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1話 メアリー

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「んっ…」
「あっ、やっと起きた」
目を開けると七色の羽の生えた妖精のようなものがいた。

「…妖精?」
俺がそう言うと妖精は手のひらほどの小さな体で俺の頭を叩いて怒りをあらわにした。

「うおっ、何々?」
「あんなコバエみたいな連中と一緒にしないでよ!私はメアリー、あんたをここに送ったイヴ様の使いなの!あんなバカみたいにいつもヘラヘラしてるアホと一緒にしないで!!」

コイツ二回言ったぞ、一緒にするなって二回言ったぞ。

「お、おぅ…ん?ここに送ったイヴ様?」
俺がそう聞くとメアリーはよくぞ聞いたといわんばかりの顔をした。

「そう、惨めに死んだあんたを優しーいイヴ様は可哀想に思ってあんたをこの世界に送ったの」

いや、惨めに死んだからって別世界に送る意味よ、別に俺虐待にあってたわけでも、いじめにあってたわけでも、生きるのつらいとかとも思った事ないけど

俺はあの時上から降ってきた鉄柱に押しつぶされて死んだ。
それはもうぺちゃんこに、すごく痛かったし苦しかったけどしょうがないかなって自分の中で踏ん切りはついていた。

「ちょっと聞いてます?」
「あ、あぁ」
「で、イヴ様はすごーく優しいので貴方にスペシャルエリートなメアリーちゃんを案内人としてつけたの!」

…スペシャルエリートって自分で言う?コイツ見た目は可愛いのになかなか残念だぞ、中身が。

「…この世界はどういう世界なんだ?」
辺りを見渡しても木があるだけで特に情報が得られそうになかった。

「あんたが元々いた世界は科学によって発展した世界、この世界はその逆で魔法によって発展した世界なの」

メアリーの話によると元の世界で言う科学技術。それがすべて魔法によって補われている世界らしい。

医療は治癒魔法、電気は光、雷魔法などまぁ…俺の世界で言うファンタジーな世界のようだ。

「ってことは俺も魔法使える!?」
期待を胸に俺はメアリーに目を向けた。

「えぇ、イヴ様が貴方に魔力を植え付けてるはずよ、まぁいろいろやってみなさい、すぐ近くに大きな街があるからしばらくはそこで情報を集めたり、お金を稼いだりするといいんじゃない?じゃ、私の仕事はここまでだから」
メアリーはそういうと跡形もなく消え、メアリーがいた場所には小さな鞄があった。

ってか案内人ってやることこれだけなの…?

と…とりあえず鞄を見よう

中には金貨が2枚と銀貨が10枚入った袋、地図、小さな巾着、手紙が入っていた。

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言ってなかったけど、小さい巾着にはマジックボックスって言っていくらでも、なんでも入るチートな魔法をこのスペシャルエリートなメアリーちゃんがかけておいたから大切に、そう、大切に使いなさい!

PS.この世界で金貨は1万円、銀貨は1000円ぐらいの価値と思っておきなさい。
(自分で稼げ)
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