48 / 57
念話
しおりを挟む
後宮での本の販売を認めさせるにしても、まずは現物がないとね。
というわけで私はさっそく地元にいる弟と念話で連絡を取り、いくつかの本を取り寄せてもらうことにしたのだった。
『姉さん、後宮でも商売をはじめるんですか……』
なぜか呆れた様子の弟だった。
「そこに売り先があるのだから売らなきゃいけないでしょう?」
『許家の血を引いてますねぇ……。ディックさんが楽しみにしてますから、欧羅の品も売れるようにしてくださいね』
そういえば欧羅商人のディックさんとそんな約束もしたような?
「でも、後宮って太妃派――保守派と革新派が対立していてねぇ。欧羅の品を堂々と売ると面倒に巻き込まれそうなのよね」
『――なるほど。つまり対立を上手く煽れば革新派に欧羅の品を買ってもらいやすいと? そして同時に高品質な大華国製品を持ち込めば保守派にも売れると』
うーん、許家の次期当主ぅ……。
「それ、私が太妃派から目を付けられるんだけど?」
『姉さんならどうとでもできるでしょう?』
「弟からの信頼が厚すぎる……」
『今までの行いですね』
「ちょっと神仙術を習得して人助けしただけなのに……。まぁいいわ、とりあえず後宮の妃たちが好きそうな本をいくつか送ってちょうだい」
『はいはい』
「あまり過激なのはダメよ?」
『むしろそういう本の方が売れそうじゃないですか? そういう場所なんですから』
「ダメよ。最初から過激なのを持って行ったら今後全部検閲で弾かれるかもしれないもの。まずは当たり障りのないものでお偉いさんの目を慣らさないと」
『なるほど』
「じゃあよろしくね? あと、お父様たちは元気?」
『元気ですよ。姉さんの立身出世のおかげで毎日上機嫌です』
「立身出世?」
あぁ、上級妃の専属医になるのは立身出世よね。期間限定とはいえ、実績は残るし。皇帝の子供を取り上げたとなればそれだけで仕事に困らなそうだしね。
『そうじゃないですけど……まぁいいですか……。あと、最近は浄さんが修行を頑張っていまして』
「浄が?」
そういえば、私の義理の息子でありながら護衛役もやってもらっているけど、男は宦官にならないと後宮には入れないからお留守番してもらっているのよね。念話での連絡もなかったけど「まぁ、思春期男子だからねー」っと大して気にしていなかったのだ。
修行かぁ。何をやっているかちょっと気になるかも……。
まぁ、でも、思春期男子って頑張っている姿を母親に見られたくないとも聞くし、ここは知らなかったふりをするべきよね。
『……可哀想』
なにかをボソッとつぶやかれたけど、念話ってあまり小さい声は拾えないのよね。
というわけで私はさっそく地元にいる弟と念話で連絡を取り、いくつかの本を取り寄せてもらうことにしたのだった。
『姉さん、後宮でも商売をはじめるんですか……』
なぜか呆れた様子の弟だった。
「そこに売り先があるのだから売らなきゃいけないでしょう?」
『許家の血を引いてますねぇ……。ディックさんが楽しみにしてますから、欧羅の品も売れるようにしてくださいね』
そういえば欧羅商人のディックさんとそんな約束もしたような?
「でも、後宮って太妃派――保守派と革新派が対立していてねぇ。欧羅の品を堂々と売ると面倒に巻き込まれそうなのよね」
『――なるほど。つまり対立を上手く煽れば革新派に欧羅の品を買ってもらいやすいと? そして同時に高品質な大華国製品を持ち込めば保守派にも売れると』
うーん、許家の次期当主ぅ……。
「それ、私が太妃派から目を付けられるんだけど?」
『姉さんならどうとでもできるでしょう?』
「弟からの信頼が厚すぎる……」
『今までの行いですね』
「ちょっと神仙術を習得して人助けしただけなのに……。まぁいいわ、とりあえず後宮の妃たちが好きそうな本をいくつか送ってちょうだい」
『はいはい』
「あまり過激なのはダメよ?」
『むしろそういう本の方が売れそうじゃないですか? そういう場所なんですから』
「ダメよ。最初から過激なのを持って行ったら今後全部検閲で弾かれるかもしれないもの。まずは当たり障りのないものでお偉いさんの目を慣らさないと」
『なるほど』
「じゃあよろしくね? あと、お父様たちは元気?」
『元気ですよ。姉さんの立身出世のおかげで毎日上機嫌です』
「立身出世?」
あぁ、上級妃の専属医になるのは立身出世よね。期間限定とはいえ、実績は残るし。皇帝の子供を取り上げたとなればそれだけで仕事に困らなそうだしね。
『そうじゃないですけど……まぁいいですか……。あと、最近は浄さんが修行を頑張っていまして』
「浄が?」
そういえば、私の義理の息子でありながら護衛役もやってもらっているけど、男は宦官にならないと後宮には入れないからお留守番してもらっているのよね。念話での連絡もなかったけど「まぁ、思春期男子だからねー」っと大して気にしていなかったのだ。
修行かぁ。何をやっているかちょっと気になるかも……。
まぁ、でも、思春期男子って頑張っている姿を母親に見られたくないとも聞くし、ここは知らなかったふりをするべきよね。
『……可哀想』
なにかをボソッとつぶやかれたけど、念話ってあまり小さい声は拾えないのよね。
76
あなたにおすすめの小説
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた
小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。
7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。
ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。
※よくある話で設定はゆるいです。
誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。
愛する女性を側室に望むのなら、いっそ私との婚約は解消してほしいのですが?
四折 柊
恋愛
公爵令嬢ジョゼフィーヌには好きな人がいた。その人は隣国の王子様リック。ジョゼフィーヌはリックと結婚したくて努力をしてきた。そして十六歳になり立派な淑女になれたと自信を得たジョゼフィーヌは、リックにプロポーズをしようとした。ところが彼に婚約者がいたことが発覚し悲しみに暮れる。今まで確認しなかった自分も悪いが、なぜかリックも家族もそのことを教えてくれなかった。そんなときジョゼフィーヌに婚約の打診が来た。その相手は自国のアルバン王太子殿下。断りたいが王命が下り仕方なく受け入れた。それなのに、ある日夜会でアルバンが可憐な令嬢に一目惚れをした。その後、アルバンはその令嬢を側室にしたいと望んだので、お互いのために婚約を解消したいと申し出たが拒絶されて……。ジョゼフィーヌの未来はどうなるのか?!
全てがどうでもよくなった私は理想郷へ旅立つ
霜月満月
恋愛
「ああ、やっぱりあなたはまたそうして私を責めるのね‥‥」
ジュリア・タリアヴィーニは公爵令嬢。そして、婚約者は自国の王太子。
でも私が殿下と結婚することはない。だってあなたは他の人を選んだのだもの。『前』と変わらず━━
これはとある能力を持つ一族に産まれた令嬢と自身に掛けられた封印に縛られる王太子の遠回りな物語。
※なろう様で投稿済みの作品です。
※画像はジュリアの婚約披露の時のイメージです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる