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第四部
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街に帰ってきたはいいが、すぐにフィジャ達に顔を見せに行けるわけではなかった。こっちの冒険者ギルド――つまりは、ルーネちゃんに報告をしないといけないのである。
まあ、ことの発端はルーネちゃんから切り出されたわけだしね。
シャルベンの冒険者ギルド長に報告したことと、そのギルド長からの言葉を伝える。
例によって、報告は全てウィルフさんが。シャルベンとは違って、ちゃんと席に座らせて貰ったし、なんならお茶も用意して貰った。ルーネちゃんは人を廊下に立たせて対応するような人じゃない。
報告が終わって、さあ帰れるかな、久々にフィジャのご飯が食べたいな、なんて考えていたのだが、「それと」と、まだ続きがあるような言葉を口にする。
あれ、まだ忘れてることあったっけ。シャルベンのときみたいに、壁喰いを忘れ――いや、忘れてない。忘れてなかったけど、それはそれとして、今回は壁喰いのことまでちゃんと報告したはずだ。
ウィルフさんが取り出したのは、冒険者の階級を表す、ドッグタグのような、首から下げるプレートだ。勿論、本物のドッグタグじゃないので、上下が分かれるようになっていないし、二枚組みでもない。
ウィルフさんはそれを首から取り、ソファの前にあるローテーブルの上に置き――ひっくり返した。
その瞬間、部屋の中がちょっとだけぴりつく。わたしにはさっぱり分からないが、何か意味のあることらしい。
何かあるのか、とプレートを見てみるが、そこには何も書かれていない。まあ、情報が書かれているのは表側らしいので、裏に何もなくても不自然じゃないんだけど……。
「ようやく、腹が決まった」
そう言って、ウィルフさんは、とん、とプレートのすぐ横を叩く。多分、ひっくり返したぞ、というアピールだと思うんだが、そんなことしなくても、見えている。
「――何を、お望みですか」
つっかえつっかえというか、喋りながら考えるような、普段のルーネちゃんの口調とは違う、しっかりした声だった。
部屋の中の空気の代わりように、わたしはついていけない。聞いてみたいが、ちょっと気軽に聞ける空気ではない。
どうしたんだろう、と視線を彷徨わせる。すると、今日もルーネちゃんの隣に立っていた、トラの獣人と目が合ってしまった。
よっぽど不思議そうな顔をわたしがしていたのか、彼がわたしの近くに来て、耳元で説明してくれる。小声で。
「冒険者は階級が上がると、一つ願いを聞いて貰えるんですよ。勿論、階級によって限度はあります。例えば、下級冒険者から中級冒険者に上がるときでは、武器屋の割引程度ですが――国内でも数える程しかいない特級冒険者の願いとなると、ほとんどなんでも叶うと言っても過言ではありません。それこそ、土地が欲しい、でも、爵位が欲しいでも。そして、願いを叶えて貰った冒険者のタグの裏側には印をつける決まりがあります」
土地や爵位。ウィルフさんがそういったものを欲しがるイメージはないが……。
わたしに説明をしてくれた彼もまた、ウィルフさんが望むものがなにか気になるのか、ウィルフさんに視線を注いでいた。
ルーネちゃんや、彼女の夫たち、そしてわたし、という四人の視線を受けながら、ウィルフさんは言う。
「――俺の望みは最初から決まっている。冒険者ジェルバイドに恩赦を」
まあ、ことの発端はルーネちゃんから切り出されたわけだしね。
シャルベンの冒険者ギルド長に報告したことと、そのギルド長からの言葉を伝える。
例によって、報告は全てウィルフさんが。シャルベンとは違って、ちゃんと席に座らせて貰ったし、なんならお茶も用意して貰った。ルーネちゃんは人を廊下に立たせて対応するような人じゃない。
報告が終わって、さあ帰れるかな、久々にフィジャのご飯が食べたいな、なんて考えていたのだが、「それと」と、まだ続きがあるような言葉を口にする。
あれ、まだ忘れてることあったっけ。シャルベンのときみたいに、壁喰いを忘れ――いや、忘れてない。忘れてなかったけど、それはそれとして、今回は壁喰いのことまでちゃんと報告したはずだ。
ウィルフさんが取り出したのは、冒険者の階級を表す、ドッグタグのような、首から下げるプレートだ。勿論、本物のドッグタグじゃないので、上下が分かれるようになっていないし、二枚組みでもない。
ウィルフさんはそれを首から取り、ソファの前にあるローテーブルの上に置き――ひっくり返した。
その瞬間、部屋の中がちょっとだけぴりつく。わたしにはさっぱり分からないが、何か意味のあることらしい。
何かあるのか、とプレートを見てみるが、そこには何も書かれていない。まあ、情報が書かれているのは表側らしいので、裏に何もなくても不自然じゃないんだけど……。
「ようやく、腹が決まった」
そう言って、ウィルフさんは、とん、とプレートのすぐ横を叩く。多分、ひっくり返したぞ、というアピールだと思うんだが、そんなことしなくても、見えている。
「――何を、お望みですか」
つっかえつっかえというか、喋りながら考えるような、普段のルーネちゃんの口調とは違う、しっかりした声だった。
部屋の中の空気の代わりように、わたしはついていけない。聞いてみたいが、ちょっと気軽に聞ける空気ではない。
どうしたんだろう、と視線を彷徨わせる。すると、今日もルーネちゃんの隣に立っていた、トラの獣人と目が合ってしまった。
よっぽど不思議そうな顔をわたしがしていたのか、彼がわたしの近くに来て、耳元で説明してくれる。小声で。
「冒険者は階級が上がると、一つ願いを聞いて貰えるんですよ。勿論、階級によって限度はあります。例えば、下級冒険者から中級冒険者に上がるときでは、武器屋の割引程度ですが――国内でも数える程しかいない特級冒険者の願いとなると、ほとんどなんでも叶うと言っても過言ではありません。それこそ、土地が欲しい、でも、爵位が欲しいでも。そして、願いを叶えて貰った冒険者のタグの裏側には印をつける決まりがあります」
土地や爵位。ウィルフさんがそういったものを欲しがるイメージはないが……。
わたしに説明をしてくれた彼もまた、ウィルフさんが望むものがなにか気になるのか、ウィルフさんに視線を注いでいた。
ルーネちゃんや、彼女の夫たち、そしてわたし、という四人の視線を受けながら、ウィルフさんは言う。
「――俺の望みは最初から決まっている。冒険者ジェルバイドに恩赦を」
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