ネコ科に愛される加護を貰って侯爵令嬢に転生しましたが、獣人も魔物も聖獣もまとめてネコ科らしいです。

ゴルゴンゾーラ三国

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第一部

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 シャンシャットちゃんに案内され、わたしは男性を引きずりながら、彼の部屋へとたどり着いた。こじ開けられたのか、扉のドアノブと鍵の部分は壊れていて、少しだけ開いているような状態だ。
 ちなみに、アビィさんは本当に最後まで手伝ってくれなかった。ぼろぼろのザムさんが、気を使って手を貸してくれようとしたくらいである。流石に断ったが。
 大変とはいえ、階段を上ることに比べたらだいぶ楽だった。息切れが治らないけど。

「ぜえ……ぜえ……、っ、おらぁ!」

 最後の力を振り絞って、扉を開け、部屋の中へと男性を入れる。もはや侯爵令嬢だったころの名残なんてかけらもない叫びをあげながら。

 部屋の中はそれはもう、すごかった。紙と本が散乱していて、家の中なのに『道』ができている。明らかにここを通っているんだな、と分かるくらい、唯一床が見えている道があるのだ。一直線に。研究、とやらをする机の場所に向かって。
 部屋の左右には本棚が天井までぎっちりの高さでそびえているが、中身は半分以上ない。多分、本来ならば、この部屋に散乱している本たちが収まっていたのだろう。
 研究に必要だから、と引っ張り出して、そのまま戻さなかったに違いない。

『ごすじんさま、ここ、おいてにゃ』

 そう言って、シャンシャットちゃんがよじ登ったのはソファ。多分、二人掛けだろう。この人が寝るには狭いように見えるけど……魔法で睡眠を管理するってことは、寝心地はあんまり関係ないのかな。

 っていうか、ソファの上!? 持ち上げらんないんですが!?
 すでに腕はぷるぷるで、引きずるのも限界である。

「い、いや、ちょっと流石に難しいかな……」

『おいてにゃあ』

「よろこんで!!!」

 あざとく首を傾げられてしまってはうなずくしかない。
 わたしは部屋の入口から、男性をさらに引きずる。……通れる場所が狭くて、結構、積み上げた本が崩れてなだれを起こしたり、床にあった紙がぐしゃぐしゃと、男性と共に引きずられているけど……知らない。そこまで面倒見切れないもの。

「――ッ、っしょ!」

 半ば投げ捨てるように、男性をソファの上に置く。その衝撃で、近くにあった机の上の紙束がバサバサと床の上に落ちた。……紙だし、セーフでしょ。研究道具が落下して壊れた、とかだと一大事かもしれないけど、拾えばいいだけである。本と紙が散乱している中、果たしてすぐに拾い切れるものなのかは知らないけど。
 全部乗り切らなかったけど、それはどうしようもない。もとより、全部乗るとは思ってなかったし。

『ありがとにゃあ』

 シャンシャットちゃんは、わたしにお礼を言うと、ソファの背もたれの上に置いてあった眼鏡を、ちょいちょい、と男性の上に落とした。猫がいたずらでよくやるようなアレである。
 すると、一瞬、パッとソファを中心に、地面が光った。……物が散乱していて、かすかにしか分からなかったけど。

「ん、んん……レティ、もう朝?」

 先ほど、どれだけ乱暴にゆすっても起きなかった男性が目を覚まし、がしがしと頭を掻きながら起き上がった。
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