星の記憶

第4証【アダムの結晶】

【アダムの結晶編】ep.7『鍵』

レオビナス『…そうか…さようであったか…』
サージェス『…ビスマルクには…まだ…伏せていてくれ…』
レオビナス『…なにか事情がありそうだな、わかった約束しよう』
『ビスマルク様には…導師や従事者、他の騎士等に悟られぬよう、奴等の目を盗みメア達の後を追いかけて頂くよう計らった…悠長な時間がなかったので、事の詳細は話してはおらぬ…が、賢明な御方であられる故、一瞬で此方の真意を察して頂けたとは思う』
『サージェス！…クロノス殿と一緒に少し時間を置いてから、私の後を追い、アカデミーへ来てくれ』
『博士と貴方の御父上を導師等の目を盗み逃走の手引きをする準備を整えておく』
『デスティニー殿は、メア達の後を追うビスマルク様の後を追い、護衛と支援を頼めますか？』

クロノス『了解した』
デスティニー『了解致しました』
サージェス『了解だ…では、他のnoNo.達はレオビナスの従事者と共に引き続き、ゲイボルグの軍勢から子供達を保護する為、哨戒にあたれ』




ビスマルク『メア～！』
メア『お、お姉ちゃん！』
ビスマルク『ローズさんに、ジャンヌも無事みたいね』
『リリーさんは？…』
タッタッタッタッ
リリー『…大丈夫だ！』
メア『お父さん！』
ビスマルク『…追手の者は？』
リリー『いや…振り切るどころか、途中から奴等の足が止まり、此方には来なかった…これは好機だと思い、直ぐ様メア達の後を追ってきた』
『…ビスマルク、お前の方は？…よくあのレオビナスを振り切ってこられたな？』
ビスマルク『…信じられないかもしれませんが…レオビナスが…』
リリー『…？！』
ビスマルク『見逃したのか…泳がされているのか…』
リリー『…仕掛けて来なかったのか？』
ビスマルク『えぇ…従事者がいる時は、交戦の兆しをみせていたものの、周りの従事者をその場から離れさせ、アカデミーや周りを気にしながら、私にこれを手渡し(「何をしている、早く行け！」)…と』  
リリー『…鍵？…』
メア『…何か…罠かも…』
ビスマルク『こっちに向かっている最中、尾行や哨戒の従事者はおろか、何の障害もなくかけつけることが出来た…』
リリー『…そうか、レオビナス…が…』
『鍵…』
『メア…通常、鍵と言う物はどんな用途で使用される？…』
メア『…ん？…それは…戸締りとか、あとは…大事な物を締まったり…』
『あっ！…』
リリー『そうだ！大事な物、つまり中身は何か解らないが…何か大切な物が入った箱を開ける鍵…』
『それを、アカデミーの者に託すのではなく、ビスマルクに託した…となれば…』
『考えられるのは、レオビナスと導師ゲイボルグをはじめとするアカデミーの者との間に分かれ道が生まれた…と考えるのが、妥当だ…』

ジャンヌ『…だ…誰か…来るわ…』
ビスマルク『ジャンヌ！』
リリー『声が…』
メア『お姉ちゃん！…大丈夫？無理しないで…』
一言だけ発したジャンヌは、静かに元の姿に戻っていく 
ビスマルク『…ジャンヌ…大丈夫？…』
ジャンヌ『…えぇ…へ…平気…よ…』
『…少し…体力が…減っているだけで…』
『すぐに、よくなるわ…』
『…それより、姉さん…少しずつだけど…此方に誰か近付いて来ているわ…』
ビスマルク『わ、わかった…貴女は休んでいなさい』
『くっ…！ここに来て追手か？…』
『メア、ジャンヌを頼む！』
リリー『ビスマルク！俺達で追手を迎え撃つぞ！』