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13.知ってしまえば
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しおりを挟む「吉良会長」
三限目の予鈴と同時に教室後方のドアを開け、声をかけた。
振り返った瞬間眉を寄せ、ため息を吐いて立ち上がり、隣の席の生徒に声をかける。
それから俺を押し退けるように廊下に出て、顎で俺を促した。
「生徒会室」
生徒会室を一族で私物化しているのもどうかとは思うが、現状では何かあった場合、理央を隔離するのには都合がいい。
素直に頷き、吉良の背を追った。
※
ブラインドを閉める吉良の背を眺めながら簡易キッチンで珈琲を淹れる。
カップとスプーンをソーサーに置き、ソファに座る吉良の前に置いてから吉良の正面のソファに腰をおろした。
肘掛けに頬杖をつき、吉良が「どうせ理央のことだろう」と剣呑な目で俺を見る。
「はい」
「手短に言え」
「吉良会長から、理央様をお誘いいただくわけにはいかないでしょうか」
「…それは飯の話じゃないんだよな」
「はい」
眉を寄せた吉良に、もう一度繰り返す。
「吉良会長から理央様を――」
「それは本気で言ってんのか」
「…理央様はご自分の容姿を気にしていらっしゃるようですので。自分から会長をお誘い出来ないご様子です。会長から理央様をお誘いいただければ、理央様も安堵と自信を得られ――」
「大和」
「…はい」
「俺は『それを本気で言ってるのか』と訊いた」
吉良の目に宿った侮蔑に気付かないわけではなかったが、今ここで自分の感情を吐露することは無意味だ。
「本気です」
はあ、と呆れたようにため息を吐いて見せ、吉良は天井を仰いだ。
「…理央がそう言ったのか」
「『自分はメスらしさに欠ける』、と。俺が『会長もあなたを好きなはずだ』と告げるよりも、会長からお誘いいただけたほうが理央様も安心されるはずです」
「…」
沈黙した吉良が天井から俺に視線を落とす。
「理央様の為に、どうか…お願いできませんか。あなたといらっしゃるときは、理央様も笑顔を見せて下さいます。理央様は特殊といってもいいオメガですので。事前のケアも考えていただければ――」
「もういい。…本気なのはわかった」
遮られて口を閉じた。
「…」
「それで。言いたかったことはそれだけか」
「はい。あとは、…理央様をどうか、…お願い致します」
「俺が理央をどう扱うかについて、お前に口を出す権利はない。俺もお前が理央をどう扱うかについて口を出さない。…が、お前…マジでわかんねーのか」
前髪をかきあげ、怒りが滲むかすれた声で囁いた吉良に瞠目する。
手の影で表情は隠れていたが、鋭い眼光が俺を射た。
「…どういう意味ですか」
「そのままの意味だ。ついでに教えてやる。俺は理央の『二番目』だ」
「…二番、目…というのは、…」
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