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第28章闇の誘い
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そしてしばらくするとゼンが戻ってきた。
久し振りにエマとゼンは2人きりである。
一見すると精悍な顔つきだったがエマには酷くやつれている事が見て取れた。
エマはゼンを見ると言った。
「ニカに確認しました。捕虜を殺したのは本当ですね。」
「そうだ。」
ゼンは冷たい目でエマに告げた。
「どうしてですか?」
エマはゼンがこのような事を進んでやるような人間には思えず、ゼンに詰め寄った。
するとゼンは淡々と話し出した。
「ルームとカンテルは長い年月戦いを繰り広げてきた。カンテルは世界中でルームに対抗できる国でもある。だからここで、戦える成人男性を全て殺した。カンテルにはもはや篭城する力は無い。つまり、カンテルを滅ぼし平和な世の中が訪れる。」
エマにはどうしても納得がいかなかった。
「だから抵抗しない人間を殺したんですか?」
しかし、ゼンは言った。
「もう既に乱世が続いて300年が経つ。その間に戦で死んだ人間はこの比ではない。」
エマは気付いたら泣いていた。
「それでも。たとえあなたが本当は正しいとしても。私はあなたの決断は間違っていると思う。あなたのやった事は許される事ではない」
エマがそこまで言うと、ゼンは突然エマを抱き寄せ口付けをした。
エマはゼンを離そうと抵抗したが、ゼンの力は強く、エマには振りほどく事ができなかった。
そしてゼンは唇を離すと、エマを抱きしめたまま言った。
「俺は平和を望む。だがそのための手段を戦しか知らない。だからこういう方法しか取れないし、これからも同じ様なことをやり続けるだろう」
「お前が怒ることは初めから分かっていた。多分お前が正しくて俺が間違っている。お前はたとえ、どんな目に遭おうとも自分の正義は曲げないだろうし、俺はそういうお前が好きだ。」
「俺とお前は相容れないし、俺と居る事はお前の存在を貶める事になるのかもしれない。」
「だが俺はお前を手放さない。お前を失う事は死ぬ事と同じだ。だから俺を認めろ。俺のやり方に従えとは言わない。だが俺のやる事を見逃し、これからも俺と共に生きろ。」
それはエマが知る中で最悪の告白だった。
だがエマはゼンの手を振りほどく事ができなかった。
そしてエマは言った。
「きっともう後戻りが出来ないところまで来たのでしょうね。」
簡単な話だ。
エマはゼンを愛してしまったのである。
そしてエマは自らの決意を示すようにゼンを強く抱きしめ返したのだった。
久し振りにエマとゼンは2人きりである。
一見すると精悍な顔つきだったがエマには酷くやつれている事が見て取れた。
エマはゼンを見ると言った。
「ニカに確認しました。捕虜を殺したのは本当ですね。」
「そうだ。」
ゼンは冷たい目でエマに告げた。
「どうしてですか?」
エマはゼンがこのような事を進んでやるような人間には思えず、ゼンに詰め寄った。
するとゼンは淡々と話し出した。
「ルームとカンテルは長い年月戦いを繰り広げてきた。カンテルは世界中でルームに対抗できる国でもある。だからここで、戦える成人男性を全て殺した。カンテルにはもはや篭城する力は無い。つまり、カンテルを滅ぼし平和な世の中が訪れる。」
エマにはどうしても納得がいかなかった。
「だから抵抗しない人間を殺したんですか?」
しかし、ゼンは言った。
「もう既に乱世が続いて300年が経つ。その間に戦で死んだ人間はこの比ではない。」
エマは気付いたら泣いていた。
「それでも。たとえあなたが本当は正しいとしても。私はあなたの決断は間違っていると思う。あなたのやった事は許される事ではない」
エマがそこまで言うと、ゼンは突然エマを抱き寄せ口付けをした。
エマはゼンを離そうと抵抗したが、ゼンの力は強く、エマには振りほどく事ができなかった。
そしてゼンは唇を離すと、エマを抱きしめたまま言った。
「俺は平和を望む。だがそのための手段を戦しか知らない。だからこういう方法しか取れないし、これからも同じ様なことをやり続けるだろう」
「お前が怒ることは初めから分かっていた。多分お前が正しくて俺が間違っている。お前はたとえ、どんな目に遭おうとも自分の正義は曲げないだろうし、俺はそういうお前が好きだ。」
「俺とお前は相容れないし、俺と居る事はお前の存在を貶める事になるのかもしれない。」
「だが俺はお前を手放さない。お前を失う事は死ぬ事と同じだ。だから俺を認めろ。俺のやり方に従えとは言わない。だが俺のやる事を見逃し、これからも俺と共に生きろ。」
それはエマが知る中で最悪の告白だった。
だがエマはゼンの手を振りほどく事ができなかった。
そしてエマは言った。
「きっともう後戻りが出来ないところまで来たのでしょうね。」
簡単な話だ。
エマはゼンを愛してしまったのである。
そしてエマは自らの決意を示すようにゼンを強く抱きしめ返したのだった。
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