2 / 95
1st round
第2話「告白ドッキリーその2」
しおりを挟む
お祭りデートに行く前に、オレは如月を観察することにした。
フルネーム『如月心乃香』
まあまあ可愛らしい名前なのに、見た目とはアンバランスな気がする。出席番号二十三番。背は高くもなく低くもない。よく言えば華奢だが、なんて言うか細すぎて、そそられない。女子はもっと、ふっくらしていた方が好みだ。
いつも眼鏡を掛けており、癖毛で毛量が凄い。よく言えば、ゆるふわ系の髪なのかもしれない。視力が相当悪いのか授業中、目を細めるように黒板を睨んでる時がある。
勉強はそこそこできるっぽいが、運動神経は良くないようだ。バスケの授業中、顔面でボールを受けていて、あまりの鈍臭ささに吹き出しそうになった。
委員会は図書委員で、文芸部に所属。本の虫って奴か。クラスでも目立たない存在で、友人も少なさそうな典型的な陰キャだ。
授業中、じっと如月のことを眺めていたら、ふっと彼女と目があった。慌てて如月は真っ赤になって俯いた。
ちょっと男に告られただけでこの態度。ウブと言うか、男には全く免疫なさそうだ。今まで自分の周りに、いなかったタイプ。別の世界の人間のように感じた。同じ人間と思えなかった。正直見下していた。
自分より「ランクの低い人間」。だから何をしても許される……オレは無意識にそう思っていた。
***
ある放課後、大きな段ボールを抱え、フラフラしてる如月を見かけた。点数を稼ぐチャンスだと思った。如月をその気にさせた方が、ネタバラシをした時、絶対面白い。
「如月、大丈夫? 手伝うよ」
「えっ、あ、八神君っ? わわっ」
突然声を掛けられて、如月は荷物を持ったまま、バランスを崩して倒れ込みそうになった。本当に鈍臭いなと、オレは咄嗟に如月の体を支えた。不意に如月の体を、背後から抱え込むようになってしまった。ワザとじゃない。思ってたより、ずっと柔らかくて女子の体だと思った。
あんまりベタベタすると警戒されると、慌てて体を離す。
「あ、ありがとう」と如月は腕に抱えた荷物を、落とさないように抱え込んでいた。警戒はされなかったらしい。抜けていると言うか、経験がなさすぎて、男に対する警戒心があまりないのかもしれない。
オレは「手伝うよ」と如月の手荷物を持ち上げた。あまりの重さにビックリした。如月は「重いからいいよ、悪いよ」と慌て出したが、ここで引き下がっては、点数稼ぎが台無しだ。男の沽券にも関わる。それに情けない奴と思われたくない。
如月は「ごめんね、助かるよ」と申し訳なさそうに、何度もオレに頭を下げてきた。騙されてるとも知らないで、律儀な奴だと思った。それと同時に、少し困ったように微笑んで、隣をちょこちょこ歩いて着いてくるそんな如月を、オレは哀れだなと感じ始めていた。
つづく
フルネーム『如月心乃香』
まあまあ可愛らしい名前なのに、見た目とはアンバランスな気がする。出席番号二十三番。背は高くもなく低くもない。よく言えば華奢だが、なんて言うか細すぎて、そそられない。女子はもっと、ふっくらしていた方が好みだ。
いつも眼鏡を掛けており、癖毛で毛量が凄い。よく言えば、ゆるふわ系の髪なのかもしれない。視力が相当悪いのか授業中、目を細めるように黒板を睨んでる時がある。
勉強はそこそこできるっぽいが、運動神経は良くないようだ。バスケの授業中、顔面でボールを受けていて、あまりの鈍臭ささに吹き出しそうになった。
委員会は図書委員で、文芸部に所属。本の虫って奴か。クラスでも目立たない存在で、友人も少なさそうな典型的な陰キャだ。
授業中、じっと如月のことを眺めていたら、ふっと彼女と目があった。慌てて如月は真っ赤になって俯いた。
ちょっと男に告られただけでこの態度。ウブと言うか、男には全く免疫なさそうだ。今まで自分の周りに、いなかったタイプ。別の世界の人間のように感じた。同じ人間と思えなかった。正直見下していた。
自分より「ランクの低い人間」。だから何をしても許される……オレは無意識にそう思っていた。
***
ある放課後、大きな段ボールを抱え、フラフラしてる如月を見かけた。点数を稼ぐチャンスだと思った。如月をその気にさせた方が、ネタバラシをした時、絶対面白い。
「如月、大丈夫? 手伝うよ」
「えっ、あ、八神君っ? わわっ」
突然声を掛けられて、如月は荷物を持ったまま、バランスを崩して倒れ込みそうになった。本当に鈍臭いなと、オレは咄嗟に如月の体を支えた。不意に如月の体を、背後から抱え込むようになってしまった。ワザとじゃない。思ってたより、ずっと柔らかくて女子の体だと思った。
あんまりベタベタすると警戒されると、慌てて体を離す。
「あ、ありがとう」と如月は腕に抱えた荷物を、落とさないように抱え込んでいた。警戒はされなかったらしい。抜けていると言うか、経験がなさすぎて、男に対する警戒心があまりないのかもしれない。
オレは「手伝うよ」と如月の手荷物を持ち上げた。あまりの重さにビックリした。如月は「重いからいいよ、悪いよ」と慌て出したが、ここで引き下がっては、点数稼ぎが台無しだ。男の沽券にも関わる。それに情けない奴と思われたくない。
如月は「ごめんね、助かるよ」と申し訳なさそうに、何度もオレに頭を下げてきた。騙されてるとも知らないで、律儀な奴だと思った。それと同時に、少し困ったように微笑んで、隣をちょこちょこ歩いて着いてくるそんな如月を、オレは哀れだなと感じ始めていた。
つづく
1
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される
けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」
「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」
「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」
県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。
頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。
その名も『古羊姉妹』
本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。
――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。
そして『その日』は突然やってきた。
ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。
助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。
何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった!
――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。
そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ!
意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。
士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。
こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。
が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。
彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。
※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。
イラスト担当:さんさん
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる