後宮の残念美人は、女装侍女と謎を解く

九條葉月

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色々厳しいらしい

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「師匠~。私の女装って大丈夫ですよね?」

 沙羅の宮でそう尋ねると、沙羅はなぜか自信満々な様子で右手を天に掲げた。

「大丈夫よ! 私が保証する! 天真は立派な男の娘です!」

「あ、はぁ」

 質問する相手を間違えたなと思う天真であった。だがしかし残念ながら沙羅以外に聞ける人はいないのだ。

 そんな天真の心境を知ってか知らずか沙羅が一つ提案する。

「不安なら『認識阻害』の魔術を掛ける? 念のため毎日掛け直すのは――さすがに面倒くさいから、ここは魔導具を使いましょうか。まだ試作品が残っていたはず」

 ガサゴソと部屋の中の駕籠を漁り、沙羅が取りだしたのはかんざしだった。天真は簪に詳しくないが、どこかで見たことがあるようなたりな形をしている。

「この簪を挿せば、たとえ裸になっても女性にしか見えない……はずよ」

「はず、って」

「いやだって試作品だし。完成品じゃないし。完成品はパーフェクトだけど試作品に多少の不具合が出るのは仕方ないじゃない? 注意点としては簪を外しちゃうと効果がなくなることね。……あとはちょっと使い方を間違えたら二度と男の子には戻れないかもしれないけど」

「……お返しします」

 いくらなんでもこの年で性転換する覚悟は決められない天真であった。

「ま、試作品だからしょうがないわよね。ところでなんでまた急に? 誰かから疑われでもした? もし見抜いた人がいるならかなりの『名探偵』ね!」

「はぁ、また名探偵ですか……。いえ、铃ちゃんによると、女装した男が後宮にいるっていう噂があるみたいですよ?」

「あら、そんな噂が? 初耳ね」

「そりゃ師匠は一日中引きこもっているじゃないですか」

「ぬぐっ」

 天真からの容赦ない突っ込みによって二の句が継げなくなる沙羅であった。

「ま、まぁでも平気でしょう。普通は男が後宮に紛れ込むことなんてできないから」

 沙羅はそう言うが、普通に紛れ込んでいる天真としては不安になってしまう。

「そうなんですか?」

「そうよー。宦官はちゃんと『切除』してあるか後宮入りする前に確認されるし。もしも男がどこかから侵入して女装したとしても、下女は大きな部屋で一緒に寝泊まりするからすぐバレちゃうもの。妃の専属侍女なら個室が与えられるからまだバレにくいけど、妃に仕える性質上、後宮入りする前に宦官並みの検査をされるからね」

「はぁ……。なんか厳重なんですね?」

「そりゃそうよ。だって下手に男が紛れて『種』が混じったら大変だもの」

「種って」

 もうちょっと言い方はないものかと思う天真であった。いや自分がある意味許されているのは『皇族の直系』であり『種』として見れば問題ないからなのだろうが……。

「まぁ正直人間の『種』なんてどうでもいいんだけどね。十代も遡ればだいぶ混じってしまうものだし」

「言い方ぁ」

 もはや突っ込む気力もない天真だった。


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