乙女ゲームの主人公に転生した私は、BADENDを避ける為に悪役令嬢と仲良くしようと思います

ヨッシー

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第一章 魔法学校入学前

02.父親

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 母は鍋の火を止め、トレーに二人前の食事を乗せ、食卓に運ぶ。
 私達はテーブルの前に向かい合う様に腰を下ろす。

「では頂きましょうか?」
「はい、ママ」

 お互いに手を合わせ........

「頂きます!」
「頂きます!」

 食材に感謝を告げる。
 私はスープを口に運ぶ。

 ...............薄い。
 
 具材は入っておらず、緩いお湯。
 塩すら入っていない。
 まあこの時代塩は貴重だから仕方ないが。
 次にパンに手を伸ばし、口に運ぶ。

 .................硬い。

 一瞬石かと思った。
 とてもじゃないがスープに浸してふやかせてからじゃないと食えない。
『乾パンなどの保存食みたいな感じ』と言えば分かり易いだろうか。

 これを見れば、前世の私がいかに恵まれていたか分かります。
 
 娯楽の類いとは違う。
 エネルギーを胃に収める...........今日生きる為だけの食事。
 分かっていたけど、この時代.............中世ヨーロッパの平民と貴族の生活水準の差は酷い。
 前世でも貧困層と富裕層の差はある...............でもここまで露骨では無い。
 身分制度に奴隷制度...........人権制度はどこ行ったのか?
『奴隷に法律は適用されない』など、イかれてるにも程がある。
 同じ人間を物扱いするなど、正気の沙汰とは思えない。
 そこで私はスープを口に運びながら、視線だけを母に向ける。
 
 平民も例外では無いと。

 貴族の法律は貴族の為にある。
 平民にはあってないようなもの。
 奴隷より僅かに扱いが向上する程度。
 現に私の母は都市ヴィ・ロストこ     この領地主『ブブ・ロースト』に孕まされ、私を産んだ。
 産んだ後はゴミの様に捨てられた。
 そう言う設定。
 平民である以上、貴族には逆らえない。
 私達は貴族の領地に住まわせてもらっている立場だ。
 税として、収穫した物質の八割を納めて。
 もし逆らえば、嫌がらせの様に税を増やされる。
 村全体が被害を被る。
 だから母は村の為にその身を捧げた。
 前世であれば、行為の強要は『強姦罪』に当たるが、中世ヨーロッパではそうでは無い。
 職権乱用など当たり前。
 領地内のルールは全て、領地主の力量に定められている。
 身分至上主義である、この貴族社会では。

「ご馳走様でした!」

 私は子供らしく手を合わせてそう言った。

「ふふ、お粗末様」

 嬉しそうな母を見てると心が痛む。
 貴族に無理矢理生まされた子だ。
 愛する者とも間に出来た子では無い。
 本来なら憎まれてもおかしくは無い筈だ。
 
 なのに何故ここまで私は可愛がられている?
 恨みがない訳じゃ無いだろうに?

 私は疑問に思い、尋ねてみる事にした。
 勿論『ラブラブパニック』で得た情報は伏せた上で。

「.........どうして私をここまで可愛がってくれるんですか?」
 
『6歳のラヴィ』の知識の中から言葉を選び、子供の好奇心を装う。
 すると母は何が可笑しかったのか、満面の笑みを浮かべる。

「そんなの貴方が可愛いからに決まってるからじゃ無いですか?」

 その表情に嘘偽りはない。
 本心から私の事を大切に思ってくれている。
 それを見て私は誓った。
 
 母を命を懸けてでも守ろう。
 何を犠牲にしてでも守ろう。

 前世で母親がいなかった影響か、どんどん想いは強くなる。

「じゃあ私外で遊んでくるね!」

 私は恥ずかしさを隠す様に、扉を勢いよく開け、外に飛び出した。
 背中に声がかかるが振り返る事は無い。
 振り返れば、頬が赤い事がバレてしまうだろうから。
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