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第百三十四話 王都にて
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「トリ?」
ティリスの手元に領都からトリが飛んできた。
相手はアリスティア。
「なにやろ?」
今年、ティリスは、二十歳を迎える。
まあ、産み月にはまだ十九なのだが。
かさかさと紙片を広げる。
アリスティアらしい、きっちりとした字で綴られる手紙は…
「懐妊?うわあ、やったやん。」
「…ん?どうしたんじゃ?」
ソファでうとうとしていたプルミエは、まぶたをこすりながら起き上がる。
「へえ、アリスティアさん姉さんが懐妊どす。」
「ほう!そりゃあめでたい。で?公子か?姫か?」
「あれあれ気の早い、まだ三月どす。生まれるのは九月?」
「おおそうか、楽しみじゃのう。」
プルミエは、にこにことティリスを見た。
ティリスは、嬉しそうに手紙を眺めている。
「どうした?」
「へえ、なんでもご実家の問題が解決しはったそうどす。」
「ほ~、アリスティアさん姉さんの実家とは?」
「モントロー子爵家と言う東部の領地らしいんどすけど。」
「けど?」
「はあ~、婿さんが養子で簒奪…」
「おやまあ、貴族の世界ではよくあることよのう。」
「よくあるんどすか?」
「まあな、子爵家とは言え年のアガリは二十億円~四十億円ほどにもなろうよ。」
「へえ~。」
「ちょっと悪さするつもりになれば、なあ…」
「そやけどバレはったらコレどすやろ?」
ティリスは、手のひらを首の下で横に動かして見せた。
「まあそうじゃのう、この世のしきたりをくつがえすことじゃからな。」
「あんまり効率のええことではおへんな。」
「それがのう、人間と言うものはアホでのう、ずぶずぶと沼にはまるようにのめりこむ者が後を絶たんのじゃ。」
「そういうもんどすか?」
「そう言うもんどす。」
ティリス付きの侍女イベットがドアから顔を出した。
「お方様、シャネー夫人がお越しです。」
「おやまあ、今日はなんどす?カサーラ、予定がおしたん?」
「はい、昨日使者が参りまして、お方様も午後ならと。」
「そうどす?ほなここに呼びよし。」
「かしこまりました。」
イベットはするすると下がる。
「カサーラ、お茶はこの前のアレがええなあ。」
ウージーのお茶でございますか?」
「そうそう、苦みの中に甘みもあって、ええお茶どす。」
「かしこまりました。お菓子は…」
「ああ、マドレーヌ教会横のラデュレのマカロンがええな。」
「はい。」
カサーラもするすると下がる。
「おお、マカロンかえ?良いものがあるのう。」
「はい、なかなかのお品です。」
「伯爵家ともなると、なにかと逸品ぞろいじゃのう。」
「天下の賢者プルミエさまのお言葉とも思えませんねえ。」
「まあまあ、この家はそういうものに事欠かぬのがいいところじゃ。」
「ふふふ」
ティリスも、楽しそうに笑った。
おなかもかなり大きくなってきて、歩くのもしんどくなっている。
腰にも負担があって、本人も難儀である。
「いや~、大方さまも領地に行かはって、このタウンハウスも静かなもんどすなあ。」
「そうじゃのう、国王とか余計なことを言ってこなければよいのじゃがのう。」
「まさかあ、王さまもそこまで暇ではないでしょう。」
「そうじゃのう。」
「お方さま、失礼します。シャネーでございます。」
ドアの向こうから声がかかった。
「はいはい、シャネー夫人、ようこそおこしやす。」
「おじゃまいたします。初めて訪問しましたが、大きなお屋敷でございますね。」
「なんや三百年も前の建物とか、ウチら畏れ多いんどすけど。あはは」
「はあ~、三百年!」
「へえ、そう言えばオルレアンの領都でのお式はどうどした?」
「はい、そりゃもう盛況でございましたとも、こちらであつらえましたドレスも大評判でございました。」
「それはよろしおしたなあ。エリシアはんもおきれいどしたやろ?」
「はい、白いドレスがよくお似合いで。」
「ウチの旦那はんは、妙にああいうものに一言がおしてなあ、ムリ言うてすんまへん。」
「いえ、貴族のお嬢様方が、同じようなお衣装を結婚式で着たいと、今から予約されましたよ。」
「それはよろしおしたなあ。」
「はい、これもカーラの描いたデザイン画が良かったのですわ。」
「そう?それは役に立って良かったどすなあ。」
「はい!今日も連れてまいっております。」
「あらまあ、はようおいない。」
シャネー夫人は、カーラを廊下で待たせていました。
「カーラ、入ってらっしゃい、お方さまがお呼びよ。」
「はい。」
カーラは、先日見た衣装よりちょっとアップグレードしていた。
「あら、ええお衣装どすな。」
「はい、お屋敷に参るのに、普段着では…」
シャネー夫人も、気を遣っている。
「おおきに、気を遣ってくれはって、感謝いたします。」
「いいえ、こちらこそ。」
イベットとカサーラは、お茶とお菓子を持って入ってきた。
「ああ、すんまへんどうぞお座りやす。」
ティリスは、ソファを勧めた。
「カーラはこっち。」
カーラを自分の隣に座らせる。
「ほら、これも食べよし。」
ティリスは山盛りのマカロンの皿をカーラの前に置いた。
シャネー夫人は、目を丸くする。
自分たちの前には、普通に持った皿がある。
「お茶でございます。」
イベットが、お茶を前に置いた。
「お、お方さま、このカップは?」
薄い地肌の白いカップ。
カズマの作った『なんちゃってボーンチャイナ』のようだ。
今までに見たこともない薄い肌に、向こうが透き通りそうだ。
それまでのリモージュのように、厚手のカップでは味わえないなまめかしさ。
唇に触れる感触も、官能的だった。
(別に現在のリモージュが厚ぼったいわけではない。)
リモージュ伯爵が見たらくやしがるだろう。
それほど出来が良かった。
シャネー夫人は、感動に打ち震えた。
モノづくりに携わっている者には、この素晴らしさが理解できるのだろう。
「へえ、なんやウチの旦那はんが土こねて遊んではったようどす。」
「は、伯爵さまが?おんみずからこれを作ったのですか?」
「へえまあ、ほんの手すさびどす。」
ティリスは、すましてカップを口に運ぶ。
「そうよの、カズマはおもしろいぞえ。こんなものを作ってしまうとはのう。」
「プルミエさまもそうお思いですか。」
「うむ、今の王国でこれほど薄くてかたい焼き物はなかろうよ。」
「さようでございますわねえ。」
シャネー夫人は、プルミエに向かってうなずく。
「カーラ、おいしい?」
「はい、ティリスお姉ちゃん。」
「そう、よろしおしたなあ。」
シャネー夫人は、なんとも言い難い、複雑な気分で二人を見つめた。
「まあまあ、良いではないか、この二人には二人のつきあいがあるのじゃ。」
シャネー夫人は、あいまいにうなずいた。
「ほらほら、ほっぺにお菓子のくずが…」
ティリスは、カーラのほほについたマカロンのかけらをハンカチで拭っている。
「す、スパイダーシルク…」
「ああ、これはマリエナの森を切り開いたとき、百匹くらい出たんどす。」
「ひゃ!百ですって!」
シャネー夫人の声に、ティリスは目を開いた。
グランスパイダーは、黒と黄色のまだら色をした巨大なクモである。
その腹からは、大量の糸がとれる。
その糸を紡いで織りあげたものが『スパイダーシルク』である。
マリエナの工房で、男爵や騎士爵の次女・三女が、こつこつと織っている。
みな、機織りの名人になりつつある。
もちろん、クモの糸を紡ぎだす職人にも、貴族家の娘が関わっている。
そうすると、嫁入りの先が増えるのだ。
うんうん、みんながんばろう。
一匹のグランスパイダーから、一〇反くらいの布が取れる。
こりゃもう大儲けだな。
「まあまあシャネー夫人、お茶をどうぞ。冷めてしまいますえ。」
「ははい、いただきますわ。」
一口飲んで目を見張る。
「お、おいしいですわ。」
「そらよろしおした、ウージーの一番茶だそうどす。」
「ウージー…」
恐ろしい家である。
ウージーの一番茶と言えば、その重さと同じ金が必要と言われる。
「これをこんなにまろやかに淹れてくれはるカサーラは、宝どすなあ。」
「恐縮でございます。」
カサーラは額に冷や汗をかいている。
お茶の扱いに緊張したらしい。
ちなみにティリスたちがいる部屋は、二階にあるリビングである。
シャネー夫人は、次の仕事について相談に来たのである。
「お方さまのお産みまいらせるお子さまのお衣装でございます。」
「まあまだ二月もありますのに。」
「今のうちにデザインなどを決めておかねば、生まれました「それっ」では遅うございます。」
「まあ、そうどすか?ほなどうしましょう?」
「まずは無難に色は白、水色などが良いかと。」
「そうどすな、この子一人と決まった訳やなし、青も作っておきまひょ。」
「はい。」
「カーラ、デザインは任せます。赤も青も緑も黄色も作りまひょ。アリスティアさん姉さんのお子も産まれますし。」
「はい!」
「あのう、ほかのデザイナーも使ってよろしいでしょうか?」
「へえ、そうどすな。ひとつと決まったもんでなし、ええと思うものがあったらどうぞ作っておくれやす。」
「か、かしこまりました!誠心誠意携わらせていただきます。」
「ふふふ、楽しみどすなあ。」
「おくるみも作ると良いぞ。」
「そういうものはウチらが作ってはどうどす?」
「ワラワは、そう言うことには不器用じゃぞ。」
建築関係とは違うらしい。
「あははは、ウチとアリスティアさん姉さんで作りますがな。」
「それはけっこうじゃのう。」
プルミエは、苦笑い。
「マートモンス山のふもとには、ファイヤーシープがおったのう。」
「そ、それは危険では?」
「まあ、ドラゴンに見つからなければどうと言うことはない。」
ファイヤーシープの毛はふわふわもこもこで、これで織った布は柔らかく暖かい。
「そうじゃのう、ちょっと行って二~三頭獲ってこようかのう?」
一頭でもセーター五枚分は取れそうだ。
けっこう大きい動物なんだよ。
ティリスの手元に領都からトリが飛んできた。
相手はアリスティア。
「なにやろ?」
今年、ティリスは、二十歳を迎える。
まあ、産み月にはまだ十九なのだが。
かさかさと紙片を広げる。
アリスティアらしい、きっちりとした字で綴られる手紙は…
「懐妊?うわあ、やったやん。」
「…ん?どうしたんじゃ?」
ソファでうとうとしていたプルミエは、まぶたをこすりながら起き上がる。
「へえ、アリスティアさん姉さんが懐妊どす。」
「ほう!そりゃあめでたい。で?公子か?姫か?」
「あれあれ気の早い、まだ三月どす。生まれるのは九月?」
「おおそうか、楽しみじゃのう。」
プルミエは、にこにことティリスを見た。
ティリスは、嬉しそうに手紙を眺めている。
「どうした?」
「へえ、なんでもご実家の問題が解決しはったそうどす。」
「ほ~、アリスティアさん姉さんの実家とは?」
「モントロー子爵家と言う東部の領地らしいんどすけど。」
「けど?」
「はあ~、婿さんが養子で簒奪…」
「おやまあ、貴族の世界ではよくあることよのう。」
「よくあるんどすか?」
「まあな、子爵家とは言え年のアガリは二十億円~四十億円ほどにもなろうよ。」
「へえ~。」
「ちょっと悪さするつもりになれば、なあ…」
「そやけどバレはったらコレどすやろ?」
ティリスは、手のひらを首の下で横に動かして見せた。
「まあそうじゃのう、この世のしきたりをくつがえすことじゃからな。」
「あんまり効率のええことではおへんな。」
「それがのう、人間と言うものはアホでのう、ずぶずぶと沼にはまるようにのめりこむ者が後を絶たんのじゃ。」
「そういうもんどすか?」
「そう言うもんどす。」
ティリス付きの侍女イベットがドアから顔を出した。
「お方様、シャネー夫人がお越しです。」
「おやまあ、今日はなんどす?カサーラ、予定がおしたん?」
「はい、昨日使者が参りまして、お方様も午後ならと。」
「そうどす?ほなここに呼びよし。」
「かしこまりました。」
イベットはするすると下がる。
「カサーラ、お茶はこの前のアレがええなあ。」
ウージーのお茶でございますか?」
「そうそう、苦みの中に甘みもあって、ええお茶どす。」
「かしこまりました。お菓子は…」
「ああ、マドレーヌ教会横のラデュレのマカロンがええな。」
「はい。」
カサーラもするすると下がる。
「おお、マカロンかえ?良いものがあるのう。」
「はい、なかなかのお品です。」
「伯爵家ともなると、なにかと逸品ぞろいじゃのう。」
「天下の賢者プルミエさまのお言葉とも思えませんねえ。」
「まあまあ、この家はそういうものに事欠かぬのがいいところじゃ。」
「ふふふ」
ティリスも、楽しそうに笑った。
おなかもかなり大きくなってきて、歩くのもしんどくなっている。
腰にも負担があって、本人も難儀である。
「いや~、大方さまも領地に行かはって、このタウンハウスも静かなもんどすなあ。」
「そうじゃのう、国王とか余計なことを言ってこなければよいのじゃがのう。」
「まさかあ、王さまもそこまで暇ではないでしょう。」
「そうじゃのう。」
「お方さま、失礼します。シャネーでございます。」
ドアの向こうから声がかかった。
「はいはい、シャネー夫人、ようこそおこしやす。」
「おじゃまいたします。初めて訪問しましたが、大きなお屋敷でございますね。」
「なんや三百年も前の建物とか、ウチら畏れ多いんどすけど。あはは」
「はあ~、三百年!」
「へえ、そう言えばオルレアンの領都でのお式はどうどした?」
「はい、そりゃもう盛況でございましたとも、こちらであつらえましたドレスも大評判でございました。」
「それはよろしおしたなあ。エリシアはんもおきれいどしたやろ?」
「はい、白いドレスがよくお似合いで。」
「ウチの旦那はんは、妙にああいうものに一言がおしてなあ、ムリ言うてすんまへん。」
「いえ、貴族のお嬢様方が、同じようなお衣装を結婚式で着たいと、今から予約されましたよ。」
「それはよろしおしたなあ。」
「はい、これもカーラの描いたデザイン画が良かったのですわ。」
「そう?それは役に立って良かったどすなあ。」
「はい!今日も連れてまいっております。」
「あらまあ、はようおいない。」
シャネー夫人は、カーラを廊下で待たせていました。
「カーラ、入ってらっしゃい、お方さまがお呼びよ。」
「はい。」
カーラは、先日見た衣装よりちょっとアップグレードしていた。
「あら、ええお衣装どすな。」
「はい、お屋敷に参るのに、普段着では…」
シャネー夫人も、気を遣っている。
「おおきに、気を遣ってくれはって、感謝いたします。」
「いいえ、こちらこそ。」
イベットとカサーラは、お茶とお菓子を持って入ってきた。
「ああ、すんまへんどうぞお座りやす。」
ティリスは、ソファを勧めた。
「カーラはこっち。」
カーラを自分の隣に座らせる。
「ほら、これも食べよし。」
ティリスは山盛りのマカロンの皿をカーラの前に置いた。
シャネー夫人は、目を丸くする。
自分たちの前には、普通に持った皿がある。
「お茶でございます。」
イベットが、お茶を前に置いた。
「お、お方さま、このカップは?」
薄い地肌の白いカップ。
カズマの作った『なんちゃってボーンチャイナ』のようだ。
今までに見たこともない薄い肌に、向こうが透き通りそうだ。
それまでのリモージュのように、厚手のカップでは味わえないなまめかしさ。
唇に触れる感触も、官能的だった。
(別に現在のリモージュが厚ぼったいわけではない。)
リモージュ伯爵が見たらくやしがるだろう。
それほど出来が良かった。
シャネー夫人は、感動に打ち震えた。
モノづくりに携わっている者には、この素晴らしさが理解できるのだろう。
「へえ、なんやウチの旦那はんが土こねて遊んではったようどす。」
「は、伯爵さまが?おんみずからこれを作ったのですか?」
「へえまあ、ほんの手すさびどす。」
ティリスは、すましてカップを口に運ぶ。
「そうよの、カズマはおもしろいぞえ。こんなものを作ってしまうとはのう。」
「プルミエさまもそうお思いですか。」
「うむ、今の王国でこれほど薄くてかたい焼き物はなかろうよ。」
「さようでございますわねえ。」
シャネー夫人は、プルミエに向かってうなずく。
「カーラ、おいしい?」
「はい、ティリスお姉ちゃん。」
「そう、よろしおしたなあ。」
シャネー夫人は、なんとも言い難い、複雑な気分で二人を見つめた。
「まあまあ、良いではないか、この二人には二人のつきあいがあるのじゃ。」
シャネー夫人は、あいまいにうなずいた。
「ほらほら、ほっぺにお菓子のくずが…」
ティリスは、カーラのほほについたマカロンのかけらをハンカチで拭っている。
「す、スパイダーシルク…」
「ああ、これはマリエナの森を切り開いたとき、百匹くらい出たんどす。」
「ひゃ!百ですって!」
シャネー夫人の声に、ティリスは目を開いた。
グランスパイダーは、黒と黄色のまだら色をした巨大なクモである。
その腹からは、大量の糸がとれる。
その糸を紡いで織りあげたものが『スパイダーシルク』である。
マリエナの工房で、男爵や騎士爵の次女・三女が、こつこつと織っている。
みな、機織りの名人になりつつある。
もちろん、クモの糸を紡ぎだす職人にも、貴族家の娘が関わっている。
そうすると、嫁入りの先が増えるのだ。
うんうん、みんながんばろう。
一匹のグランスパイダーから、一〇反くらいの布が取れる。
こりゃもう大儲けだな。
「まあまあシャネー夫人、お茶をどうぞ。冷めてしまいますえ。」
「ははい、いただきますわ。」
一口飲んで目を見張る。
「お、おいしいですわ。」
「そらよろしおした、ウージーの一番茶だそうどす。」
「ウージー…」
恐ろしい家である。
ウージーの一番茶と言えば、その重さと同じ金が必要と言われる。
「これをこんなにまろやかに淹れてくれはるカサーラは、宝どすなあ。」
「恐縮でございます。」
カサーラは額に冷や汗をかいている。
お茶の扱いに緊張したらしい。
ちなみにティリスたちがいる部屋は、二階にあるリビングである。
シャネー夫人は、次の仕事について相談に来たのである。
「お方さまのお産みまいらせるお子さまのお衣装でございます。」
「まあまだ二月もありますのに。」
「今のうちにデザインなどを決めておかねば、生まれました「それっ」では遅うございます。」
「まあ、そうどすか?ほなどうしましょう?」
「まずは無難に色は白、水色などが良いかと。」
「そうどすな、この子一人と決まった訳やなし、青も作っておきまひょ。」
「はい。」
「カーラ、デザインは任せます。赤も青も緑も黄色も作りまひょ。アリスティアさん姉さんのお子も産まれますし。」
「はい!」
「あのう、ほかのデザイナーも使ってよろしいでしょうか?」
「へえ、そうどすな。ひとつと決まったもんでなし、ええと思うものがあったらどうぞ作っておくれやす。」
「か、かしこまりました!誠心誠意携わらせていただきます。」
「ふふふ、楽しみどすなあ。」
「おくるみも作ると良いぞ。」
「そういうものはウチらが作ってはどうどす?」
「ワラワは、そう言うことには不器用じゃぞ。」
建築関係とは違うらしい。
「あははは、ウチとアリスティアさん姉さんで作りますがな。」
「それはけっこうじゃのう。」
プルミエは、苦笑い。
「マートモンス山のふもとには、ファイヤーシープがおったのう。」
「そ、それは危険では?」
「まあ、ドラゴンに見つからなければどうと言うことはない。」
ファイヤーシープの毛はふわふわもこもこで、これで織った布は柔らかく暖かい。
「そうじゃのう、ちょっと行って二~三頭獲ってこようかのう?」
一頭でもセーター五枚分は取れそうだ。
けっこう大きい動物なんだよ。
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