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人権は異世界でも通用しますか?
まず初めましてだ、アホ
しおりを挟む「貴方が新しい受付嬢?」
ひょっこり、という効果音が付きそうな登場をした青年が入り口からやってきた。
私よりもまだ2、3年若そうな男の子。ふわふわとしたカスタード色の髪は後ろで無造作にまとめられている。キラキラとコチラを興味深げに覗いてくる瞳は子供のようだった。
「八橋 絵未です。初めまして。」
「ねえねえ、何歳?」
ありきたりな挨拶をして改めて掃除に取り掛かろうとすれば、阻止してくるかのように手を取られた。
「は?」
突然の年齢質問に訝しげに眉を寄せる。しかし、男の子は気にしておらず、キラキラとした瞳で覗いてくる。
「どこからきたの?」
「どうしてこのギルドにきたの?」
「珍しい服だよね?どこで手に入れたの?」
「黒髪も珍しいよね?もしかして、元は黒の国の人かな?」
「趣味は?」
「好きなものある?」
「あ、逆に嫌いなものは?」
「名前って、どっちがファーストネーム?ファミリーネーム?」
「師匠に抱かれてだけど何かあったの?」
「師匠との関係は?」
「なんの魔法が使えるの?」
「そもそも魔道士?剣士?それとも術士?」
ゴンッ______
「まず初めましてだ、アホ。」
ペラペラと舌の回る男の子の頭に拳骨を落とせば痛みに耐えかねるように蹲った。
「うぅっ……、痛い。暴力女か?」
「礼儀のなってない餓鬼はお黙り。」
下から睨むように見上げてくる男の子、もとい餓鬼に鼻で笑ってやる。ニコニコと対面に座るシューベルは私達の様子を見つめているだけだった。
「うん、仲良くなれそ~だねぇ。」
「えー!師匠、追い出しましょうよー!」
こんの、アホ。本人が目の前にいるのに関係なく追い出す宣言をしてきた。
「返してくれるなら、返してほしいんだけど?」
「無理ですね。」
私もシューベルに向き直ったが、笑顔でバッサリ切られた。
「この子は、レンジ=ウィザー。理由あって友人の子を預かっているんだ。……レンジ、自己紹介ぐらい自分で行いなさい。」
「どーも!レンジって言います。師匠の弟子兼、[提灯花の旅路]のギルド員です!」
ペコリ、と今度こそ自己紹介をしたアホはジロジロと私を見てきた。
「何か?」
「もしかして……、年下?」
「アホ。」
速攻で質問をバカにしてやれば、怒ったように喚き出した。
「だってだって!自分より身長少し高いだけですし!顔が童顔ですし!12歳ぐらいでしょう!」
自分は15歳なんで年上ですよ!年上をもっと敬ってください!なんて、喚いている。
「悪かったわね、17歳よ。」
「おや、そうだったんですね。では、僕のほうが年上ですねぇ。」
ほのぼのとした空気でシューベル(24歳)はドヤ顔した。
「敬えるだけの責任と行動を起こしたら?」
私を片道切符の異世界送りにした罪は重いぞ、と睨んだが笑ってかわされた。
「!?……17歳!……おばさんじゃないですか!」
ゴンッ_______
二度目の鉄槌が落ちた。
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