転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

文字の大きさ
361 / 493
第五部

357

 用意された椅子に座り、わたしは一人、ぽつんとフィジャの家族の対応をしていた。フィジャは料理を作りに行ってしまったのである。
 わたしも手伝おうとしたのだが、フィジャの両親の、わたしへの好奇の視線と言うか、話したいオーラに負けて、席につくことになったのだ。

 たわいもない雑談をするも、いまいち盛り上がらない。盛り上がらない、というか、会話が展開していかないというか。わたしを嫌っている様子は特別ないのだが、フィジャの両親は二人そろって、あまり口数が多い方ではないらしい。

 フィジャが人懐っこく、よく喋る人なものだから、両親もそうなのかとてっきり思い込んでいた。
 わたしを警戒しているわけではない分、余計に気まずい。わたしが嫌いなら嫌いで、ある程度開き直れるものだから。
 そんな、微妙な会話のやりとりをしていると、トゥージャさんが横から会話に加わってきた。

「なあ、あんた、フィジャの何処が好きなわけ?」

 しれっとした表情で聞いてくるトゥージャさん。

「父さんも母さんも聞きたそうなのに、言わねーんだもん。オレを見ても乗り換える気はなさそうだしさあ」

 そんなこと気になってたのか。いやまあ、気になるものか。その口ぶりからして、今まで、フィジャを踏み台にしてトゥージャさんに近付こうとした女性がいる、ということだろうか。

「フィジャの好きなところは――わたしに根気よく付き合ってくれるところかな。わたし、料理が上手じゃないんですけど、フィジャはいつも教えてくれて、失敗しても必ず食べて改善点を伝えてくれるんです」

 自分でも捨てたくなるくらいの、料理のなりそこないが出来上がっても、フィジャは必ず食べて、採点して、改善点を教えてくれた。わたしが諦めずに挑戦することを覚えたのは、まぎれもなくフィジャのおかげだと思う。

「あー、中身が好きってやつ? まあ、性格はいいもんなあ、あいつ」

「いや、見た目もかっこいい方だと思い、ます……けど」

 言ってから、そう言えば美醜観が違うんだっけ、と思い、最後の方は尻すぼみになってしまった。案の定、「猫種の女ってこれだから分かんねー!」とトゥージャさんに言われてしまった。そんなトゥージャさんは、父親にたしなめられていたが。

「だって知ってるか? あいつ、実は三色鱗なの」

「え? はい、知って――」

 知ってる、とほとんど言いそうになって、わたしは言葉を詰まらせた。フィジャの三色の鱗があるのは、太ももの内側だ。そんな場所、普通にしていたら見えるわけがない。

「あ、ちが、いや、違わないけど、違いますっ!」

 そんなの、服を脱いだときじゃないと見られない場所だ。そして今、わたしはフィジャの婚約者としてここにいる。
 なんだか情事を匂わせる発言をしてしまって、わたしは慌てて撤回した。多分、今、わたしの顔は真っ赤になっていることだろう。

 わたわたとうろたえるわたしの元に、フィジャが料理を運んできた。

「ちょっと、トゥージャ、マレーゼいじめないでよね」

「いじめてねーって。むしろオレがされてるほうだから。独り身に惚気とか、そっちのほうがいじめだっての」

 「惚気?」とフィジャが首を傾げる。惚気てない、惚気てない。少なくとも、そのつもりはない。
 違う、って言っても、トゥージャさんは「惚気以外のなにものでもねえ」とバッサリ切り捨ててくるのだった。
感想 27

あなたにおすすめの小説

【第2章完結】無表情な黒豹騎士に懐かれたら、元の世界に戻れなくなった私の話を切実に聞いてほしい!!

カントリー
恋愛
懐かれた時はネコちゃんみたいで可愛いなと思った時期がありました。 でも懐かれたのは、獲物を狙う肉食獣そのものでした。by大空都子。 大空都子(おおぞら みやこ)。食べる事や料理をする事が大好きなぽっちゃりした女子高校生。 今日も施設の仲間に料理を振るうため、買い出しに外を歩いていた所、暴走車両により交通事故に遭い異世界へ転移してしまう。 異世界先は獣人の世界ークモード王国。住民の殆どが美男美女で、おデブは都子だけ。 ダーク 「…美味そうだな…」ジュル… 都子「あっ…ありがとうございます!」 (えっ…作った料理の事だよね…) 元の世界に戻るまで、都子こと「ヨーグル・オオゾラ」はクモード城で料理人として働く事になるが… これは大空都子が黒豹騎士ダーク・スカイに懐かれ、最終的には逃げられなくなるお話。 ★いいね・応援いただけると嬉しいです。創作の励みになります。

彼氏がヤンデレてることに気付いたのでデッドエンド回避します

恋愛
ヤンデレ乙女ゲー主人公に転生した女の子が好かれたいやら殺されたくないやらでわたわたする話。基本ほのぼのしてます。食べてばっかり。 なろうに別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたものなので今と芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただけると嬉しいです。 一部加筆修正しています。 2025/9/9完結しました。ありがとうございました。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

美醜逆転の世界に間違って召喚されてしまいました!

エトカ
恋愛
続きを書くことを断念した供養ネタ作品です。 間違えて召喚されてしまった倉見舞は、美醜逆転の世界で最強の醜男(イケメン)を救うことができるのか……。よろしくお願いします。

社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。

天咲リンネ
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。 引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。 見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。 つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。 ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。 しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。 その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…? 果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!? ※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。