星の記憶

鳳聖院 雀羅

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第3証【イブの断片】

【イブの断片編】ep.11『誘導弁論』

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魔導師ゲイボルグ『どうなされたのですか?ファング殿?…手が震えて居るではありませんか?…これは、大変だ!』
『…あっ!…酒が切れたのですな?…これは失礼、私としたことが…』
『これ!何をしておるか?! 急ぎ、客人に酒の振る舞いをせぬか!…』

ファング『ぐっ!…ぐぐっ』
両の腕では、事足りず 唇を強く噛み締める

魔導師ゲイボルグ『寒空の下だと、サイラム殿の御老体にも堪えましょう、場所を移しましょう  さぁさぁ、どうぞこちらに』

そう言いながら歩き始めるゲイボルグの後をサイラム達は、ゆっくりと着いていく
ファング『ぐっ!…おのれぇ!…』
サイラムがビスマルクを横目に視線を流す
ビスマルクはそのサイラムの視線を冷たい眼差しで見つめ返す

怒りに震えるファングの身体を擦りながら、ジャンヌはその後を追う
ジャンヌもビスマルクを横目に…
しかし、目が合うすれすれのところで視線を反らしてしまう

ジャンヌ『…姉さん…』
うつむきながらジャンヌは一言呟く

魔導師ゲイボルグ『さぁさぁ、どうぞ 少々堅苦しい場所ではございますが 腰を掛け、ゆっくりとおくつろぎください  今、係の者が酒と食事の用意をしておりますが故 しばしの間お時間を頂きたい!…』

騎士『…導師様、準備が整いました』

たくさんの食事と酒がテーブルの上に並べられる

魔導師ゲイボルグ『これこれ、ビスマルク!…貴女の御父上に御酌をして差し上げなさい…フフフ』
『しかし、あらためて見ても、ビスマルクはサラ様と瓜二つ』
『私も彼女を横目に見ていると、いつも生前のサラ様に姿を重ねてしまう 』
『そして、何時からで有ろう…サラ様のお声が耳の奥で聞こえる様になっていた』
『…はじめは、私のサラ様に対する想いが、幻聴として表れているのか?…そう自分に言い聞かせた』
『幾晩も、幾晩も、考えに考え 悩み悩みぬいて、ひとつの答えが導き出された』
『…なにゆえ意識がこの世に滞在するのか?まだこの世に未練があり、成せぬ偉業がそこにあるのか?…』

『それとも…ファング殿の犯した過ちを悔いておられるのか?…とも』

ファング『ぐっ!…ぐぐっ!…』
ジャキン!!  ファングが剣を抜く

ファング『…おのれぇ!黙って聞いておれば!無礼千万!』

騎士達『導師様!』
即座に導師、ビスマルクの前に立ち塞がり剣を構える

魔導師ゲイボルグ『これこれ…あなた達、御行儀が悪いですよ、堪えなさい フフフ』

魔導師ゲイボルグ『……残念ですが…仕方ありませんね  先に刃を振りかざしたのは、貴殿方なのですからね お忘れなき様…この刃の矛先は我々に向けられている…と言うことは…
…破談と言わざるを得ませんよね?…ファング殿の一振りの刃が我等両者の共存共栄の道を断たれてしまわれたのだ!…』

バタン!ザーザーザーザー!

魔導師ゲイボルグ『…おや?雨ですか?  なんとも嘆かわしいことだ…サラ様も嘆き悲しんで居られる…』
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