四角い青。

HACCA

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5・光栄デス。/暦

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「智田」

「あぁ、はよ」

いつの間にか後ろに居たらしい中野がおれのジャケットの裾を掴んだ。

妙に沈んだ顔の中野の髪を撫でてみる。

「くしゃくしゃにすんな」

「なに、元気ねーな」

「……合コン行ったってきいた」

「あぁ、まぁ誘われて仕方なく」

「…………しかも壱木を持ち帰ったって」

「その壱木に誘われたから行ったんだよ」

ジャケットの裾をぐいぐいと引っ張られて中野を見下ろしたら目が合った。

「……付き合ってんの」

「いや、……むしろ合コンで壱木の女癖の悪さの原因がわかったっていうか、多分おれは付き合えねーと思うし」

「早くもフラれたのか……」

「……まぁ、フラれたのとかわんねーかな」

合コンのとき、壱木の幼馴染みだと紹介された高間睦を思い出す。

壱木の言動を見ていればすぐにわかった。

あのとき、おれに言った言葉も、おそらくは。



『しかたねぇよ』



壱木が自分に言い聞かせてきた言葉だ。

壱木が気を惹きたいのは高間なんだろう。

そんなことを考えていたら中野に肩を叩かれて我に返った。

「智田は俺と仲良くしてりゃいーし」

「……はいはい。親友様」







「智田くん」

「ん」

相変わらず壱木は喫煙所に入り浸っている。

「まーだ眼鏡なの」

「ずっと眼鏡の予定」

「ぜってコンタクトのほうがいいのに」

「壱木は伊達眼鏡でもしてみたら。雰囲気変わっていいかもよ」

パイプ椅子に座って、「えーそうかなぁ」とか言いながら笑う壱木の横顔を目の端で眺めつつ煙草に火を点けた。

肺を侵す煙が空気中に霧散してゆく。

「智田くん」

「ん」

「……智田くーん」

「ん」

おれの腰のあたりにぐりぐりと頭を押し付けてくる壱木の柔らかい髪を空いているほうの手で撫でた。

まるで猫。

「……やっぱ智田くんモテるっしょ」

「モテてもすぐフラれんの。束縛激しいとか言われて」

「俺束縛されたことねーよ」

「壱木は束縛するだけ無駄だろ」



ふらふらして、でも帰る家は決めてる猫。



「束縛されてみてーけどなぁ」

「幼馴染みに告るとこからはじめなさい」

「……!」

驚いたように肩を揺らし、目を丸くして俺を見る壱木に思わず笑った。

「すぐわかったし」

「……そうか」

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