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第三章 指切
第二話
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「遥希さん。蓮花様が五番テーブルにお越しです」
ホストクラブ──フリューゲル──
クリムゾンのソファに腰かけ優雅に女性を接客していた相楽 遥希の許に、黒服が片ひざ立ちで声をかける。
「ああ、わかった。ありがとう」
艶冶な美貌が武器の遥希、妖艶な微笑みを宿したまま女性客から黒服に移すと穏やかに答えた。男だと理解してはいても、絶対的な遥希の美しさをまえに黒服は頬を染める。
となりに腰を掛ける女性客が遥希の腕を絡め取ると、「ええー、もういっちゃうの?」と拗ねた声で悲しんでみせる。
「杏子さん、ごめんね」
杏子と呼ばれる客に顔を近づけると、目を合せて遥希は困ったように謝る。それから「僕の代わりは彼がしてくれるから、いい子にしてるんだよ」と軽く口唇にキスをした。
それだけでほとんどの女性は陥落。すっくと立つとヘルプにつくホストに「純平。杏子さんを任せたよ」と担当を任せ、客の耳もとで「けど浮気したら許さないよ」とささやく。
うっとりしているあいだに後輩ホストの純平と席を代わり、遥希は黒服につづき五番テーブルに向かうのだった。
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