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それから数週間。本当にジェゼベルドは新しく魔法道具を開発するつもりなのか、部屋にこもりきりとなった。最低限、週に二度ほどは出社しないといけない、と悔しそうに会社へ向かうとき以外は、ほとんど姿を表さなくなった。
最初の内はアリヴィドが心配して様子を見に行ったり、ジェゼベルドが魔法道具技師だと知ったグレイが構って欲しそうに声をかけに行ったりしていたが、最近ではそれもなくなった。声をかけても返事がほとんどないからだ。一応、生存確認だけは毎日しているけど。
「……いいのか、これで」
キッチンの掃除をしていたわたしに話しかけて来たのは、リビングのソファで本を読んでいるルトゥールだ。わたしからの相談を受けていたこともあって、アリヴィドやグレイとはまた違う理由でジェゼベルドの様子を気にしているようだった。
一応、彼もなぜジェゼベルドがこうなったのか、は聞いているらしい。男が怖いわたしに近付くため、性欲を減退させる魔法道具を作るからしばらく部屋にこもる、と全員が揃っている前で、宣言するようにジェゼベルドが言ったので。
「それは……」
わたしは言葉に詰まる。いいか悪いかで言ったら、悪いに決まっている。こんな生活をずっと続けていたら、いつ倒れてもおかしくないだろう。
生きていることは確認しているし、出社する姿も見る。
でも、いつ食事を取って、いつ寝ているのかは、全然分からなかった。ちゃんと休息を取っていたらいいのだが、絶対にそんなことはない、というのは見て分かる。
――しかし、わたしに勇気がまだ、なかった。
きっと、ジェゼベルドに「もうやめて」というときは、わたしの心の準備が出来たときになる。そうじゃないのに、わたしの口から魔法道具の開発を止めるようにいっても、酷なだけだと思う。
と、思ってしまうのは、言い訳だろうか。長年怖いと思っていたものを、すぐに認識を改めるのが難しいとは分かってるけど、でも、わたしは何を頑張っただろうか。
少なくとも『頑張った』と言えるだけのことをしていないのは確かだ。
でも、いいよって言うのはまだ怖いのは確かで――。
そうだ。
「あの、えっと、ルトゥール、耳、貸して」
今、リビングにはわたしとルトゥールしかいないが、どうしても聞かれたくないので。ちなみに、アリヴィドは一階のお店で新作のアイディアを練っていて、グレイは仕事。レノは朝ごはんを食べてから二度寝に入ったところ。ジェゼベルドは多分、今日も部屋から出てこないだろう。
「何だね?」
ルトゥールは開いていた本を閉じ、こちらを向いた。わたしはそんな彼の元へ言って、そっと耳元に近付く。
こんなことを言うのは恥ずかしいけれど、わたしだけ、何もしないわけにはいかない。頑張ると決めた以上、わたしも彼と向き合う為に、何かしないと。
「えっと……その、え、えっちな本って、どこで買うの?」
バサリとルトゥールの手から本が落ちる。
「……な、なんて?」
「だから、あの、えっちな――」
「聞き間違いじゃないんだな、分かった、それ以上は言わなくていい」
わたしの、異性間の知識は、全て姉によるものだ。
『異性』というものを意識しだす年齢の前に、お姉ちゃんから『初体験』の話を聞いて、完全にそういう情報に触れないようにしていた。周りの皆が、異性や性的なものに興味を持ち出す頃には、もう男が怖い、となっていて、一切近付かなかったのだ。
周りの子がきゃあきゃあと、はしゃぎながら話す恋の話にも参加してこなかったし、流行りの恋愛小説に手を出すこともなくて。
わたしにとって『異性』への知識は全てお姉ちゃんによるもの。
そうでなく、世間一般の知識を多少増やせたら、視野が広がって、怖い感情を払拭できる方法を見つけられるのではないか、と思ったのだ。
――思ったのだ、が。
なんだかルトゥールの反応を見る限り、何か間違えたらしい。どうしよう。
「…………クレルベリー、君、恋愛小説を読んだことは?」
長いこと考え込んでいたルトゥールが、絞り出すように言った。
「ない。本自体あまり読まないし……たまに旅行記を読むくらい?」
「なら、まずは恋愛小説を読みなさい。そうだな……」
少し考えながら、キッチンへ向かい、食材を冷蔵保存しておく魔法道具の横にある、メモ帳とペンに手を伸ばす。あれは普段、買い足す食材のメモをするために置いてあるやつだ。
ルトゥールは何かを書き込むと、そのメモ用紙をわたしに差し出してきた。
「この辺の出版社なら、どれでも大丈夫だろう。うちの生徒にも安心して読ませられる。本屋でこの出版社のおすすめを聞いて、適当に買ってきて読むといい」
「ルトゥールの生徒って……ま、まあ、うん、いいや、分かった」
ルトゥールの努める学校には、七歳から十七歳までの子が通う。今年は、確か九歳の子が集まるクラスを受け持っていたはず。
わたしは九歳児並みなのか、と言い返したくなったけど、でも、今まで恋愛ごとからは一線を引き続けていたのだ。現実にわたしがすることだけでなく、他人の恋愛や、創作物ですら。
そう考えると、九歳児と恋愛経験値は変わらないのかもしれない。一緒にしないでと言い返せるわけもなかった。
「成人本は、大抵、刺激的に作られているものだ。現実よりも、ずっと偏った知識で構成されている。いきなり読むのは勧められない」
「そ、そういうものなの……?」
そういうことすら、わたしは知らなかった。確かに、創作物だから面白さ重視なのは分かる。でも、多少は参考になるんじゃないの?
わたしの疑問は顔に出ていたのか、ルトゥールが「君、性教育は受けているよな?」と聞いてきた。
「が、学校にはちゃんと通っていたもの、一応は……」
「内容は? 覚えているかね?」
「…………」
何も言えなかった。わたしの通った学校にも、一応性教育の授業はあって、サボる度胸がなかったわたしは、きちんと出席していた。……出席だけは。
極力耳に入れないようにしていたし、忘れるようにしていた。何も覚えていない。
やっぱりか、と言いたげな表情で、ルトゥールが溜息を吐いた。
「後で私の学校で使っていた教科書を貸すから、そちらも読んでおきなさい」
去年の、十一歳クラスを受け持っていたときに使っていた教科書を貸してくれるという。わたしは素直にその提案を受け取ることにした。そういう知識を増やしたいのなら、学校で使われる教材以上に適切なものはないだろう。
「ありがと……」
わたしはメモに目を通して、お礼を言う。本屋に行って買ってこよう。
「くれぐれも、くれぐれもいきなり成人本を買おうとするなよ」
「こ、ここまで言われたら、流石に買わないよ……」
この国の成人年齢である十八歳を過ぎてもう何年も経つので、年齢的には問題なく買うことが出来る。でも、ここまで言われて、わざわざ買おうとは思わなかった。
これが適当なことばかり言うレノや、わたしにベタ甘なアリヴィドとかだったら、忠告を無視して買ったかもしれない。
でも、相手はルトゥールだ。
さらには彼は教師。間違っても、これから知識を付けようとしている人間に対して、変な教え方はしないだろう。
「今からなら荷物持ち、付き合うが?」
ルトゥールがそう提案してくれる。でも、こればかりは、わたし一人でやりとげたかった。
「ううん、大丈夫。一人で買いに行ける」
わたしはお礼を言って、貰ったメモ用紙をポケットに入れ、キッチンを掃除していたところを片付ける。片付けたら、本屋に行こう。
何か得られるものがあればいいな、と思いながら、わたしは掃除装具を片付けるのだった。
最初の内はアリヴィドが心配して様子を見に行ったり、ジェゼベルドが魔法道具技師だと知ったグレイが構って欲しそうに声をかけに行ったりしていたが、最近ではそれもなくなった。声をかけても返事がほとんどないからだ。一応、生存確認だけは毎日しているけど。
「……いいのか、これで」
キッチンの掃除をしていたわたしに話しかけて来たのは、リビングのソファで本を読んでいるルトゥールだ。わたしからの相談を受けていたこともあって、アリヴィドやグレイとはまた違う理由でジェゼベルドの様子を気にしているようだった。
一応、彼もなぜジェゼベルドがこうなったのか、は聞いているらしい。男が怖いわたしに近付くため、性欲を減退させる魔法道具を作るからしばらく部屋にこもる、と全員が揃っている前で、宣言するようにジェゼベルドが言ったので。
「それは……」
わたしは言葉に詰まる。いいか悪いかで言ったら、悪いに決まっている。こんな生活をずっと続けていたら、いつ倒れてもおかしくないだろう。
生きていることは確認しているし、出社する姿も見る。
でも、いつ食事を取って、いつ寝ているのかは、全然分からなかった。ちゃんと休息を取っていたらいいのだが、絶対にそんなことはない、というのは見て分かる。
――しかし、わたしに勇気がまだ、なかった。
きっと、ジェゼベルドに「もうやめて」というときは、わたしの心の準備が出来たときになる。そうじゃないのに、わたしの口から魔法道具の開発を止めるようにいっても、酷なだけだと思う。
と、思ってしまうのは、言い訳だろうか。長年怖いと思っていたものを、すぐに認識を改めるのが難しいとは分かってるけど、でも、わたしは何を頑張っただろうか。
少なくとも『頑張った』と言えるだけのことをしていないのは確かだ。
でも、いいよって言うのはまだ怖いのは確かで――。
そうだ。
「あの、えっと、ルトゥール、耳、貸して」
今、リビングにはわたしとルトゥールしかいないが、どうしても聞かれたくないので。ちなみに、アリヴィドは一階のお店で新作のアイディアを練っていて、グレイは仕事。レノは朝ごはんを食べてから二度寝に入ったところ。ジェゼベルドは多分、今日も部屋から出てこないだろう。
「何だね?」
ルトゥールは開いていた本を閉じ、こちらを向いた。わたしはそんな彼の元へ言って、そっと耳元に近付く。
こんなことを言うのは恥ずかしいけれど、わたしだけ、何もしないわけにはいかない。頑張ると決めた以上、わたしも彼と向き合う為に、何かしないと。
「えっと……その、え、えっちな本って、どこで買うの?」
バサリとルトゥールの手から本が落ちる。
「……な、なんて?」
「だから、あの、えっちな――」
「聞き間違いじゃないんだな、分かった、それ以上は言わなくていい」
わたしの、異性間の知識は、全て姉によるものだ。
『異性』というものを意識しだす年齢の前に、お姉ちゃんから『初体験』の話を聞いて、完全にそういう情報に触れないようにしていた。周りの皆が、異性や性的なものに興味を持ち出す頃には、もう男が怖い、となっていて、一切近付かなかったのだ。
周りの子がきゃあきゃあと、はしゃぎながら話す恋の話にも参加してこなかったし、流行りの恋愛小説に手を出すこともなくて。
わたしにとって『異性』への知識は全てお姉ちゃんによるもの。
そうでなく、世間一般の知識を多少増やせたら、視野が広がって、怖い感情を払拭できる方法を見つけられるのではないか、と思ったのだ。
――思ったのだ、が。
なんだかルトゥールの反応を見る限り、何か間違えたらしい。どうしよう。
「…………クレルベリー、君、恋愛小説を読んだことは?」
長いこと考え込んでいたルトゥールが、絞り出すように言った。
「ない。本自体あまり読まないし……たまに旅行記を読むくらい?」
「なら、まずは恋愛小説を読みなさい。そうだな……」
少し考えながら、キッチンへ向かい、食材を冷蔵保存しておく魔法道具の横にある、メモ帳とペンに手を伸ばす。あれは普段、買い足す食材のメモをするために置いてあるやつだ。
ルトゥールは何かを書き込むと、そのメモ用紙をわたしに差し出してきた。
「この辺の出版社なら、どれでも大丈夫だろう。うちの生徒にも安心して読ませられる。本屋でこの出版社のおすすめを聞いて、適当に買ってきて読むといい」
「ルトゥールの生徒って……ま、まあ、うん、いいや、分かった」
ルトゥールの努める学校には、七歳から十七歳までの子が通う。今年は、確か九歳の子が集まるクラスを受け持っていたはず。
わたしは九歳児並みなのか、と言い返したくなったけど、でも、今まで恋愛ごとからは一線を引き続けていたのだ。現実にわたしがすることだけでなく、他人の恋愛や、創作物ですら。
そう考えると、九歳児と恋愛経験値は変わらないのかもしれない。一緒にしないでと言い返せるわけもなかった。
「成人本は、大抵、刺激的に作られているものだ。現実よりも、ずっと偏った知識で構成されている。いきなり読むのは勧められない」
「そ、そういうものなの……?」
そういうことすら、わたしは知らなかった。確かに、創作物だから面白さ重視なのは分かる。でも、多少は参考になるんじゃないの?
わたしの疑問は顔に出ていたのか、ルトゥールが「君、性教育は受けているよな?」と聞いてきた。
「が、学校にはちゃんと通っていたもの、一応は……」
「内容は? 覚えているかね?」
「…………」
何も言えなかった。わたしの通った学校にも、一応性教育の授業はあって、サボる度胸がなかったわたしは、きちんと出席していた。……出席だけは。
極力耳に入れないようにしていたし、忘れるようにしていた。何も覚えていない。
やっぱりか、と言いたげな表情で、ルトゥールが溜息を吐いた。
「後で私の学校で使っていた教科書を貸すから、そちらも読んでおきなさい」
去年の、十一歳クラスを受け持っていたときに使っていた教科書を貸してくれるという。わたしは素直にその提案を受け取ることにした。そういう知識を増やしたいのなら、学校で使われる教材以上に適切なものはないだろう。
「ありがと……」
わたしはメモに目を通して、お礼を言う。本屋に行って買ってこよう。
「くれぐれも、くれぐれもいきなり成人本を買おうとするなよ」
「こ、ここまで言われたら、流石に買わないよ……」
この国の成人年齢である十八歳を過ぎてもう何年も経つので、年齢的には問題なく買うことが出来る。でも、ここまで言われて、わざわざ買おうとは思わなかった。
これが適当なことばかり言うレノや、わたしにベタ甘なアリヴィドとかだったら、忠告を無視して買ったかもしれない。
でも、相手はルトゥールだ。
さらには彼は教師。間違っても、これから知識を付けようとしている人間に対して、変な教え方はしないだろう。
「今からなら荷物持ち、付き合うが?」
ルトゥールがそう提案してくれる。でも、こればかりは、わたし一人でやりとげたかった。
「ううん、大丈夫。一人で買いに行ける」
わたしはお礼を言って、貰ったメモ用紙をポケットに入れ、キッチンを掃除していたところを片付ける。片付けたら、本屋に行こう。
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