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閑話 太妃
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――宮廷。
多くの宮が立ち並ぶ中、ひときわ歴史を感じさせる建物で。先帝陛下の皇后であった『太妃』は部下からの報告に耳を傾けていた。
御簾(すだれ)の向こう側にいるので姿は分からない。
だが、発せられる雰囲気からして太妃が不機嫌であることは容易に察せられた。
部下からの報告が一段落したあと。
「――梓宸が女を連れ込んだそうだな?」
皇帝陛下ではなく、梓宸と。
長年政務に携わってきた彼女からすれば、まだまだ梓宸は『皇帝劉宸』と呼べるほどの存在ではないということなのかもしれない。
明らかに機嫌が悪い太妃に胃を痛くしつつ、部下が一層頭を下げた。
「はっ、四夫人に接待をさせたあと、後宮へと連れ込んだと」
「……まったく、これだから女慣れしないまま後宮にぶち込まれた男は……」
心底呆れ果てたようにため息をつく太妃であった。
「その連れ込んだ女、許家の娘なのだろうな?」
「はっ、そのようで」
「南朝貴族の末裔か……。家格としてはどうにでもなる……。それに鉄の専売権を有するほどなら金も搾り取れる。あとはこちらに引き込んで梓宸を操らせてもいいか……」
少しばかり怒りが静まってきたような太妃。だが、そんな彼女の怒りに再び火を付けかねない報告を、部下はしなければならなかった。
「その娘――凜風ですが、一つ気になる情報が」
「なんだ?」
「はっ、なんでも『方術士』であるようで。本人は神仙術士を名乗っておりますが、怪しき術を使うのは変わりがないとのこと」
凜風に言わせれば方術士と神仙術士はまるで違うものなのだが、他の人間から見れば同じにしか見えないのだろう。怪しさという点に置いて。
「――方術士、だと?」
地獄の底から響いてくるかのような声を出した太妃は、御簾の向こう側で乱暴に立ち上がった。
「方術士などを妃にできるものか」
「では、いかがなさいましょう?」
「決まっている。――排除だ」
多くの宮が立ち並ぶ中、ひときわ歴史を感じさせる建物で。先帝陛下の皇后であった『太妃』は部下からの報告に耳を傾けていた。
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部下からの報告が一段落したあと。
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明らかに機嫌が悪い太妃に胃を痛くしつつ、部下が一層頭を下げた。
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「……まったく、これだから女慣れしないまま後宮にぶち込まれた男は……」
心底呆れ果てたようにため息をつく太妃であった。
「その連れ込んだ女、許家の娘なのだろうな?」
「はっ、そのようで」
「南朝貴族の末裔か……。家格としてはどうにでもなる……。それに鉄の専売権を有するほどなら金も搾り取れる。あとはこちらに引き込んで梓宸を操らせてもいいか……」
少しばかり怒りが静まってきたような太妃。だが、そんな彼女の怒りに再び火を付けかねない報告を、部下はしなければならなかった。
「その娘――凜風ですが、一つ気になる情報が」
「なんだ?」
「はっ、なんでも『方術士』であるようで。本人は神仙術士を名乗っておりますが、怪しき術を使うのは変わりがないとのこと」
凜風に言わせれば方術士と神仙術士はまるで違うものなのだが、他の人間から見れば同じにしか見えないのだろう。怪しさという点に置いて。
「――方術士、だと?」
地獄の底から響いてくるかのような声を出した太妃は、御簾の向こう側で乱暴に立ち上がった。
「方術士などを妃にできるものか」
「では、いかがなさいましょう?」
「決まっている。――排除だ」
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