2 / 2
幸せだったかも、なんてね~僕の視点~
しおりを挟む
結婚まで考えた彼女の通夜で、僕は泣きじゃくる彼女の両親を見ていた。少し場が落ち着いた時、彼女の両親に聞かれた。
「あの娘が死ななきゃいけない理由がどこを探しても見つからないの。何か知らない?」
「理由なんてないんだと思います」
そう言った瞬間、彼女の父親に頬を張られた。
「そんなはずがないだろう!人は幸せなら死んだりなんかしない!もしかして君がDVとかでもしてたんじゃないのか!?それぐらいしか理由が考えられない!」
「…幸せでも死ぬ人はいるんじゃないですか?」
そう言って会場を後にした。
彼女の死を止められなかった僕でも、彼女の事は長い付き合いだ、それなりに分かっているつもりだった。
あの時は気が動転して、彼女の両親と同じような反応をしてしまったが、彼女が死ぬということは、理由があってとかそういうことではない。そういうことではないのだ。決して現実逃避ではなく、ずっと彼女の側にいて、直感的に感じるものがあった。
障害や病気など、人は欠落して生まれてきてしまうことがある。サイコパスだったら感情を欠落してるんだろうし、生まれつきの欠落は誰だってある。ただ彼女の場合は、それが致命的だったのだ。
彼女は「生きたい」という欲を欠落して生まれてきたのだ。だからどんなに幸せでも満たされる事がなかった。
人は生まれつき明るいだとか、運動神経がいいだとか、才能があるだとか、生まれつきの明るい面だけに注目するが、生まれつきの暗い面については余り触れない。むしろ生まれつきだという事を認められずに、家庭環境だとか、友達に酷いことをされただとか、理由を必死に探す。でも僕は思う。
彼女は生まれつき死にたかったんだ。そういう人間がいてもいいのではないだろうか?むしろ僕は彼女の人間離れしたそういうところに魅力を感じている節があった。それを伝えていれば、彼女の寿命は伸びただろうか。
でも僕は思う。死にたくても、その思いを持ったまま生きてほしい。その死にたいという欲求を少しずつでも発散すれば、戦い続けながらも、少しは生き延ばす事ができるんじゃないかと思う。
その助けになるために、僕はギターを弾き、曲を作る。彼女のような人が死にたいまま生きれるように。
「あの娘が死ななきゃいけない理由がどこを探しても見つからないの。何か知らない?」
「理由なんてないんだと思います」
そう言った瞬間、彼女の父親に頬を張られた。
「そんなはずがないだろう!人は幸せなら死んだりなんかしない!もしかして君がDVとかでもしてたんじゃないのか!?それぐらいしか理由が考えられない!」
「…幸せでも死ぬ人はいるんじゃないですか?」
そう言って会場を後にした。
彼女の死を止められなかった僕でも、彼女の事は長い付き合いだ、それなりに分かっているつもりだった。
あの時は気が動転して、彼女の両親と同じような反応をしてしまったが、彼女が死ぬということは、理由があってとかそういうことではない。そういうことではないのだ。決して現実逃避ではなく、ずっと彼女の側にいて、直感的に感じるものがあった。
障害や病気など、人は欠落して生まれてきてしまうことがある。サイコパスだったら感情を欠落してるんだろうし、生まれつきの欠落は誰だってある。ただ彼女の場合は、それが致命的だったのだ。
彼女は「生きたい」という欲を欠落して生まれてきたのだ。だからどんなに幸せでも満たされる事がなかった。
人は生まれつき明るいだとか、運動神経がいいだとか、才能があるだとか、生まれつきの明るい面だけに注目するが、生まれつきの暗い面については余り触れない。むしろ生まれつきだという事を認められずに、家庭環境だとか、友達に酷いことをされただとか、理由を必死に探す。でも僕は思う。
彼女は生まれつき死にたかったんだ。そういう人間がいてもいいのではないだろうか?むしろ僕は彼女の人間離れしたそういうところに魅力を感じている節があった。それを伝えていれば、彼女の寿命は伸びただろうか。
でも僕は思う。死にたくても、その思いを持ったまま生きてほしい。その死にたいという欲求を少しずつでも発散すれば、戦い続けながらも、少しは生き延ばす事ができるんじゃないかと思う。
その助けになるために、僕はギターを弾き、曲を作る。彼女のような人が死にたいまま生きれるように。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
『お前を愛する事はない』なんて言ってないでしょうね?
あんど もあ
ファンタジー
政略結婚で妻を娶った息子に、母親は穏やかに、だが厳しく訊ねる。
「『お前を愛する事は無い』なんて言ってないでしょうね?」
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる