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なぜに学ラン……?
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「それはそーと、ところで、肝心の校内の案内は、どうなってるんだ?」
あっ、そうだった!
『微笑み係』としては、それが、最優先だったのに!
「あっ、はい! では、急ぐ事にしましょう!」
急に、そんな指摘されて焦って、どっちから案内していいのかこんがらがって、1人で右往左往してしまった!
「お前って、本当に志原と同じ係を担当しているのか? なんつーか、マジで要領悪くね?」
なんか、やっぱり、苦手だな、この人……
初対面の相手に、そんなふうに言わなくたって、いいのに!
どーせ、私は、志原君には何ひとつ敵いません!
「私、別に、なりたくてなったわけじゃないですから……」
そんな言い訳したところで、岸沼君に通じるわけが無いのは分かっているけど、何も言い返さないのは悔しい。
「だろうな。全く適性無い!」
淡々と言い切られてしまった!
それは、自分でも認めている事だけど……
自虐するのと、他人から言われるのって受け止める方の気持ちってかなり違うのに、この人、どうして、人の傷口をこうも遠慮無くえぐって来るの?
「力不足ですみません!」
思わず嫌味のように言い切ってしまった。
『微笑み係』である事も忘れてしまいたいくらい、笑顔も消えていた。
仏頂面のまま、早歩きで、何とか校内を案内し終わった。
「一応、これで全部案内しました! もしも、分からない事が有りましたら、いつでも、聞いて下さい」
さっさと『微笑み係』の義務を果たして下校したくて、事務的に言った。
「分からない事有ったら、志原に聞いてもいい?」
だから、ペナルティだって、言ってるのに!
私だって、こんな役回り好きで引き受けてるわけじゃないけど、そこは、岸沼君に厳守させないと!
「クラスとか公の場に限り、OKです! 昨日や今回のような個人的には、ダメです!」
「つまんね~な!」
もろ不満そうな顔を向けて来た岸沼君だったけど、急に何か閃いたような表情になった。
何だろう……?
急にそんな表情されると、何だかイヤな予感しかしてこないんだけど……
「そうだ!」
おもむろに、学ランを脱ぎ出した岸沼君!
えっ、何……?
どういうつもり……?
「お前、これ着てみろよ!」
そう言いながら、岸沼君が脱いだ学ランを私の肩にかけて来た。
今まで、岸沼君が来ていた学ランだから、当然、温もりと共に、自分からは嗅ぎ慣れないような匂いがしている。
体育の授業の前後、更衣室が寒いからって、教室で着替える男子達がいて、私達女子が教室に戻った時に、教室内に漂っているような感じの匂いなんだけど……
学ランをかけられたものの、袖を通すのを躊躇っていたら、岸沼君の鋭い目付きに促《うなが》されて、仕方なしに袖を通した。
「思った通りだ! お前、女にしては、凹凸の乏しい体形だから、学ランの方がよく似合ってる!」
褒められているというより、幼児体形な私をディスっているとしか思えない!
「どーせ私は、色っぽい体形とはかけ離れてます!」
「いや~、それ、大歓迎! オンナオンナしている様な女子だったら、俺は、話す気すら起きない!」
まだ侮辱されている感が拭えないけど、岸沼君って、本当に女子が苦手なんだ。
そういえば、まだ女子と話しているところ見かけない。
イケメン転校生だから、クラスの女子達の大半は、接近したがってウズウズしている感じなのに、どこか寄せ付けないオーラがハンパ無いもん。
それくらい女嫌いの岸沼君だから、まあ、私がもう1人の『微笑み係』で、志原君から交代しても、ある意味助かっているのかも知れない。
「岸沼君はコスプレさせるのが趣味だって事は、周りには黙ってます。だから、私に学ラン着せるのは、今回だけにして下さいね」
私は、この場を穏便に済ませようと『微笑み係』として、かなり優しく言ったつもりだった。
「俺は、別にコスプレさせる趣味が有るわけじゃなくて、女そのものがキライなんだ! 志原といられない以上は、お前が責任取って、志原に近い姿になる事くらい当然だろ?」
はあ……?
何、その屁理屈……?
自分が女嫌いだからって、私が、岸沼君といる間はずっと、コスプレで男子のふりしなきゃならないなんて、そんなの私が可哀想過ぎる!
……そうか、分かった!
「それって、もしかして……そうやって、私が嫌がるように仕向けて、志原君と交代させるって魂胆ですね! 無駄です! 私は、同じ『微笑み係』である志原君を守らなきゃならないんです!」
岸沼君の誘導に引っかかって、志原君に逆戻りなんて事が有ってはならない!
私が、志原君にバトンタッチされた以上は、ちゃんとやり抜かないと!
「なんだ、バレてたか? なら、コスプレの一択しかねーよな!」
「分かりました! 人目につく所以外なら、仕方ないから引き受けます! その代わり、質問などは、迅速に済ませて下さい!」
「その条件で勘弁してやるよ」
なんか、上からな感じでムカつく!
「それは、どうもありがとうございます!」
厭味ったらしく、お礼を言ってやった。
「だったら、いつまでも学ラン着てなくて良くね? ここ、人目につきそうだし。実のところ、意外と、そういう趣味有ったか?」
何なの……?
私の事をからかっている?
「まさか! そんなわけないです!」
慌てて脱いで、岸沼君に学ランを戻した。
あっ、そうだった!
『微笑み係』としては、それが、最優先だったのに!
「あっ、はい! では、急ぐ事にしましょう!」
急に、そんな指摘されて焦って、どっちから案内していいのかこんがらがって、1人で右往左往してしまった!
「お前って、本当に志原と同じ係を担当しているのか? なんつーか、マジで要領悪くね?」
なんか、やっぱり、苦手だな、この人……
初対面の相手に、そんなふうに言わなくたって、いいのに!
どーせ、私は、志原君には何ひとつ敵いません!
「私、別に、なりたくてなったわけじゃないですから……」
そんな言い訳したところで、岸沼君に通じるわけが無いのは分かっているけど、何も言い返さないのは悔しい。
「だろうな。全く適性無い!」
淡々と言い切られてしまった!
それは、自分でも認めている事だけど……
自虐するのと、他人から言われるのって受け止める方の気持ちってかなり違うのに、この人、どうして、人の傷口をこうも遠慮無くえぐって来るの?
「力不足ですみません!」
思わず嫌味のように言い切ってしまった。
『微笑み係』である事も忘れてしまいたいくらい、笑顔も消えていた。
仏頂面のまま、早歩きで、何とか校内を案内し終わった。
「一応、これで全部案内しました! もしも、分からない事が有りましたら、いつでも、聞いて下さい」
さっさと『微笑み係』の義務を果たして下校したくて、事務的に言った。
「分からない事有ったら、志原に聞いてもいい?」
だから、ペナルティだって、言ってるのに!
私だって、こんな役回り好きで引き受けてるわけじゃないけど、そこは、岸沼君に厳守させないと!
「クラスとか公の場に限り、OKです! 昨日や今回のような個人的には、ダメです!」
「つまんね~な!」
もろ不満そうな顔を向けて来た岸沼君だったけど、急に何か閃いたような表情になった。
何だろう……?
急にそんな表情されると、何だかイヤな予感しかしてこないんだけど……
「そうだ!」
おもむろに、学ランを脱ぎ出した岸沼君!
えっ、何……?
どういうつもり……?
「お前、これ着てみろよ!」
そう言いながら、岸沼君が脱いだ学ランを私の肩にかけて来た。
今まで、岸沼君が来ていた学ランだから、当然、温もりと共に、自分からは嗅ぎ慣れないような匂いがしている。
体育の授業の前後、更衣室が寒いからって、教室で着替える男子達がいて、私達女子が教室に戻った時に、教室内に漂っているような感じの匂いなんだけど……
学ランをかけられたものの、袖を通すのを躊躇っていたら、岸沼君の鋭い目付きに促《うなが》されて、仕方なしに袖を通した。
「思った通りだ! お前、女にしては、凹凸の乏しい体形だから、学ランの方がよく似合ってる!」
褒められているというより、幼児体形な私をディスっているとしか思えない!
「どーせ私は、色っぽい体形とはかけ離れてます!」
「いや~、それ、大歓迎! オンナオンナしている様な女子だったら、俺は、話す気すら起きない!」
まだ侮辱されている感が拭えないけど、岸沼君って、本当に女子が苦手なんだ。
そういえば、まだ女子と話しているところ見かけない。
イケメン転校生だから、クラスの女子達の大半は、接近したがってウズウズしている感じなのに、どこか寄せ付けないオーラがハンパ無いもん。
それくらい女嫌いの岸沼君だから、まあ、私がもう1人の『微笑み係』で、志原君から交代しても、ある意味助かっているのかも知れない。
「岸沼君はコスプレさせるのが趣味だって事は、周りには黙ってます。だから、私に学ラン着せるのは、今回だけにして下さいね」
私は、この場を穏便に済ませようと『微笑み係』として、かなり優しく言ったつもりだった。
「俺は、別にコスプレさせる趣味が有るわけじゃなくて、女そのものがキライなんだ! 志原といられない以上は、お前が責任取って、志原に近い姿になる事くらい当然だろ?」
はあ……?
何、その屁理屈……?
自分が女嫌いだからって、私が、岸沼君といる間はずっと、コスプレで男子のふりしなきゃならないなんて、そんなの私が可哀想過ぎる!
……そうか、分かった!
「それって、もしかして……そうやって、私が嫌がるように仕向けて、志原君と交代させるって魂胆ですね! 無駄です! 私は、同じ『微笑み係』である志原君を守らなきゃならないんです!」
岸沼君の誘導に引っかかって、志原君に逆戻りなんて事が有ってはならない!
私が、志原君にバトンタッチされた以上は、ちゃんとやり抜かないと!
「なんだ、バレてたか? なら、コスプレの一択しかねーよな!」
「分かりました! 人目につく所以外なら、仕方ないから引き受けます! その代わり、質問などは、迅速に済ませて下さい!」
「その条件で勘弁してやるよ」
なんか、上からな感じでムカつく!
「それは、どうもありがとうございます!」
厭味ったらしく、お礼を言ってやった。
「だったら、いつまでも学ラン着てなくて良くね? ここ、人目につきそうだし。実のところ、意外と、そういう趣味有ったか?」
何なの……?
私の事をからかっている?
「まさか! そんなわけないです!」
慌てて脱いで、岸沼君に学ランを戻した。
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