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求婚?
しおりを挟むレオは王城へ報告に戻らないといけないらしいので、ここで一旦お別れだ。
と、しばしの別れの挨拶をしようとしたら、レオが私の前で片膝を突いた。
まるで求婚シーンみたいね。なぁんて考えてしまったのはここ数日で求婚しまくられたせいだ。うんうん。別の私の頭の中がピンク色なだけではない。はずだ。
「義姉上。すでに報告は受けております。――ギュラフ公のご冥福をお祈りいたします」
「あ、ありがとう。夫も浮かばれると思うわ。…………。……いやいや報告って、ずいぶん早くない?」
夫の死からまだ時間が経っていないし、噂話として広まるのはまだ先のはず。王都で報告を受けるなら早馬を走らせるかワイバーン便を飛ばすか、あるいは長距離通信魔法を使うか……。たぶんあのバカ義息は諸々の手続きをしていないだろうし、王都への報告は私がやることになるはずだ。今の時点でお父様の死を知っているのは早すぎる。
「えぇ。ギュラフ公爵領にはそれなりの人を忍び込ませていますので」
何でもことのないように言うレオだった。いやいやそれって忍者とかスパイのことよね? なんでそんなものを忍び込ませているのか。領地が隣り合っていて領土紛争をしているとかならまだしも……。
「大切な義姉上を預けるのです。このくらいは当然かと。……もしもあの男が無体を働くようなら暗殺しなければなりませんし」
「暗殺って」
まったくもーレオは昔から冗談が下手なんだからー。…………。……冗談よね? 本気じゃないわよね? こんな、血のつながりのうっすい義姉のために公爵暗殺なんてするはずが……。
「義姉上」
膝を突いたまま、レオが私の手を取る。
「真面目な義姉上のこと。もしかしたらすぐに次の嫁ぎ先を決めて実家に迷惑を掛けないようにしなければと考えているかもしれません」
いえ、まったく?
そんなこと微塵も考えていませんが?
レオはちょっとお姉ちゃんのことを過剰評価しすぎじゃない?
「ですが」
まっすぐに。熱すら込めてレオが私の目を見つめる。
「義姉上はもう結婚などする必要はありません。僕と一緒に公爵家で暮らしましょう。ずっと一緒に。誰にも邪魔されず。子供が必要なら作ればいいですし」
「……お~ん?」
なんだこの、なんだ? なんだこの感じ?
ずっと一緒に暮らして?
必要なら子供も作って?
なんだこれ?
これも一種の求婚なのでは?
ははーん? 他の人からも求婚されていると察して、すこし変化球で求婚してきたってところかしら? いやいやそんなわけあるかい。そんな何パターンもの求婚をされてたまるかい。いやでもレオの目はこの数日で見慣れてしまった、ある種の『熱』が込められているし……。
な、なんだこれ?
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