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地球防衛隊G~Jグループの現場研修
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古典の教員の芹田から謎解きのように、重要な龍体文字の口語訳の内容を尋ねられ、訓練生は誰一人として理解出来ている者がいなかった。
その事を愉快そうに笑って済ませた芹田。
古典自体に興味は無く、襲い掛かる睡魔を退ける事で大変だった 颯天だが、芹田の意味深な言動は、その後の現場訓練中も颯天の頭の中に残っていた。
古典の授業の後、颯天達訓練生一行は、地球防衛隊G~Jグループの現場研修に向かった。
G~Jグループとは、大学卒業までの期間に、sup遺伝子が覚醒した遅咲きの地球防衛隊だが、彼らの中には超sup能力所持者は含まれず、地球防衛隊A~Fグループの後始末などに携わる隊員達と、地球防衛隊本部でデータ管理や業務連絡を担当している隊員達に分かれ、2グループずつで定期的に交代し、どちらの仕事もこなせるようなっていた。
訓練生達はまず、地球防衛隊本部でデータ管理と業務連絡をしている隊員達の現場に向かい、説明を受けた。
質疑応答の時間も設けられていたが、ほとんどの訓練生達は自分達の進路とは無関係な部署に、関心など抱かなかった。
(地球防衛隊でも、こういう裏方のような地味な仕事も有ったんだ。もし、僕のsup遺伝子が4年後までに開花して無かったら、ここに配属される事になるのだろうか? そう考えると、他の訓練生のように、人ごとのような感覚でなんかいられない! 僕と同じく、sup遺伝子未覚醒者の幕居さんは、どう思っているのだろう?)
自分の背後にいた、浅谷や寧子の様子をチラッと確認した颯天。
浅谷は、相変わらず、自分より下の能力しか無い者達を見下しているような表情を浮かべていた。
寧子はというと、大卒の地球防衛隊員達には色目を使っている様子は無く、エリートである地球防衛隊員のA~Fグループの大和隊員達に、狙いを絞っている事が手に取るように分かった。
(やっぱりな、幕居さんは大和隊のエリート狙いに決まっているか。だったら、ここで勤務している隊員達には興味無いだろうし。4年後、そのエリートの1人を射止めて、さっさと結婚退職している予定だろうから、sup遺伝子が覚醒しなくても、僕と違って、ここに配属される心配なんて全くしてないだろうな……)
超sup遺伝子所持者の訓練生だけの現場訓練の中で、颯天にとっては目下気になる内容である『変身』と『古典』。
その両方が、ここに配属されている隊員達には無関係なのだという事に、ふと気付いた颯天。
(それ考えると『古典』のような、面倒臭くて眠くなる授業しなくて良い分、ここに配属されている人達を羨ましく思える。けど、やっぱり『変身』という言葉には、かなり惹き付けられる気がするから、僕はやっぱり、この訓練生でいられて良かったのかもな~)
改めてそう思わされた途端、颯天の中で疑問が生じた。
(訓練生は、大卒の地球防衛隊員達が知らない情報をも知り得ている。その状態で、ここに配属されても良いのかな?)
「あの~、伺ってもいいですか? 訓練生の中で、4年後、こちらに配属される隊員さんは、どれくらいの割合でいるんですか?」
「4年後、ああsup遺伝子未覚醒者の事ですか……一定数はいますよ。ただ、我々の下請けのひたすら雑務処理的な仕事に追われる事になりますので、中にはプライドが許さず、退職する人も多いですね」
(ここの更に下請け、雑務処理的な仕事……退職……)
地球防衛隊員が淡々と語った内容に、颯天は絶望を感じさせられた。
「ここに配属される元訓練生は、すぐに殆どいなくなるという事ですか?」
「そういう事になりますね。いずれにせよ、彼らは、ここでの記憶を抜かれるという事を知っておいて下さい」
追い打ちをかけるような地球防衛隊の言葉に、愕然となった颯天。
(記憶を失う……? そんな……4年後、sup遺伝子が未覚醒のままだった時には、僕にとって地獄しか待っていない……)
颯天が衝撃を受けた隊員の言葉で、他の訓練生達は誰も動揺を見せなかった。
sup遺伝子覚醒済みの訓練生達には、むしろ颯天の質問の方が余計に感じられ、自分達の進路とは無関係な部署からは、早く退出したい気持ちが強まっていた。
颯天と同様の立場である寧子にしても、ここに配属される前に、自分の身を固める決意は強く、颯天のような心配とは無縁だった。
その後、大和隊の後始末な役割をしている方の地球防衛隊員の現場を訪れた。
彼らは、大和隊の戦闘後の破壊された大地の修復作業などを担当していた。
その様子は、本部の何の変哲も無さそうなデスクワークに比べると、颯天も関心の有る分野だったが、先刻の大きく落胆させられた言葉が、何度も脳裏から離れずにいた。
(僕達は、超sup遺伝子所持者の訓練生というエリート街道をまっしぐらに進みながら、sup遺伝子未覚醒者は、4年後、地球防衛隊員G~Jグループに配属される。そこに所属している隊員達に見下されながら、ひたすら雑務処理に追われる時間が待っているんだ。しかも、その時には、この訓練生として過ごしていた記憶が、抜かれている状態に! 僕は、元々、即席の蒙古斑のおかげで、超sup遺伝子所持者に判定された偽物だから、配属された部署で見下されても仕方ないけど、記憶まで奪われるのは絶対にイヤだ!)
大和隊員になるのを夢見て、ひたすらトレーニングに打ち込んだ時間、雅人との友情や楽しかった時間、憧れの透子と話した時間……
それら大切なここでの記憶の全てが、4年後に消去されてしまうかも知れない事に、とてつもない憂苦を感じずにいられない颯天。
その事を愉快そうに笑って済ませた芹田。
古典自体に興味は無く、襲い掛かる睡魔を退ける事で大変だった 颯天だが、芹田の意味深な言動は、その後の現場訓練中も颯天の頭の中に残っていた。
古典の授業の後、颯天達訓練生一行は、地球防衛隊G~Jグループの現場研修に向かった。
G~Jグループとは、大学卒業までの期間に、sup遺伝子が覚醒した遅咲きの地球防衛隊だが、彼らの中には超sup能力所持者は含まれず、地球防衛隊A~Fグループの後始末などに携わる隊員達と、地球防衛隊本部でデータ管理や業務連絡を担当している隊員達に分かれ、2グループずつで定期的に交代し、どちらの仕事もこなせるようなっていた。
訓練生達はまず、地球防衛隊本部でデータ管理と業務連絡をしている隊員達の現場に向かい、説明を受けた。
質疑応答の時間も設けられていたが、ほとんどの訓練生達は自分達の進路とは無関係な部署に、関心など抱かなかった。
(地球防衛隊でも、こういう裏方のような地味な仕事も有ったんだ。もし、僕のsup遺伝子が4年後までに開花して無かったら、ここに配属される事になるのだろうか? そう考えると、他の訓練生のように、人ごとのような感覚でなんかいられない! 僕と同じく、sup遺伝子未覚醒者の幕居さんは、どう思っているのだろう?)
自分の背後にいた、浅谷や寧子の様子をチラッと確認した颯天。
浅谷は、相変わらず、自分より下の能力しか無い者達を見下しているような表情を浮かべていた。
寧子はというと、大卒の地球防衛隊員達には色目を使っている様子は無く、エリートである地球防衛隊員のA~Fグループの大和隊員達に、狙いを絞っている事が手に取るように分かった。
(やっぱりな、幕居さんは大和隊のエリート狙いに決まっているか。だったら、ここで勤務している隊員達には興味無いだろうし。4年後、そのエリートの1人を射止めて、さっさと結婚退職している予定だろうから、sup遺伝子が覚醒しなくても、僕と違って、ここに配属される心配なんて全くしてないだろうな……)
超sup遺伝子所持者の訓練生だけの現場訓練の中で、颯天にとっては目下気になる内容である『変身』と『古典』。
その両方が、ここに配属されている隊員達には無関係なのだという事に、ふと気付いた颯天。
(それ考えると『古典』のような、面倒臭くて眠くなる授業しなくて良い分、ここに配属されている人達を羨ましく思える。けど、やっぱり『変身』という言葉には、かなり惹き付けられる気がするから、僕はやっぱり、この訓練生でいられて良かったのかもな~)
改めてそう思わされた途端、颯天の中で疑問が生じた。
(訓練生は、大卒の地球防衛隊員達が知らない情報をも知り得ている。その状態で、ここに配属されても良いのかな?)
「あの~、伺ってもいいですか? 訓練生の中で、4年後、こちらに配属される隊員さんは、どれくらいの割合でいるんですか?」
「4年後、ああsup遺伝子未覚醒者の事ですか……一定数はいますよ。ただ、我々の下請けのひたすら雑務処理的な仕事に追われる事になりますので、中にはプライドが許さず、退職する人も多いですね」
(ここの更に下請け、雑務処理的な仕事……退職……)
地球防衛隊員が淡々と語った内容に、颯天は絶望を感じさせられた。
「ここに配属される元訓練生は、すぐに殆どいなくなるという事ですか?」
「そういう事になりますね。いずれにせよ、彼らは、ここでの記憶を抜かれるという事を知っておいて下さい」
追い打ちをかけるような地球防衛隊の言葉に、愕然となった颯天。
(記憶を失う……? そんな……4年後、sup遺伝子が未覚醒のままだった時には、僕にとって地獄しか待っていない……)
颯天が衝撃を受けた隊員の言葉で、他の訓練生達は誰も動揺を見せなかった。
sup遺伝子覚醒済みの訓練生達には、むしろ颯天の質問の方が余計に感じられ、自分達の進路とは無関係な部署からは、早く退出したい気持ちが強まっていた。
颯天と同様の立場である寧子にしても、ここに配属される前に、自分の身を固める決意は強く、颯天のような心配とは無縁だった。
その後、大和隊の後始末な役割をしている方の地球防衛隊員の現場を訪れた。
彼らは、大和隊の戦闘後の破壊された大地の修復作業などを担当していた。
その様子は、本部の何の変哲も無さそうなデスクワークに比べると、颯天も関心の有る分野だったが、先刻の大きく落胆させられた言葉が、何度も脳裏から離れずにいた。
(僕達は、超sup遺伝子所持者の訓練生というエリート街道をまっしぐらに進みながら、sup遺伝子未覚醒者は、4年後、地球防衛隊員G~Jグループに配属される。そこに所属している隊員達に見下されながら、ひたすら雑務処理に追われる時間が待っているんだ。しかも、その時には、この訓練生として過ごしていた記憶が、抜かれている状態に! 僕は、元々、即席の蒙古斑のおかげで、超sup遺伝子所持者に判定された偽物だから、配属された部署で見下されても仕方ないけど、記憶まで奪われるのは絶対にイヤだ!)
大和隊員になるのを夢見て、ひたすらトレーニングに打ち込んだ時間、雅人との友情や楽しかった時間、憧れの透子と話した時間……
それら大切なここでの記憶の全てが、4年後に消去されてしまうかも知れない事に、とてつもない憂苦を感じずにいられない颯天。
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