21 / 57
刑部
しおりを挟む
張さんと私。
そしてなぜか付いてくる梓宸と瑾曦様。
この四人で王宮をめぐり、事件の調査をすることになった。
「これは別に批難するつもりはないですけど、瑾曦様は外廷の外まで付いてきてもいいんですか?」
さっきは少し怒らせちゃったので気を配りながら質問する私だった。だって外廷までなら『接待のお仕事です』で済むだろうけど、そこを出ちゃうのはさすがに……。
「なぁに、皇帝と一緒なら『またあの女好きが無茶を通しているよ』って感じになるから平気さ。さすがに宮廷の外へは行けないけどね」
瑾曦様的にも女好きという見解らしい。まぁそうでしょうね。
ちなみに『宮廷』は内廷(私的空間)外廷(公的空間)を含めたお城全体のことだ。皇宮や宮城とも言うらしい。詳しい区分というか呼び分け方は私には分からない。
梓宸は仕事しなくてもいいのかなぁと思ったけど……まぁいいか。だって梓宸だし。きっと維さんが頑張ってくれているでしょう。
「なんだか批難されている気がするぞぅ?」
批難するところしかない幼なじみがなんか言っていた。無視無視。私は12年も無視されたのだから。
張さんが案内してくれたのはかなり大きめな建物だった。兵士が出入りしているから近衛の本部とか、あるいは刑官(警官)の詰め所とか?
ちなみに我が国では先帝と現帝の時代に行政の大幅改造が実施され、四夫人の名称変更ほか多くの改革がなされた。そのうちの一つが刑部で、罪人の逮捕は刑部に所属する刑官が行うことになっている。らしい。いや私は品行方正だから刑官のお世話になるようなことはしてないし、よく知らないけど。
と、入り口横に看板が掲げられていた。そこに書かれていたのは――刑部。実務機関である六部の一つで、司法と警察を担っている役所だ。
刑官の詰所どころか、司法警察関係で一番上の役所ね。いきなりこんな偉いところが出てくるの? とは思ったけど、よく考えたら妃の毒殺未遂事件は十分えらいことよね。
張さんの後に続いて刑部の建物の中へ。いやー、犯罪とは無縁の人生を生きてきたからドキドキですわー。
「凜風は冗談が下手だね」
「どういうことですか瑾曦様?」
「皇帝陛下を蹴り飛ばすのは最上級の犯罪だってことさ」
「いやいや、私、『告発されなきゃ犯罪じゃない』の精神で日々を過ごしていますので。あるいは『バレなきゃ犯罪じゃない』でも可。つまり捕まったことがない私は品行方正で清廉潔白な人物なのです」
「とんでもないことを口走ったね……。陛下、この子を本気で皇后にするつもりですか? いや人の恋路を邪魔するつもりはないですが、考え直しては?」
本人を目の前にして『考え直せ』とは失礼な。いやしかし、皇后になるつもりはないので反対するのもなぁ。どうしたものかなぁ。
私が悩んでいると梓宸はなぜか自信満々に胸を張った。
「大丈夫だ。凜風はそんなに悪いことはしないからな」
これは信頼されていると喜ぶべきか、『そんなに』という部分に突っ込むべきか……。
「まっ、あたしは別にいいですけどね。凜風は話が分かりそうですし。というわけで凜風、皇后になった暁にはあたしの宮の改築と祖国への援助を頼むよ」
「いやいや前提がおかしいです。なぜ私が皇后になること前提で話が進んでいるんです?」
「あっはっはっ! あの『狩猟帝劉宸』が狙った獲物を逃すはずがないだろう?」
「狩猟帝って……」
幼なじみがとんでもないあだ名(?)で呼ばれているっぽい。笑っていいところですか?
※あけましておめでとうございます!
本日より第9回キャラ文芸大賞の投票受付が始まっております! こちらの作品も参加中です! ご協力よろしくお願いいたします!
そしてなぜか付いてくる梓宸と瑾曦様。
この四人で王宮をめぐり、事件の調査をすることになった。
「これは別に批難するつもりはないですけど、瑾曦様は外廷の外まで付いてきてもいいんですか?」
さっきは少し怒らせちゃったので気を配りながら質問する私だった。だって外廷までなら『接待のお仕事です』で済むだろうけど、そこを出ちゃうのはさすがに……。
「なぁに、皇帝と一緒なら『またあの女好きが無茶を通しているよ』って感じになるから平気さ。さすがに宮廷の外へは行けないけどね」
瑾曦様的にも女好きという見解らしい。まぁそうでしょうね。
ちなみに『宮廷』は内廷(私的空間)外廷(公的空間)を含めたお城全体のことだ。皇宮や宮城とも言うらしい。詳しい区分というか呼び分け方は私には分からない。
梓宸は仕事しなくてもいいのかなぁと思ったけど……まぁいいか。だって梓宸だし。きっと維さんが頑張ってくれているでしょう。
「なんだか批難されている気がするぞぅ?」
批難するところしかない幼なじみがなんか言っていた。無視無視。私は12年も無視されたのだから。
張さんが案内してくれたのはかなり大きめな建物だった。兵士が出入りしているから近衛の本部とか、あるいは刑官(警官)の詰め所とか?
ちなみに我が国では先帝と現帝の時代に行政の大幅改造が実施され、四夫人の名称変更ほか多くの改革がなされた。そのうちの一つが刑部で、罪人の逮捕は刑部に所属する刑官が行うことになっている。らしい。いや私は品行方正だから刑官のお世話になるようなことはしてないし、よく知らないけど。
と、入り口横に看板が掲げられていた。そこに書かれていたのは――刑部。実務機関である六部の一つで、司法と警察を担っている役所だ。
刑官の詰所どころか、司法警察関係で一番上の役所ね。いきなりこんな偉いところが出てくるの? とは思ったけど、よく考えたら妃の毒殺未遂事件は十分えらいことよね。
張さんの後に続いて刑部の建物の中へ。いやー、犯罪とは無縁の人生を生きてきたからドキドキですわー。
「凜風は冗談が下手だね」
「どういうことですか瑾曦様?」
「皇帝陛下を蹴り飛ばすのは最上級の犯罪だってことさ」
「いやいや、私、『告発されなきゃ犯罪じゃない』の精神で日々を過ごしていますので。あるいは『バレなきゃ犯罪じゃない』でも可。つまり捕まったことがない私は品行方正で清廉潔白な人物なのです」
「とんでもないことを口走ったね……。陛下、この子を本気で皇后にするつもりですか? いや人の恋路を邪魔するつもりはないですが、考え直しては?」
本人を目の前にして『考え直せ』とは失礼な。いやしかし、皇后になるつもりはないので反対するのもなぁ。どうしたものかなぁ。
私が悩んでいると梓宸はなぜか自信満々に胸を張った。
「大丈夫だ。凜風はそんなに悪いことはしないからな」
これは信頼されていると喜ぶべきか、『そんなに』という部分に突っ込むべきか……。
「まっ、あたしは別にいいですけどね。凜風は話が分かりそうですし。というわけで凜風、皇后になった暁にはあたしの宮の改築と祖国への援助を頼むよ」
「いやいや前提がおかしいです。なぜ私が皇后になること前提で話が進んでいるんです?」
「あっはっはっ! あの『狩猟帝劉宸』が狙った獲物を逃すはずがないだろう?」
「狩猟帝って……」
幼なじみがとんでもないあだ名(?)で呼ばれているっぽい。笑っていいところですか?
※あけましておめでとうございます!
本日より第9回キャラ文芸大賞の投票受付が始まっております! こちらの作品も参加中です! ご協力よろしくお願いいたします!
149
あなたにおすすめの小説
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
全てがどうでもよくなった私は理想郷へ旅立つ
霜月満月
恋愛
「ああ、やっぱりあなたはまたそうして私を責めるのね‥‥」
ジュリア・タリアヴィーニは公爵令嬢。そして、婚約者は自国の王太子。
でも私が殿下と結婚することはない。だってあなたは他の人を選んだのだもの。『前』と変わらず━━
これはとある能力を持つ一族に産まれた令嬢と自身に掛けられた封印に縛られる王太子の遠回りな物語。
※なろう様で投稿済みの作品です。
※画像はジュリアの婚約披露の時のイメージです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
政略結婚した夫に殺される夢を見た翌日、裏庭に深い穴が掘られていました
伊織
恋愛
夫に殺される夢を見た。
冷え切った青い瞳で見下ろされ、血に染まった寝室で命を奪われる――あまりにも生々しい悪夢。
夢から覚めたセレナは、政略結婚した騎士団長の夫・ルシアンとの冷えた関係を改めて実感する。
彼は宝石ばかり買う妻を快く思っておらず、セレナもまた、愛のない結婚に期待などしていなかった。
だがその日、夢の中で自分が埋められていたはずの屋敷の裏庭で、
「深い穴を掘るために用意されたようなスコップ」を目にしてしまう。
これは、ただの悪夢なのか。
それとも――現実に起こる未来の予兆なのか。
闇魔法を受け継ぐ公爵令嬢と、彼女を疎む騎士団長。
不穏な夢から始まる、夫婦の物語。
男女の恋愛小説に挑戦しています。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる