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証明
どうにもこれ以上面白くはならなそうだったので、私はさっさと終わりにすることにした。
「孫武さん。毒を食った大臣さんが指に嵌めている指輪、取り外してもらえませんか?」
ちなみに大臣さんは小康状態になったおかげか床の上に放置されているのだった。……あの文官が騒ぎを起こしたからみんな忘れている可能性もなきにしもあらず。
私からのお願いに、孫武さんがニヤリと笑ってみせた。
「ん? そのくらい別にいいが……嬢ちゃんが自分でやるのはダメなのか?」
たぶん理由を察しているのに、わざわざ口に出して確認してくれる孫武さんだった。こうすれば周りの人間にも私の行動理由が理解しやすいからね。やりやすいわぁ。
「えぇ。私が触れて、偽物とすり替えたと騒がれたら嫌ですし」
「なるほどな。どれ、ちょっと失礼して――」
孫武さんは大臣さんの指輪を外し、私に見せてくれた。赤い朱い、红宝石(ルビー)のような石が嵌められている。まぁ見る人が見れば辰砂だと分かるけど。いや分からないかな? 辰砂(毒)を宝石みたいに加工する馬鹿はいないだろうし。
取り外した指輪は周りの人たちにもよく見えたはずなので、そのまま床の上に置いてもらう。
さーって、あとは……。
「なにか、金槌みたいなものはありませんか? 石を叩き壊せそうな……」
「金槌はないが、鉞(戦斧)ならあるぞ」
「……なんでそんなものが会食の場に?」
「昔は権力の象徴でもあったからな」
納得できるような、できないような。
鉄製の斧だというのに軽々と振り回す孫武さん。これはこのまま任せた方が良さそうね。
「じゃあ、この指輪を叩き壊してください」
「よっしゃ!」
微塵も迷うことなく斧を振り下ろし、指輪を破壊する孫武さんだった。……床板ごと。
揺れる床。飛び散る破片。宮殿に使われる木材はきっと最高級品。あれ? これ、私が弁償しなきゃいけない系かしら……?
ま、まぁそこは皇帝陛下の懐の大きさに期待するとして。もちろん指輪の宝石も粉々になった。
「さて。これは偽物ですね。本物であればこんな簡単には壊れませんから」
壊れた指輪を掲げて周囲に見せる私だった。
続いて本物を斧で叩いてもらえば本物と偽物の違いが一目瞭然なのだけど。この場で本物の毒検知魔導具を持っている人間といえば……。
偽物の指輪を空間収納にしまってから、私は梓宸に穏やかな笑みを向けた。
「……梓宸。その指輪、こっちに渡して」
手を差し出すと、梓宸は指輪を隠すように身をよじった。
「い、嫌だ!」
「あ゛?」
「お、脅したって無駄だぞ!? せっかく凜風から贈られた指輪なのに!」
「……チッ」
私が舌打ちすると、梓宸は急に黙り、大人しく指輪を差し出してきたのだった。まるで誰かに操られているかのように。いやー、不思議なこともあるものだわー。
「というわけで孫武さん。思いっきりやっちゃってください。もう礎石を壊す勢いで」
「お、おう……それじゃ遠慮なく――」
孫武さんが大きく斧を振りかぶって、床に置かれた指輪に叩きつけた。
「おぉおおおおおお!?」
なんか阿呆が情けない絶叫をしていたけれど、そんな声で現実が変わるはずがない。めり込む戦斧。飛び散る床板。砕けない指輪。
いや、正確を期すならば指輪部分・普通の金属はひしゃげてしまっていた。けれど、魔導具の本体である赤い宝玉は無傷。むしろ、戦斧の刃が欠けているわね。
「とまぁ、こんな感じで。本物の魔導具であれば簡単には壊れません。つまり、大臣が嵌めていたのは偽物だったというわけです」
そう締めくくる私だった。一件落着。
「……もう少し穏当に証明できたのでは?」
真面目な指摘をする維さんだった。まっじめ~。
「孫武さん。毒を食った大臣さんが指に嵌めている指輪、取り外してもらえませんか?」
ちなみに大臣さんは小康状態になったおかげか床の上に放置されているのだった。……あの文官が騒ぎを起こしたからみんな忘れている可能性もなきにしもあらず。
私からのお願いに、孫武さんがニヤリと笑ってみせた。
「ん? そのくらい別にいいが……嬢ちゃんが自分でやるのはダメなのか?」
たぶん理由を察しているのに、わざわざ口に出して確認してくれる孫武さんだった。こうすれば周りの人間にも私の行動理由が理解しやすいからね。やりやすいわぁ。
「えぇ。私が触れて、偽物とすり替えたと騒がれたら嫌ですし」
「なるほどな。どれ、ちょっと失礼して――」
孫武さんは大臣さんの指輪を外し、私に見せてくれた。赤い朱い、红宝石(ルビー)のような石が嵌められている。まぁ見る人が見れば辰砂だと分かるけど。いや分からないかな? 辰砂(毒)を宝石みたいに加工する馬鹿はいないだろうし。
取り外した指輪は周りの人たちにもよく見えたはずなので、そのまま床の上に置いてもらう。
さーって、あとは……。
「なにか、金槌みたいなものはありませんか? 石を叩き壊せそうな……」
「金槌はないが、鉞(戦斧)ならあるぞ」
「……なんでそんなものが会食の場に?」
「昔は権力の象徴でもあったからな」
納得できるような、できないような。
鉄製の斧だというのに軽々と振り回す孫武さん。これはこのまま任せた方が良さそうね。
「じゃあ、この指輪を叩き壊してください」
「よっしゃ!」
微塵も迷うことなく斧を振り下ろし、指輪を破壊する孫武さんだった。……床板ごと。
揺れる床。飛び散る破片。宮殿に使われる木材はきっと最高級品。あれ? これ、私が弁償しなきゃいけない系かしら……?
ま、まぁそこは皇帝陛下の懐の大きさに期待するとして。もちろん指輪の宝石も粉々になった。
「さて。これは偽物ですね。本物であればこんな簡単には壊れませんから」
壊れた指輪を掲げて周囲に見せる私だった。
続いて本物を斧で叩いてもらえば本物と偽物の違いが一目瞭然なのだけど。この場で本物の毒検知魔導具を持っている人間といえば……。
偽物の指輪を空間収納にしまってから、私は梓宸に穏やかな笑みを向けた。
「……梓宸。その指輪、こっちに渡して」
手を差し出すと、梓宸は指輪を隠すように身をよじった。
「い、嫌だ!」
「あ゛?」
「お、脅したって無駄だぞ!? せっかく凜風から贈られた指輪なのに!」
「……チッ」
私が舌打ちすると、梓宸は急に黙り、大人しく指輪を差し出してきたのだった。まるで誰かに操られているかのように。いやー、不思議なこともあるものだわー。
「というわけで孫武さん。思いっきりやっちゃってください。もう礎石を壊す勢いで」
「お、おう……それじゃ遠慮なく――」
孫武さんが大きく斧を振りかぶって、床に置かれた指輪に叩きつけた。
「おぉおおおおおお!?」
なんか阿呆が情けない絶叫をしていたけれど、そんな声で現実が変わるはずがない。めり込む戦斧。飛び散る床板。砕けない指輪。
いや、正確を期すならば指輪部分・普通の金属はひしゃげてしまっていた。けれど、魔導具の本体である赤い宝玉は無傷。むしろ、戦斧の刃が欠けているわね。
「とまぁ、こんな感じで。本物の魔導具であれば簡単には壊れません。つまり、大臣が嵌めていたのは偽物だったというわけです」
そう締めくくる私だった。一件落着。
「……もう少し穏当に証明できたのでは?」
真面目な指摘をする維さんだった。まっじめ~。
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