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第一部
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獣くささみたいなものは一切なく、干したての布団みたいないい匂いがする。なにこれ凄い。わたしはすっかりフルーネルキャットにメロメロになってしまった。
浮気じゃないから、これは浮気じゃないから……と脳内のショドーとひいさまに言い訳をする。ゼインラーム王国にいたころは、本当に猫がいなかったから、わたしが他の猫に構うこともなかったので、ふたりがどんな反応をするか分からないけど……。
「それにしても、こんな大きいと、やっぱり強いんですか?」
わたしはフルーネルキャットの首元に埋もれたまま、顔だけをエーリングさんの方に向け、聞いてみた。
大人しい性格、とは言っていたけれど、テイマーとして依頼で生活をする人間の相棒におすすめだというのなら、それなりに攻撃力があるんだろう。
そう思ったのだが……。
「いや? フルーネルキャット自体に攻撃力はあまりないな。まあ、サイズがサイズだから、人間よりはそれなりに強いとは思うが」
そんな風に言われてしまった。
「……? じゃあ、どうしておすすめなんですか?」
「無論、野営の質が変わる」
「野営……?」
野営……まさか……。
「フルーネルキャットはいい布団になるぞ」
「ふ、ふとん!?」
いや、確かに干したての布団みたいないい匂いがするとは思ったけど! 本当に布団にするとは思わないじゃん!
いや、でも、このもふもふ具合に包まれて眠れたら、それはもう天国だと思う。
「それに、毒の有無を判断できる鼻を持っているからな。食料が尽きても食えるものを探せるのがでかい。ついでに言えば、尾っぽがそれなりの値段で売れるから路銀にも困らない」
「し、しっぽを売っちゃうんですか!?」
切り落とすなんて! とわたしは青くなったけれど、エーリングさんの説明によると、フルーネルキャットのしっぽは自然と生え変わるものらしい。
なんでも、メインのしっぽ以外にもしっぽが生えてくるらしく、メインのもの以外は簡単に取れるそうだ。最大何本生えるかは個体によって違うのだとか。
「この街にくる前に丁度売っちまったからな。今はメインの一本しかねぇが、ここに来るまでは三本生えてたよ」
それ、ちょっと見たかったな……。二本というわけではないけど、猫又っぽい感じってことだよね?
「そんなわけで、戦闘面以外のカバーが優れてるんだ。だからおすすめって言われているわけ。アタシみたいに自分の腕に自信がある奴には特に」
自分で攻撃力を賄えるなら、そういうサポートタイプの魔物をテイムした方がバランスがいい、というのは確かに納得できる話だ。
わたしには攻撃力が皆無だから、もし討伐依頼とかを受けるようになったとしても、相棒にするには心もとなくはある。わたし自身が強くなるのは……うーん、あんまり想像できない。
わたしにはフルーネルキャットを最大限活かしてあげられないな、と思いながら、もうしばらくもふらせてもらった。こんな機会、次、いつあるか分からないもん……。
最終的に、「どうせ今晩こいつの腹元で眠らせて貰うんだから」とエーリングさんが呆れて言ってくるギリギリまでフルーネルキャットの毛並みを堪能し、わたしたちはザムさんの捜索へと向かうのだった。
浮気じゃないから、これは浮気じゃないから……と脳内のショドーとひいさまに言い訳をする。ゼインラーム王国にいたころは、本当に猫がいなかったから、わたしが他の猫に構うこともなかったので、ふたりがどんな反応をするか分からないけど……。
「それにしても、こんな大きいと、やっぱり強いんですか?」
わたしはフルーネルキャットの首元に埋もれたまま、顔だけをエーリングさんの方に向け、聞いてみた。
大人しい性格、とは言っていたけれど、テイマーとして依頼で生活をする人間の相棒におすすめだというのなら、それなりに攻撃力があるんだろう。
そう思ったのだが……。
「いや? フルーネルキャット自体に攻撃力はあまりないな。まあ、サイズがサイズだから、人間よりはそれなりに強いとは思うが」
そんな風に言われてしまった。
「……? じゃあ、どうしておすすめなんですか?」
「無論、野営の質が変わる」
「野営……?」
野営……まさか……。
「フルーネルキャットはいい布団になるぞ」
「ふ、ふとん!?」
いや、確かに干したての布団みたいないい匂いがするとは思ったけど! 本当に布団にするとは思わないじゃん!
いや、でも、このもふもふ具合に包まれて眠れたら、それはもう天国だと思う。
「それに、毒の有無を判断できる鼻を持っているからな。食料が尽きても食えるものを探せるのがでかい。ついでに言えば、尾っぽがそれなりの値段で売れるから路銀にも困らない」
「し、しっぽを売っちゃうんですか!?」
切り落とすなんて! とわたしは青くなったけれど、エーリングさんの説明によると、フルーネルキャットのしっぽは自然と生え変わるものらしい。
なんでも、メインのしっぽ以外にもしっぽが生えてくるらしく、メインのもの以外は簡単に取れるそうだ。最大何本生えるかは個体によって違うのだとか。
「この街にくる前に丁度売っちまったからな。今はメインの一本しかねぇが、ここに来るまでは三本生えてたよ」
それ、ちょっと見たかったな……。二本というわけではないけど、猫又っぽい感じってことだよね?
「そんなわけで、戦闘面以外のカバーが優れてるんだ。だからおすすめって言われているわけ。アタシみたいに自分の腕に自信がある奴には特に」
自分で攻撃力を賄えるなら、そういうサポートタイプの魔物をテイムした方がバランスがいい、というのは確かに納得できる話だ。
わたしには攻撃力が皆無だから、もし討伐依頼とかを受けるようになったとしても、相棒にするには心もとなくはある。わたし自身が強くなるのは……うーん、あんまり想像できない。
わたしにはフルーネルキャットを最大限活かしてあげられないな、と思いながら、もうしばらくもふらせてもらった。こんな機会、次、いつあるか分からないもん……。
最終的に、「どうせ今晩こいつの腹元で眠らせて貰うんだから」とエーリングさんが呆れて言ってくるギリギリまでフルーネルキャットの毛並みを堪能し、わたしたちはザムさんの捜索へと向かうのだった。
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