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第二部
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店から一度フィジャの家に戻り、わたしは看護師から言われていた、入院に必要なものを持って病院へと向かう。
病院につくと、わたしを見るなり、看護師の一人が駆け寄ってきた。
「フィジャさん、お目覚めになりましたよ!」
「えっ! 本当ですか」
わたしは急いで病室へと向かう。
病室に付くと、ベッドの上で、医者と会話しているフィジャがいた。本当に、目を覚ましている。
昨日までの死にそうな顔色から一転して、血色がいい、とまではいかないが、ある程度、持ち直したことが分かる顔をしていた。
その事実に、わたしは酷く安堵した。医者から、一命は取り留めた、と言われてはいたものの、あんまりにも血の気が引いた顔をしていたものだから、死んでしまうんじゃないかと、気が気じゃなかったのだ。
「……マレーゼ」
がさがさの声で、フィジャがわたしを呼ぶ。わたしは慌ててベッドの傍に駆け寄って、顔が見やすい様にしゃがみ込む。
「よかった、目が覚めたんだ」
皆心配してるよ。ヴィルフさんはすぐ凝れないかもしれないけど、イエリオさんとイナリさん、すぐ呼ぶから。
そう言葉を続けようと思ったけれど、「マレーゼ」と、わたしの言葉を聞かず、フィジャがわたしの名を呼ぶものだから――嫌な予感がして。
「ど、どうしたの?」
どくどくと、心臓が早まるのは、口の中がからからに乾くのは、病室まで走ってきたから……ではない。
明らかに、気落ちしたフィジャの顔を見て、嫌な予感が、どうしてもぬぐえないからである。
――そして、それは的中した。
「マレーゼ、ボクの腕、動かなくなっちゃった」
ひゅ、と、喉が詰まる。二の句が継げない。頭が真っ白になってしまって、何を言えばいいのか分からなくて。一番つらいのはフィジャなのに、そのフィジャにどう声をかければいいのか。
わたしが黙り込んでいると、口を挟んだのはお医者さんだった。
「フィジャさん、先ほども言いましたが、完治してリハビリを続ければ、また動くようになりますよ。日常生活にさほど支障はでないくらいには回復できますから」
そうお医者さんは言うけれど、その言葉を、前向きに捕らえることは出来なかった。どう聞いても、最低限のことしかできないように聞こえるからだ。
以前のように戻るのであれば、そういうはずだから。
そう思ったのはフィジャも一緒のようで。
「でも、もう細かい作業はできないし、重い物を持つことも避けたほうがいいんでしょう? ……そんなの、動かないのと一緒だ!」
「それは……」
フィジャの叫びにお医者さんが口ごもる。無言の肯定だった。
細かい作業が出来なくても、重い物を持つことが出来なくても、そのせいで一切料理が出来なくなるかと言われれば、多分、そんなことはなくて、やりようはあるかもしれない。
でも、仕事として続けるのは無理だ。
あんなにも料理が好きで、自分の店を持つことに夢を見ていたのに。
病院につくと、わたしを見るなり、看護師の一人が駆け寄ってきた。
「フィジャさん、お目覚めになりましたよ!」
「えっ! 本当ですか」
わたしは急いで病室へと向かう。
病室に付くと、ベッドの上で、医者と会話しているフィジャがいた。本当に、目を覚ましている。
昨日までの死にそうな顔色から一転して、血色がいい、とまではいかないが、ある程度、持ち直したことが分かる顔をしていた。
その事実に、わたしは酷く安堵した。医者から、一命は取り留めた、と言われてはいたものの、あんまりにも血の気が引いた顔をしていたものだから、死んでしまうんじゃないかと、気が気じゃなかったのだ。
「……マレーゼ」
がさがさの声で、フィジャがわたしを呼ぶ。わたしは慌ててベッドの傍に駆け寄って、顔が見やすい様にしゃがみ込む。
「よかった、目が覚めたんだ」
皆心配してるよ。ヴィルフさんはすぐ凝れないかもしれないけど、イエリオさんとイナリさん、すぐ呼ぶから。
そう言葉を続けようと思ったけれど、「マレーゼ」と、わたしの言葉を聞かず、フィジャがわたしの名を呼ぶものだから――嫌な予感がして。
「ど、どうしたの?」
どくどくと、心臓が早まるのは、口の中がからからに乾くのは、病室まで走ってきたから……ではない。
明らかに、気落ちしたフィジャの顔を見て、嫌な予感が、どうしてもぬぐえないからである。
――そして、それは的中した。
「マレーゼ、ボクの腕、動かなくなっちゃった」
ひゅ、と、喉が詰まる。二の句が継げない。頭が真っ白になってしまって、何を言えばいいのか分からなくて。一番つらいのはフィジャなのに、そのフィジャにどう声をかければいいのか。
わたしが黙り込んでいると、口を挟んだのはお医者さんだった。
「フィジャさん、先ほども言いましたが、完治してリハビリを続ければ、また動くようになりますよ。日常生活にさほど支障はでないくらいには回復できますから」
そうお医者さんは言うけれど、その言葉を、前向きに捕らえることは出来なかった。どう聞いても、最低限のことしかできないように聞こえるからだ。
以前のように戻るのであれば、そういうはずだから。
そう思ったのはフィジャも一緒のようで。
「でも、もう細かい作業はできないし、重い物を持つことも避けたほうがいいんでしょう? ……そんなの、動かないのと一緒だ!」
「それは……」
フィジャの叫びにお医者さんが口ごもる。無言の肯定だった。
細かい作業が出来なくても、重い物を持つことが出来なくても、そのせいで一切料理が出来なくなるかと言われれば、多分、そんなことはなくて、やりようはあるかもしれない。
でも、仕事として続けるのは無理だ。
あんなにも料理が好きで、自分の店を持つことに夢を見ていたのに。
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