転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

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第五部

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 混乱するわたしをよそに、ティカーさんは淡々と傷の様子を見ている。

「これは酷いな……。一体、何をしたらこうなるんだ」

 わたしたちに聞く、というよりは、思わず口にしてしまった、という様子のティカーさん。素直に精霊と戦っていました、と言って、彼に伝わるんだろうか。
 いや、そんなことより傷の手当である。

「とりあえず、ここじゃたいしたことは出来ない。早く病院に連れて行こう。歩けるか?」

 ティカーさんの問いに、よろよろとイナリが立ち上がる。動きはゆっくりしているが、倒れそうな危なっかしさはない。メルフの血がついた部分以外に、大きい怪我はないのかもしれない。擦過傷とかはあるけれど。いや、油断はできないか?

「それにしても……跡が残ることを覚悟した方がいい」

 そのティカーさんの言葉に、一瞬、イナリが反応したのが分かった。

 跡が残る。

 その言葉に、つい、イナリの顔を見てしまう。見た目にコンプレックスがある彼に、新たなる悩みの種を作らせてしまったんじゃないだろうか。
 ――わたしのせいで。
 そんな風に思っていると、イナリが、すすっと手で顔を隠した。

「あ、あんまり見ない方が……」

「えっ、あ、そ、そうだよね、見られたくないよね」

 わたしは慌てて目をそらす。
 火傷の跡って、どのくらい長く残るんだろう。流石に一生くっきりしているってことはないよね……? ある程度薄くなるとは思うけど、医者であるティカーさんがここまでハッキリいうってことは、期待しない方がいいんだろうか。

「――見られたくない、っていうより、その、こういうの、見たくないんじゃない? 僕とかシャシカは慣れてるけど、怪我を見るのが駄目って人もいるし……」

 イナリの、思っても見ない言葉にわたしは再び彼の方を向いてしまう。

「い、痛そうだな、とは思うけど……」

 でも、嫌悪感はない。わたしを守って出来た傷なのだ。気持ち悪いだなんて思うわけがない。
 わたしが言うと、「ほらー、だから平気だって言ったろ」とシャシカさんが軽い口調で言う。

「この子、ウィルフが血まみれになったって、担いで行ったくらいなんだから。その辺の肝は座ってるって」

「――は? ウィルフが血まみれ……? 何その話、僕聞いてない」

 血まみれ、ということを言ったシャシカさんは、やべっ、とでも言いたげな表情をしていた。
 血まみれ、っていうと、ローヴォルに襲われたときの話だろうか。あのとき、割とすぐにシャシカさんは逃げたと思ったけど、やっぱりあの後もわたしたちを見張っていたのか。

「ま、まあ、とにかく病院行きなよ。早く治療を受けて、大事な嫁を安心させてやりな」

「ま、まだ嫁なんて、そんな……」

 露骨にシャシカさんが話題をそらす。それに分かりやすくイナリが動揺した。いや、露骨じゃないか。本当に、早く病院にいって貰わないと。
 わたしたちは会話を切り上げ、病院へと向かうのだった。
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