次の風が吹いたら

みるく♪

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ストロベリー ムーン

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珍しくケータイに かかってきた
ふるさとの父さんから電話
そして何の前置きもなく
ただかすの

「早く 早く、外に出ておいで。
お月さまを ごらん。
今夜は 特別な満月だよ!」

「特別な満月? 何それ?」

「いいから、早く早く。
東の空。東の空だよ!
いま父さんは、
母さんと いっしょに見てるよ。
みるくも いっしょに見よう」

父は こういう人なのだ
こっちの都合を考えない
見えないのだから、まあ仕方ないね

とにかく ベランダに出てみよう

『ニャーン』
『ミャオー』
それぞれ ひとり遊びしていた猫たちも
とことこ付いて来た

そして ベランダに出た途端
「うわあステキ!」
心、直撃!

大きな大きな満月だった
ほの赤い満月

やわらかな藍色の空
住宅街のシルエット
家々の屋根に 乗っかるようにして
ほの赤い満月

ホウキに乗った魔女が
ヒュウンと通過しそうな……

「どうだい、きれいだろ? 」
自慢気な父さん

『ニャニャッ ニャー』
『ナゴ ナゴー』
足もとに まとわりついてた猫たちが
抱っこを せがみはじめた

「ミーちゃんたちも、見たい?」
『ニャーン』  
『ニャーン』

二匹いっしょは無理なので 
交代で抱っこした
「ほうら、
お月さま きれいね」

猫たちにも わかるんだろうか?
昼間は 針のように細い瞳も
夜は まん丸
その黒い瞳に お月さまを映した

「今夜の満月には 
特別な 名前があるんだ。
ストロベリー  ムーン というんだよ」
また、父さんの自慢気な声

(2019年6月17日)


※※※※※
~dmenu ニュースより~
アメリカの先住民は、季節を把握するために、
各月の満月に 名前を付けていた。
イチゴの収穫期に あたる6月の 満月の名前は、
ストロベリー ムーン。
ちょうど6月は、空気中の水蒸気が多いため、
高度の低い月は ややピンク色に 見えることがある。

※※※※※
各月の満月の名前

1月  狼月 
2月  雪月、嵐月(嵐とは吹雪のこと)
3月  芋虫月、樹液月
4月  桃色月、萌芽月、卵月、魚月
5月  花月、種まき月
6月  苺月(ストロベリームーン)、蜜月、薔薇月
7月  男鹿月、干し草月
8月  蝶鮫チョウザメ
9月  収穫月、トウモロコシ月
10月  狩猟月
11月  ビーバー月
12月  寒月、夜長月
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