泣いて謝っても許してあげない

あおい 千隼

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第二章 耽溺

第七十三話

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 計画はこうだ。

 キャンプ地に訪れ不運にも異常者に襲われてしまう。香奈は惨殺され、音稀は大怪我を負うが九死に一生を得る。最後に音稀を庇った俺も命を奪われ死亡───

 だがこの計画で何が怖ろしいかって、計画を企てた本人が俺だということだ。姉弟の泥沼に嫌気を刺した俺、異常者を金で雇い始末してしまおうとキャンプを持ちかけたんだと。

 ンで、自由を手に入れるために男の恋人を始末する手筈が逆に返り討ちに遭い、運悪く急所を撃ち抜かれて即死する。

 ちなみに元嫁が持参した拳銃は俺の名を語り慶子が手に入れたもので、俺が慶子に贈った婚約指輪や彼女の祖母から受け継いだ宝石などを俺が盗み出し、それらを換金して入手したという筋書き。

 けど殺人の道具として持ち込んだはずの拳銃が、逆に俺が殺される凶器になっちまった──ってオチだそうだ。すんげえ怖え計画だが、聞いてると俺ってかなり間抜けじゃね。地味にへこむわそんな結末。

 でもってストーカー野郎の登場だが、こいつは香奈に唆されてひょいひょいやってきたボケだったりする。香奈からすれば、今回すべてを自分の思い通りに収めようとしていたようだ。

 香奈もいい歳だ、ダチも挙って結婚して子供を産み母親になっていく。だが自分はまだ独身、そろそろ身を固めたいところ。それで目をつけたのが俺なんだと。

 稼ぎも悪くねえ、見た目は合格、しかも身体の相性もいいとくりゃ結婚相手として相応しいそうだ。俺の浮気性に関しては、給料を丸っぽ管理し金銭的に困窮させりゃ問題なし。

 ない袖振れなけりゃ浮気もできねえだろうと考えたようだが、まったくもってそれ正解。金がなけりゃどうにもなんねえ、そんな未来にならなくて心底よかったわと安堵してみても今の状態じゃ素直に喜べねえのが辛い。

 ともかく香奈は俺と音稀を仲違いさせ、破局に追い込み彼女の座をゲットする予定だったらしい。それでストーカー野郎を呼びだしたようだ。こいつをつかい、音稀を襲わせ現場を俺に見せる。

 俺が愚痴愚痴と香奈に泣き言を洩らしていたのを逆手に取ったらしい。極度のヤキモチで参ってる俺に、そんな現場を見せれば音稀は終わり。そこを透かさず香奈が俺を慰め懇ろに──それがクソ女の計画だった。
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