ⑵
しおりを挟む
料理が9割方出来上がった予定時刻10分前に、ドアベルが鳴った。
「えっ、早~っ!」
澪が器を用意しながら、アタフタしていると、那知がさっさと玄関に向かった。
「ゴメン、ちょっと早かったかな~?」
腕時計の時間を見て、申し訳なさそうに言った土田。
「大丈夫! 後は、油物だけで、お母さんに任せてるから」
那知の後から入って来た土田は、母の方を向いて会釈した。
「初めまして、土田です。良かったら、これを後からどうぞ」
礼儀正しく挨拶し、手土産を渡した。
「初めまして。あら、北菓楼のシュークリーム! これ、美味しくて食べ応え有って、みんな大好きなの~! ありがとう! なんだか、気を遣わせてごめんなさいね」
「こちらこそ、夕食にご一緒させて頂いて、ありがとうございます」
土田と母のやりとりを見て、母の声の出し方や話し方から、土田の事を気に入った様子が感じ取れた澪。
4人掛けテーブルに、母と澪に向かい合わせになるように、那知と土田が隣同士に座った。
(あ~っ、那知、土田君の隣キープしてズルイ! でも、向かいの席の方が、土田君の様子が色々見えて良いのかも~!)
「肉じゃが、好みの味付け! 学校から帰ってから、これ、2人で作ったの?」
土田が、澪と那知の顔を見て尋ねた。
「ううん、私は、盛り付けくらいで、澪がメインで頑張ったの!」
澪が答えるより先に、那知が澪を立てた。
「あっ、それほどでも......お母さんが手伝ってくれたから」
(ほとんど、お母さんがやってくれた......なんて事は絶対言えないよね~)
澪は、遠慮気味に笑って答えた。
「揚げたてのザンギ、美味しい! お母さん、こんなに沢山、お料理を作って用意して頂いてありがとうございます!」
「いえいえ、とんでもない! ねぇ、こんな風に美味しいって言われて嬉しいね、澪! 土田君って、礼儀正しくて驚いた~! そんなにかしこまらなくて良いのに、我が家は」
土田の緊張をほぐすように、母が言った。
「男兄弟の中で育ったので、女の人の方が多い状態に慣れてなくて、すみません」
土田の言葉に違和感が湧いて来る澪。
(女の人の方が多い......? あっ、那知は女にカウントされているから)
「ツッチーには、少し離れた弟がいるんだっけ?」
「まだ小4だから、可愛いけど、騒がしいよ」
(土田君は、お兄さんなんだ~。確かに、そういう優しいお兄さんの雰囲気が滲み出てる!)
澪は緊張し、なかなか話の輪に入れないが、土田の情報が何より嬉しくて終始ニコニコ顔。
アールグレイを入れて、土田が持参した北菓楼のシュークリームのクリームを落とさないように上手に少しずつ頬張っている澪。
まだ、澪がシュークリームを食べ終えないうちに、向かいに座っている土田は、さっさと食べ終えるや否や、席から立ち上がった。
(えっ、もう帰る時間? 早いけど、明日も学校だった......)
今にも帰宅しそうな土田の動きで、もう少し一緒にいたかった澪は、一気に残念な気持ちにさせられた。
「あらっ、もう帰るの? 引き留めたいけど、明日はまだ学校があるものね」
土田を気に入った様子の母も残念そう。
「ご馳走様でした! 明日学校が有るのに、すっかり長居してすみません」
「またいつでも、是非いらしてね!」
去り際の土田に、母が社交辞令ではなく、本気で誘っているのが分かり、澪は安心した。
「はい、また伺いたいです!」
「ツッチー、また明日のバイト一緒だね、よろしく!」
玄関まで3人で、土田が去るのを見送っていた時だった。
「なっちゃん、あっ、お姉さんもお母さんも一緒に大切な話が有るんですが......」
そのまま去る様子もなく、思い詰めた表情で土田が切り出した。
「えっ、早~っ!」
澪が器を用意しながら、アタフタしていると、那知がさっさと玄関に向かった。
「ゴメン、ちょっと早かったかな~?」
腕時計の時間を見て、申し訳なさそうに言った土田。
「大丈夫! 後は、油物だけで、お母さんに任せてるから」
那知の後から入って来た土田は、母の方を向いて会釈した。
「初めまして、土田です。良かったら、これを後からどうぞ」
礼儀正しく挨拶し、手土産を渡した。
「初めまして。あら、北菓楼のシュークリーム! これ、美味しくて食べ応え有って、みんな大好きなの~! ありがとう! なんだか、気を遣わせてごめんなさいね」
「こちらこそ、夕食にご一緒させて頂いて、ありがとうございます」
土田と母のやりとりを見て、母の声の出し方や話し方から、土田の事を気に入った様子が感じ取れた澪。
4人掛けテーブルに、母と澪に向かい合わせになるように、那知と土田が隣同士に座った。
(あ~っ、那知、土田君の隣キープしてズルイ! でも、向かいの席の方が、土田君の様子が色々見えて良いのかも~!)
「肉じゃが、好みの味付け! 学校から帰ってから、これ、2人で作ったの?」
土田が、澪と那知の顔を見て尋ねた。
「ううん、私は、盛り付けくらいで、澪がメインで頑張ったの!」
澪が答えるより先に、那知が澪を立てた。
「あっ、それほどでも......お母さんが手伝ってくれたから」
(ほとんど、お母さんがやってくれた......なんて事は絶対言えないよね~)
澪は、遠慮気味に笑って答えた。
「揚げたてのザンギ、美味しい! お母さん、こんなに沢山、お料理を作って用意して頂いてありがとうございます!」
「いえいえ、とんでもない! ねぇ、こんな風に美味しいって言われて嬉しいね、澪! 土田君って、礼儀正しくて驚いた~! そんなにかしこまらなくて良いのに、我が家は」
土田の緊張をほぐすように、母が言った。
「男兄弟の中で育ったので、女の人の方が多い状態に慣れてなくて、すみません」
土田の言葉に違和感が湧いて来る澪。
(女の人の方が多い......? あっ、那知は女にカウントされているから)
「ツッチーには、少し離れた弟がいるんだっけ?」
「まだ小4だから、可愛いけど、騒がしいよ」
(土田君は、お兄さんなんだ~。確かに、そういう優しいお兄さんの雰囲気が滲み出てる!)
澪は緊張し、なかなか話の輪に入れないが、土田の情報が何より嬉しくて終始ニコニコ顔。
アールグレイを入れて、土田が持参した北菓楼のシュークリームのクリームを落とさないように上手に少しずつ頬張っている澪。
まだ、澪がシュークリームを食べ終えないうちに、向かいに座っている土田は、さっさと食べ終えるや否や、席から立ち上がった。
(えっ、もう帰る時間? 早いけど、明日も学校だった......)
今にも帰宅しそうな土田の動きで、もう少し一緒にいたかった澪は、一気に残念な気持ちにさせられた。
「あらっ、もう帰るの? 引き留めたいけど、明日はまだ学校があるものね」
土田を気に入った様子の母も残念そう。
「ご馳走様でした! 明日学校が有るのに、すっかり長居してすみません」
「またいつでも、是非いらしてね!」
去り際の土田に、母が社交辞令ではなく、本気で誘っているのが分かり、澪は安心した。
「はい、また伺いたいです!」
「ツッチー、また明日のバイト一緒だね、よろしく!」
玄関まで3人で、土田が去るのを見送っていた時だった。
「なっちゃん、あっ、お姉さんもお母さんも一緒に大切な話が有るんですが......」
そのまま去る様子もなく、思い詰めた表情で土田が切り出した。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる