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4・メンソールの煙草。/彰久
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しおりを挟む立ったまま、智田は深く煙を吸った。
「無理矢理合コンに誘って、かといって女放置しておれん家きてなにがしたかったんだ、壱木」
「……さぁ。智田くんはどう思う」
沈黙が続いて、しばらくして智田は短くなった煙草を灰皿に押し付け、唐突に俺をソファに押し倒してキスした。
「おれは壱木が好きだし無理矢理どうにかするつもりはねーけど。……かといって遊ばれてやるつもりもねーよ、?」
「……っん、」
智田の濡れた髪が俺の頬に水滴を落とす。
「つまんねーことでおれを幻滅させんな」
「んなつもりねーし、」
キツい目が俺を見下ろして、「ならいい」と囁きつつ濡れた唇が俺の鎖骨を吸った。
酷く。
興奮した。
「……っぁ、」
執拗に首筋を吸われて耳に噛み付かれて思わず吐息がもれる。
それを揶揄するでもなく、智田は俺にキスした。
たまらなくなって智田の首に腕をまわす。
「……壱木、?」
「……っ智田くん、気持ちいい、」
「……気持ちいんだ」
「ん」
自分が女にしてきた行為と同じはずなのに、全く種類が違う気がする。
「……キスは女とかわんねーだろ」
「ん」
頷いて智田の舌を吸いながら、メンソールの煙草が智田のものだったことに、なんとなく。
なんとなく、俺は安堵していた。
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