乙女ゲームの主人公に転生した私は、BADENDを避ける為に悪役令嬢と仲良くしようと思います

ヨッシー

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第一章 魔法学校入学前

09.選別

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 その光景を敢えて例えるなら花火。
 残ったのは肉片と、数人の盗賊。
 その残った数人の盗賊も、地面に両膝を付き、両手を後ろで縛られている。
 それを1秒にも満たない、瞬き1回分にも満たない間にやってのけた。

「ラヴィ様、間引き完了致しました」

 隣に佇み、誇らしげな顔で報告してくるアテナに恐怖を抱く。   
 敵に回ったら、間違いなく死ぬと。
 その事をおくびにもださないが。
 
 今はアテナが仲間の事を喜ぶべきでしょうね。

 正直アテナの動きは全く見えていない。
 私の目から見た傭兵は、一瞬で砕き散り、一瞬で拘束されていた。
 だが原作の知識と照らし合わせれば、大体予想はつく。

 アテナが所持するパッシブスキル(常時発動魔法)の一つ〈光速〉
 
 これは文字通り、『光の速度で歩行する』と言うもの。 
 勿論スイッチの切り替え、ON/OFFは可能。
 外しておけば、普通の歩行も出来る。
 だからアテナはスイッチをONにした状態で〈光速〉を発動し、傭兵の目の前まで移動。
 その後アテナが所持する〝何らかの攻撃魔法〟を発動した。
 これなら直前に暴風が起こった事にも、説明がつく。
 
「御苦労」

 誇らしげな顔で見つめていたアテナに労いの言葉を掛ける。

「も、勿体なきお言葉!」

 頬が染まり、声には歓喜が宿る。
 その嬉しそうな言葉を聞くと、心が和む。
 誰かに好意的な感情を向けられるのは、悪い気はしない。

「で、では行きますか!」

 私は恥ずかしさを誤魔化すように、会話を打ち切った。
 そしてアテナを後ろに付き従え、残った傭兵の元に足を運ぶ。
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