幸せだったかも、なんてね

真憂

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幸せだったかも、なんてね~僕の視点~

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結婚まで考えた彼女の通夜で、僕は泣きじゃくる彼女の両親を見ていた。少し場が落ち着いた時、彼女の両親に聞かれた。

「あの娘が死ななきゃいけない理由がどこを探しても見つからないの。何か知らない?」

「理由なんてないんだと思います」

そう言った瞬間、彼女の父親に頬を張られた。

「そんなはずがないだろう!人は幸せなら死んだりなんかしない!もしかして君がDVとかでもしてたんじゃないのか!?それぐらいしか理由が考えられない!」

「…幸せでも死ぬ人はいるんじゃないですか?」

そう言って会場を後にした。

彼女の死を止められなかった僕でも、彼女の事は長い付き合いだ、それなりに分かっているつもりだった。

あの時は気が動転して、彼女の両親と同じような反応をしてしまったが、彼女が死ぬということは、理由があってとかそういうことではない。そういうことではないのだ。決して現実逃避ではなく、ずっと彼女の側にいて、直感的に感じるものがあった。

障害や病気など、人は欠落して生まれてきてしまうことがある。サイコパスだったら感情を欠落してるんだろうし、生まれつきの欠落は誰だってある。ただ彼女の場合は、それが致命的だったのだ。

彼女は「生きたい」という欲を欠落して生まれてきたのだ。だからどんなに幸せでも満たされる事がなかった。

人は生まれつき明るいだとか、運動神経がいいだとか、才能があるだとか、生まれつきの明るい面だけに注目するが、生まれつきの暗い面については余り触れない。むしろ生まれつきだという事を認められずに、家庭環境だとか、友達に酷いことをされただとか、理由を必死に探す。でも僕は思う。

彼女は生まれつき死にたかったんだ。そういう人間がいてもいいのではないだろうか?むしろ僕は彼女の人間離れしたそういうところに魅力を感じている節があった。それを伝えていれば、彼女の寿命は伸びただろうか。

でも僕は思う。死にたくても、その思いを持ったまま生きてほしい。その死にたいという欲求を少しずつでも発散すれば、戦い続けながらも、少しは生き延ばす事ができるんじゃないかと思う。

その助けになるために、僕はギターを弾き、曲を作る。彼女のような人が死にたいまま生きれるように。
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