ハーレム系ギャルゲの捨てられヒロインに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

ゴルゴンゾーラ三国

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 時というものは、あっという間に過ぎるものだ。
 つい先日、王子、王女の中で一番年下である第七王女が、貴族学院を卒業した。
 結局、あれから他の王子、王女はオクトール様以上に分かりやすい功績を見せることはなかったし、なんならオクトール様は新たに一つ、しれっと、伝説の魔女のものではないが、一般の旧魔女の魔法を再現する魔法道具を開発していたので、追い付かれるどころか新たに差を開いていた。

 ――故に、王位継承順位は変わっていない。

 狙ったようなタイミングである、わたしたちの結婚式と同時に、オクトール様が王太子として、現王から引継ぎをされることを発表される。公表はこれからだが、皆、察しはついていることだろう。
 わたしがアインアルド王子に捨てられたタイミングや、オクトール様との婚約決定時期、それから婚約発表のパーティーのことを考えると、最短で頑張ってこの時期になるので、仮にオクトール様が王太子にならずとも、わたしたちの結婚式はこのタイミングで行われただろう。多少、考慮されたのかもしれないけど。

 本日着ているのは、いつもの赤いカラードレスではなく、真っ白な、ウエディングドレス。前世では本当にこういったことに縁がなかったし、今世では、いつまでたってもアインアルド王子と結婚することがなかったので、漠然と、着られないものだと思い込んでいた。貴族令嬢なので、流石にそんなことはないと思うのだが。
 それでも、この世界のウエディングドレスと言えばヒロインが着るもの、という印象が強く、わたしも袖を通すことになるというのは分かっていても、想像が全くつかなかったのだ。
 スチルで見たものとはまた違う、わたしだけのウエディングドレス。それを着た鏡の中のわたしを見ると、なんだか不思議な気分だ。

「……見事なものだな」

 支度を終えたオクトール様が、わたしの部屋に来て、開口一番にそう言った。彼がわたしを見る目が、愛おしい、と言っているように感じるのは、わたしの希望が見せる幻覚ではなく、現実だろう。彼の耳と頬が、分かりやすく赤い。

「そういうオクトール様こそ、素敵ですわ」

 純白のドレスのわたしに合わせるような、真っ白のタキシード。胸元には、パローグリオとディゴニルの花が飾られている。紺に寄り添う赤の花が、白い服の中で際立っていた。
 パローグリオとディゴニルの花は、折角だから、と飾りに使わせて貰った。わたしのベールの飾りにも、二つの花が使われている。わたしのほうは、赤いパローグリオの方がメインに使われているけれど。
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