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微笑ましい
海藍様の後に続いて、海藍様の宮へ。雪花は警戒して気をつけるよう言ってくれたけど、まぁ大丈夫でしょう。海藍様だし。
ちなみに歩く順番は海藍様、私、海藍様の侍女という順番だったのだけど……その最後尾に、情報屋の子猫が付いてきていた。さも当然のような顔をしながら。
「――排除」
海藍様が指を鳴らすと、侍女たちが一斉に動いて子猫を取り囲んだ。そのまま両側から子猫の腕を掴み、どこかへと引きずっていく。
「おぉおおお……上級妃と未来の皇后の対決ぅ……ぜったい人気になる小話なのにぃ……」
ま~た阿呆なことをほざきながら連行される子猫だった。
「ふん」
鼻を鳴らしてからスタスタと歩みを再開する海藍様。あなたの侍女が全員どっか行っちゃいましたけど、いいんですか?
◇
海藍様の宮には侍女長さんが控えていた。まぁさすがに二人きりなんてことはないわよね。
ちなみにこの侍女長さん、この前やった海藍様とのお茶会のときにもいた人で……私と海藍様との微笑ましいやり取りでだいぶ精神的に消耗していた人だ。
まぁ海藍様はどうでもいいけど、この侍女長さんは私に悪い感情を抱いていなさそうだし、今日はなるべく穏やかなお茶会を目指しましょうか。海藍様はどうでもいいけど。
今日のお茶はラズベリーリーフではなかった。ちゃんとこちらの警告は聞いてくれたらしい。
とりあえず。椅子に座ってお茶を飲む私たち。当然というか何というか、ずいぶんとお高い茶葉だった。うーん、普段からこんな良いお茶っ葉を使っているなら、うちで取り扱っている最高級品を売り込んでみようかしら……?
「ところで。今日はまたなぜお茶会を? 太妃様から何か言われましたか? 海藍様って確か太妃様の派閥ですよね?」
「…………」
ジトーッとした目を向けられてしまった。それはどういう感情です?
もちろん海藍様の心を視れば、今どんなことを考えているかなんて丸わかりだ。でもまぁ、せっかく弄りがいのある――じゃなかった、私に真っ正面から対抗してくる貴重な人なのだから、正解を視ちゃうのはつまらないわよね。
「……太妃様はずいぶんとあなたに興味を持っているわね」
「敵意ではなく?」
「……あなた、もうちょっと言い方に気をつけるつもりはないの?」
「これでも気をつけているのですが?」
「それで……?」
まるで真っ昼間から幽霊を見たような顔をする海藍様だった。おもしれー反応……じゃなくて、失礼な。
「ま、いいわ。太妃様からはあなたの言動に注目し、報告しなさいと命じられているわ」
「……そういうの、言っちゃっていいんですか?」
「あなたに隠し事をしても無駄だもの」
無駄だからといって、まさかこんなあっさり教えてくれるとは……純心というか単純というか。ほんと、こんな人外魔境な宮中でよく今まで生き残れましたね?
うーむ、これはいけない。「この人、私が守らなければ」という感情が沸々と。まさか他の人もこんな感じで? 猟師も自分の懐に飛び込んできた鳥は殺さないと言うし。
「なるほどつまり鳥妃」
「あ゛? 脳みそ小さいと言いたいの?」
「まぁ否定はしませんけど?」
「……私、今、お茶をあなたの顔にぶちまけても許されると思うのだけど?」
「ははは、その程度じゃ効きませんね。神仙術士なので」
「なんで熱湯を掛けられて平気なのよ……」
なぜか呆れられてしまう私だった。
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