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第四部
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三毛猫と思われる、三色の髪色がまだらな彼女は、腕に包帯を巻いていた。多分、この間返り血を浴びてウィルフさんが帰ってきたときに傷つけらたものなのかもしれない。
怪我をしていてもなお、ウィルフさんと渡りあっていた。若干、彼女の方が押されているようにも見えたが、それでもほぼ互角に戦っている。ギィン、と何度も鈍い音が響く。
わたしは邪魔にならない位置にまで避難して、その様子を見ていた。わたしの攻撃は文字通り、一撃必殺なので、手を出すわけにはいかない。
そうじゃなくても、あの二人の間に割って入る勇気はない。
ウィルフさんは情報を聞き出すために、彼女を生きて拘束したいようだったが、彼女は確実にウィルフさんを殺しにきている。ウィルフさんを殺したら、わたしも殺すつもりなのだろう。――口封じの為に。
そんなにも、この家は他人に知られたらまずいものなのか。
――ギィィンッ!
「――くそっ!」
ひと際大きな音をたてて、彼女の短剣にウィルフさんの剣が当たる。勢いに負けて、彼女は短剣を取りこぼしてしまった。女性にしては低めな声で、彼女は悪態をつく。
しかし、もう一本腰に装備していたようで、サッと剣を抜く。
彼女が剣を構えるより早く、ウィルフさんの手が伸びる。
ウィルフさんが彼女の胸倉を掴み上げるのと、彼女がウィルフさんの腕に短剣を突き立てるのは同時だった。
「ウィルフさん!」
わたしは思わず声を上げてしまうが、刺されたはずの本人であるウィルフさんはうめき声一つ上げない。そこまで深く刺さっていないのか……いや、そうじゃなかったとしても、痛いだろう。
どうしよう、とおろおろしながらも、しろまるの紙を準備していた方がいいか、と、しろまるの紙が入っている、腰に付けたポーチに手をやる。
「――シャシカ。やっぱりお前だったか」
ウィルフさんか女性の名前を呼ぶ。びくり、とわたしの手が止まった。本当に顔見知りだったらしい。
「何が目的だ? この建物はなんだ」
ウィルフさんに胸倉を掴みあげられた女性――シャシカさんは、持ち上げられて地面に足が着かず、ばたばたと抵抗しながらも「誰が、言うか」とウィルフさんを睨みつけていた。
「最近、ペロディアがめっきり減ったらしくてなあ。お前も何か加担してるのか」
「だ、からっ、言わない……って!」
胸倉を掴まれている上に、持ち上げられているため、首がしまっているようだ。シャシカさんは段々と、苦しそうに、言葉が詰まるようになっていく。
尋問をするにしても、その態勢だとそろそろまずいのでは、とウィルフさんに声をかけようとしたとき――。
――ガサッ!
わたしの耳が、妙な音を拾って動く。人間である頃には絶対に動かなかったのに、無意識でも動くほどに馴染んでいるらしい。
音がした方を向くと、ウィルフさんの銀の毛に似た色が、目の端に写った。
怪我をしていてもなお、ウィルフさんと渡りあっていた。若干、彼女の方が押されているようにも見えたが、それでもほぼ互角に戦っている。ギィン、と何度も鈍い音が響く。
わたしは邪魔にならない位置にまで避難して、その様子を見ていた。わたしの攻撃は文字通り、一撃必殺なので、手を出すわけにはいかない。
そうじゃなくても、あの二人の間に割って入る勇気はない。
ウィルフさんは情報を聞き出すために、彼女を生きて拘束したいようだったが、彼女は確実にウィルフさんを殺しにきている。ウィルフさんを殺したら、わたしも殺すつもりなのだろう。――口封じの為に。
そんなにも、この家は他人に知られたらまずいものなのか。
――ギィィンッ!
「――くそっ!」
ひと際大きな音をたてて、彼女の短剣にウィルフさんの剣が当たる。勢いに負けて、彼女は短剣を取りこぼしてしまった。女性にしては低めな声で、彼女は悪態をつく。
しかし、もう一本腰に装備していたようで、サッと剣を抜く。
彼女が剣を構えるより早く、ウィルフさんの手が伸びる。
ウィルフさんが彼女の胸倉を掴み上げるのと、彼女がウィルフさんの腕に短剣を突き立てるのは同時だった。
「ウィルフさん!」
わたしは思わず声を上げてしまうが、刺されたはずの本人であるウィルフさんはうめき声一つ上げない。そこまで深く刺さっていないのか……いや、そうじゃなかったとしても、痛いだろう。
どうしよう、とおろおろしながらも、しろまるの紙を準備していた方がいいか、と、しろまるの紙が入っている、腰に付けたポーチに手をやる。
「――シャシカ。やっぱりお前だったか」
ウィルフさんか女性の名前を呼ぶ。びくり、とわたしの手が止まった。本当に顔見知りだったらしい。
「何が目的だ? この建物はなんだ」
ウィルフさんに胸倉を掴みあげられた女性――シャシカさんは、持ち上げられて地面に足が着かず、ばたばたと抵抗しながらも「誰が、言うか」とウィルフさんを睨みつけていた。
「最近、ペロディアがめっきり減ったらしくてなあ。お前も何か加担してるのか」
「だ、からっ、言わない……って!」
胸倉を掴まれている上に、持ち上げられているため、首がしまっているようだ。シャシカさんは段々と、苦しそうに、言葉が詰まるようになっていく。
尋問をするにしても、その態勢だとそろそろまずいのでは、とウィルフさんに声をかけようとしたとき――。
――ガサッ!
わたしの耳が、妙な音を拾って動く。人間である頃には絶対に動かなかったのに、無意識でも動くほどに馴染んでいるらしい。
音がした方を向くと、ウィルフさんの銀の毛に似た色が、目の端に写った。
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