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否定と……
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「……でね、この時、 瑞輝がコケちゃって、 御神輿担いでいた人達がバランス崩しそうになって大変だったの!」
詩奈の前で若葉が、デジカメを出して画像を見せ、お祭りの 神輿担ぎの様子を説明した。
「そんな大げさなコケ方してね~よ!」
「いやいや、 瑞輝のせいで将棋倒しになりそうで大変だった」
瑞輝と 凌空のどちらの言葉を信じて良いか、分からなくなる 詩奈。
カメラをコマ送り続けていると、浴衣姿の若葉と 瑞輝のツーショットも有り、 詩奈はドキッとした。
「天気も良くてお祭り日和だったね~! 写真もよく写っている。見せてくれてありがとう、若葉」
入院していなかったら、浴衣姿の自分も一緒に写っていたかも知れないと残念に感じながら、カメラを若葉に戻した 詩奈。
「牧田さん、またロフストランド杖になったんだね~! 今回は早いね~!」
凌空が、林間学校で折れた形跡の残るロフストランド杖に気付いた。
「うん、先週末はリハビリ頑張っていたから。もうすぐ、杖無しにするか、少しの間T字杖にしてからの方がいいか選ぶ事になったの」
「T字杖?」
キョトンとする若葉に、 詩奈に渡すコビー用紙の裏に、ササっとT字杖を手描きした 凌空。
「なるほど~、Tという形しているね!」
昨日のお祭りで、念願の 瑞輝と一緒に浴衣姿で露店などを見て回った余韻で、表情も声もご機嫌な若葉。
「勉強は、分からないところ無かった?」
その日の分のコピーを渡す前に、必ず毎回、 詩奈に尋ねる 凌空。
「大丈夫! 北岡君のおかげで、今度の試験は、成績アップしていると思う! ありがとう!」
テンションの高めな若葉と同じくらいに感じられる 詩奈の様子に、また違和感が湧く 瑞輝と 凌空。
「リハビリ、そんな頑張っているなら疲れてそうだから、そろそろ帰るよ。また明日、いや明日は創立記念日だから、また明後日」
中学校の創立記念日を思い出し、 凌空が言い直すと、 詩奈は一瞬、表情が陰った。
「創立記念日、学校休んでいるうちにスッカリ忘れてた! また、明後日ね!」
普通に受け答えしたものの、3人が病室から出て、 呆然となる 詩奈。
今になって、彼らと会うのは、これが最後だったと気付いたのだった。
3人はエレベーターで1階まで降りたが、 瑞輝が思い出したように、Uターンしようとした。
「どうしたの、 瑞輝?」
「ちょっと、忘れてた! 先行ってて!」
エレベーターは既に上に上がり、 瑞輝が階段を走り上って行くのを見て、若葉と 凌空が 唖然とした。
布団に伏して泣きそうになっている時に、ノックが聞こえ、母と思い、沈んだ声で応答した 詩奈。
「はい……」
思いの外、ドアが勢いよく開き、現れたのが 瑞輝で焦った 詩奈。
「えっ、矢本君……? どうしたの……?」
「お祭り、行くように説得してくれて、ありがとう! おかげで、楽しかった!」
その程度の事で、わざわざ戻って来てまで、お礼を言われるとは思わず、驚いてかたまったままの 詩奈。
「あっ、うん、良かった、3人で楽しんでもらえて……そんな、別に、お礼なんて良かったのに」
「それから、この前、中沢さんが言った事だけど……」
「あああああ~っ!! あれは、違うの!!」
詩奈は慌てて、自分でも感心するくらいの大声を出し、両手を顔の前で激しく振って否定した。
「ホントに違うから!! 私が好きなのは、北岡君だから!!」
「それなら、いいけど……そうか、じゃあ」
あまりの 詩奈の動揺ぶりに 呆気に取られながら、即座に退散した 瑞輝。
詩奈の前で若葉が、デジカメを出して画像を見せ、お祭りの 神輿担ぎの様子を説明した。
「そんな大げさなコケ方してね~よ!」
「いやいや、 瑞輝のせいで将棋倒しになりそうで大変だった」
瑞輝と 凌空のどちらの言葉を信じて良いか、分からなくなる 詩奈。
カメラをコマ送り続けていると、浴衣姿の若葉と 瑞輝のツーショットも有り、 詩奈はドキッとした。
「天気も良くてお祭り日和だったね~! 写真もよく写っている。見せてくれてありがとう、若葉」
入院していなかったら、浴衣姿の自分も一緒に写っていたかも知れないと残念に感じながら、カメラを若葉に戻した 詩奈。
「牧田さん、またロフストランド杖になったんだね~! 今回は早いね~!」
凌空が、林間学校で折れた形跡の残るロフストランド杖に気付いた。
「うん、先週末はリハビリ頑張っていたから。もうすぐ、杖無しにするか、少しの間T字杖にしてからの方がいいか選ぶ事になったの」
「T字杖?」
キョトンとする若葉に、 詩奈に渡すコビー用紙の裏に、ササっとT字杖を手描きした 凌空。
「なるほど~、Tという形しているね!」
昨日のお祭りで、念願の 瑞輝と一緒に浴衣姿で露店などを見て回った余韻で、表情も声もご機嫌な若葉。
「勉強は、分からないところ無かった?」
その日の分のコピーを渡す前に、必ず毎回、 詩奈に尋ねる 凌空。
「大丈夫! 北岡君のおかげで、今度の試験は、成績アップしていると思う! ありがとう!」
テンションの高めな若葉と同じくらいに感じられる 詩奈の様子に、また違和感が湧く 瑞輝と 凌空。
「リハビリ、そんな頑張っているなら疲れてそうだから、そろそろ帰るよ。また明日、いや明日は創立記念日だから、また明後日」
中学校の創立記念日を思い出し、 凌空が言い直すと、 詩奈は一瞬、表情が陰った。
「創立記念日、学校休んでいるうちにスッカリ忘れてた! また、明後日ね!」
普通に受け答えしたものの、3人が病室から出て、 呆然となる 詩奈。
今になって、彼らと会うのは、これが最後だったと気付いたのだった。
3人はエレベーターで1階まで降りたが、 瑞輝が思い出したように、Uターンしようとした。
「どうしたの、 瑞輝?」
「ちょっと、忘れてた! 先行ってて!」
エレベーターは既に上に上がり、 瑞輝が階段を走り上って行くのを見て、若葉と 凌空が 唖然とした。
布団に伏して泣きそうになっている時に、ノックが聞こえ、母と思い、沈んだ声で応答した 詩奈。
「はい……」
思いの外、ドアが勢いよく開き、現れたのが 瑞輝で焦った 詩奈。
「えっ、矢本君……? どうしたの……?」
「お祭り、行くように説得してくれて、ありがとう! おかげで、楽しかった!」
その程度の事で、わざわざ戻って来てまで、お礼を言われるとは思わず、驚いてかたまったままの 詩奈。
「あっ、うん、良かった、3人で楽しんでもらえて……そんな、別に、お礼なんて良かったのに」
「それから、この前、中沢さんが言った事だけど……」
「あああああ~っ!! あれは、違うの!!」
詩奈は慌てて、自分でも感心するくらいの大声を出し、両手を顔の前で激しく振って否定した。
「ホントに違うから!! 私が好きなのは、北岡君だから!!」
「それなら、いいけど……そうか、じゃあ」
あまりの 詩奈の動揺ぶりに 呆気に取られながら、即座に退散した 瑞輝。
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