転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

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第五部

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 祝集祭には出る、と言っていたけれど、その現場を見るとは思わなくて、わたしは思わずイナリの肩を叩き。シャシカさんの方を指さした。
 最初は怪訝そうな表情をしていたイナリだったが、シャシカさんを見つけると、パッと顔が明るくなる。

「声、かけてきたら?」

 そんなことを話していると、シャシカ三の方がわたしたちに気が付く。一瞬、こちらに来るか迷っているようだったが、彼女はこちらへとやってくる。

「――イナリ」

 気恥ずかしそうな、シャシカさんの声。うろうろと、彼女の視線は泳く。何か言葉を探しているようだった。

「親父と、話してきたよ」

 きゅ、と彼女は服の裾を握りながら、言う。

「相変わらずアタシが冒険者でいることが気に食わないみたいだったけど――でも、久々に、『普通』に話せたよ」

 どこかすがすがしそうな笑顔。照れくさそうに、彼女は服の裾を離し、指先をいじり始めた。

「多分、ちゃんとした服で会いに行ったのがよかったのかもね。いつもは会ってすぐあれこれいうのに」

 本当酷いんだから、というシャシカさんは、口ぶりこそ父親に対して憎まれ口を叩くようなものだが、表情は穏やかだった。

「アタシ、やっぱり、冒険者のイナリが一番好き。それはきっと、ずっと変わらない。強くて、かっこよくて、一緒に戦うのが楽しかった。でも――」

 シャシカさんは、少し、ためらうように、言いにくそうに――それでも、はっきりと、言った。

「――今のイナリも、悪くないかも」

 ずっと、イナリが欲しかったであろう言葉。彼が求めていた言葉に、イナリは、言葉を返せないでいた。

「――シャシカ」

 それでも、彼女に何か言おうとした、そのとき。

 ――ガシャンッ!

 何かが割れるような音が聞こえてくる。最初、音に反応したのはわたしだけだった。多分、シャシカさんもイナリも気が付いていたけど、わたしだけが、反射的に音のする方を向いてしまった。
 でも、イナリもシャシカさんも、割れるような音に次いで、悲鳴が聞こえてきたら流石に無視出来ない。

 さっきまでの和解ムードは消え去り、ぴりっとした緊張感が辺りに走る。

「何……?」

 わたしは思わず、言葉を漏らした。
 悲鳴の直後、何も音がしなくなった。――それが逆に、恐怖心を煽る。別の誰かの悲鳴があるわけでも、ざわめきが聞こえてくるわけでもない。
 でも、確実に、何か落として割ってしまって、びっくりして声を上げてしまった、というレベルのものじゃない。まさしく『悲鳴』だった。

 嫌な空気に、心臓がどくどくと早鐘を打つ。

 様子を見に行こう、とイナリの裾を引っ張ろうとしたその瞬間だった。
 一本後ろの通りから、炎が吹き出たのが見えたのは。
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