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第二章 耽溺
第七十七話
しおりを挟む「だっていつバレるか分からないじゃない。尋問で口が滑ったら? 偽善で罪を償おうと警察に洩らしたら? そんな危険人物を生かしておいたら私の身が危なくなるし」
「そんな……じゃあおまえ、保身のためだけに音稀を殺したってのかっ。嘘をついてあいつを騙してっ!」
「そうよ。だってあの子は人殺しよ、すでに人権なんてないわよ。だから私が始末してあげただけ、社会に殺人鬼を放つのを阻止してあげたのよ感謝して欲しいぐらいだわ」
聞くに堪えねえ自己紹介乙、全部てめえのことじゃねえか。
こいつガチにイカれてやがる。焦点の合わねえ目で俺を見ながらケラケラと笑うキチ。けどここまでメンヘラになっちまったのは、俺がこいつを壊したからなんだろうな。
だけど自分のしたことを棚に上げた俺は、憎しみに任せ顔面にパンチをぶち込む。妙な方向に曲がった鼻、たぶん骨が折れたかも。血だらけで唸る慶子、ばたつかせる足。
そのうち慶子のひざが俺の股間にヒットし俺悶絶、その隙に慶子は拳銃の許に走り床から回収。俺に向けられた銃口が光る。
「あんたが皆を殺したのよっ。世間はあんたが人殺しだって震撼するわ、義両親もさぞ肩身が狭くなるでしょうね。何もかもあんたのせい、それだけの罪をあんたは犯したの。
それから殺人鬼さん、あんたは恋人の両親も手にかけたのよ。可哀想に音稀くんの家族は全滅、涼風家の血筋はあんたによって途絶えさせられてしまった」
この女なにを言ってるんだ。血筋が途絶えるって……まさかっ!
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