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人権は異世界でも通用しますか?
突然の招待状なんて、クソ喰らえ
しおりを挟む「ん?」
あれから、レンジとシューベルをこき使いあるだけの依頼を日々消化することに身を徹していた。今では、そこそこのこのギルドへの個人依頼も増えてきている。
異世界から召還をする事のできるレベルと、その弟子。もともとは戦闘レベルなども高かったのだろう。
丁寧、かつ素早い依頼達成で近所からの評判も少しはマシになった。
そんな中で、依頼箱に入っていたのは依頼……ではなく国からの手紙。国印で封が閉じられている。
私の仕事である毎朝のギルド掃除を一旦停止。まだ寝ているであろうシューベルを叩き起こしにかかる。
「シューベルっ!国からの!手紙!来てるんだけど!」
勝手に部屋に入り、ベッドに蹲っている布団の塊。その掛け布団を剥ぐ。
ちょっと前までは、母親にこれをやられるのが私だったのに。短期間でこの生活になれてきている自分に自分で呆れながらも、グダグダと起きるシューベルを見る。
「国からの、手紙………ふぁ、あっ、そうか。」
寝ぼけ目をゴシゴシと擦りながら、立ち上がったシューベルは私の手にある手紙を受け取ってぼんやりと見つめた。
「もうすぐ、組合祭だからか……。」
「___んんっ!組合祭って言うのは、王国内にある各ギルドの力比べです。……正確に言えば、ニ年に一度行われ、名誉と賞金をもとめる戦いですね。」
シューベルと、レンジ、そして私で机を取り囲みながら組合祭についての説明をしていただく。
話から聞くに、オリンピックと同じ感じかしら?
「各ギルド、3人から5人の代表者で、対人関係戦、魔力対戦、剣技対戦、一対一の戦い、総合課題の5つで戦います。」
「ちょっと待って!」
黒板に丁寧に書かれている5つに疑問を覚える。
「……総合課題って、何?」
シューベルに聞けば、さぁ?と返される。
「総合課題は毎年変わるんだよねぇ。何が当てはまるのかわからないんだけどねー、点数が1番高いものでもあるよ。」
ふぅん、一番の見世物と考えてもいいか。
フィナーレとしてのおおとりなのだろう。
「魔力対戦と剣技対戦は自分が出ます。師匠は、一対一の戦いと総合課題、エマは対人関係戦だな。」
「え、私も出るの?」
パッパとレンジに決められて、驚いた声を上げれば不思議そうに首を傾げられた。
「エマもギルドの一人だし。それに、自分達をこんなに使ってるババアに対人関係で勝てる人なんていないっしょ?」
ゴンッ_____
「……一言余計なのよ。」
「い、痛い。」
こっちだって拳が痛いっての。
「だいたい、私の予定ではこれから新ギルド員を探さないといけないの。突然の招待状なんて、クソ喰らえ。」
腰に手を当てて、今後の予定を話せば興味なさそうにレンジがあくびをした。
「別に自分はこのままでもいいと思うけどー。」
「それに、この祭で1位を取れば必然的に注目度が上がりますからね。新ギルド員も勝手に増えますよ?」
賞金も入りますし、一石二鳥と言うやつですね。
なんてシューベルはヘラリと笑った。
「確かに。」
もしかしたら、この前のクソババアも面と向かって成敗できるのよね。
一石三鳥にもなり得る。
×××××
「______どうして、女神は僕の元に来てくれないのだろう?」
暗闇の中、一人呟いた。
「女神を呼んだのは、必要としたのは、僕なのに?」
暗闇は月明かりのみに照らされて、うっすらとした輪郭を保っている。
それは、とても、幻想的でガラス細工のようだ。
「……きっと誰かに拒まれているのですよ、主。」
「拒まれる……?僕と女神の間を?」
カツンッ、と一人の問に答えたのは、ブリキだった。それは、酷く古ぼけて、錆がついている。
「ええ、囚われるお姫様である女神を助けるのは全てを知る王子様である主しかいないのです。」
「……ときは、着々と近づいて居られますゆえ。」
ゆらり。
ブリキの瞳は金色に揺れている。
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