氷の姫は戦場の悪魔に恋をする。

第２９章闇に落ちる

その後、陣営に戻るとエマはゼンに寝台に押し倒された。

ゼンは初めての事に戸惑うエマを見て言った。
「今からお前を抱く。良いな。」

エマはとうとうこの時が来たかと思った。
だが相手かゼンなら構わない。
むしろ大罪を犯し、深く傷付いているゼンと繋がる事で、その苦しみを少しでも癒し、分け合えれば良いと思った。
そこでエマは静かに頷いた。

するとゼンはエマに口付けをした。
エマはそれに応じた。

口付けは随分長いものだった。
エマもゼンも何故か目を開いていたため、二人はずっと見つめ合っていた。

そして長い口付けが終わった。
エマは何故か笑ってしまった。

それを見てゼンは優しく言った。
「怖いのか？」

エマは言った。
「いいえ。ただ何だか不思議な感じで。あなたと始めて会うときはこうなるとは思いもしませんでした。人生って分からないものですね。」

ゼンは言った。
「お前にはもしかしたら他に運命の人がいるかもしれない。だが俺にはお前だけだ。絶対に離さないからな。」

エマは返事の代わりにゼンに口付けをした。
私もあなたの側を離れる気はない。
エマはその事をゼンに伝えたかった。

ゼンは口付けをしながらエマの体に触れた。
そして二人は熱に浮かされた様に激しく、長く愛し合った。

全てが終わりエマは思った。
これで私達は真に一つになったと。
そして決めた。
ゼンの罪がどんなに大きな物でも私は立ち向かうと。
そしてゼンを必ず幸せにして見せると。