ひとりで生きたいわけじゃない

秋野小窓

文字の大きさ
133 / 198
【8】二人の関係

8-10:直居side(*)

しおりを挟む
 ーーちゅっ、くちゅ……、ちゅぷっ………

 貴矢さんが立てる音が、脳内で響いている。目を閉じていると、さっき飲んだワインが効いてくる。ぐるぐる、ふわふわ。

「……んっ……んぁ………」

 唇がふやけそうなほどキスされているのに、貴矢さんがときどき息継ぎさせてくれるから、ずっとこのまま続けていられそうで困る。

 それに、この匂い。やっぱりクラクラしてしまう。

「たか、や、さっ………」

 堪らず名前を呼んだら、手でされていた耳栓が外され、

「ーー潤。気持ちいい?」
「~~~っ……!」

 耳元で囁かれてしまった。さっきまで外の音が遮断されていた分、ざらついた貴矢さんの低い声にゾクゾクする。

 もう、体に力、入らない………。

 貴矢さんの腕に身を委ねる。

「潤、ベッド行こうか」
「お皿……」
「ん?」
「かたづけ、ないと……」
「後でね」

 腕を引かれ、ベッドに寝かされる。
 貴矢さんは、仰向けになった僕の足を開いて、僕の真ん中に腰を押し当ててきた。

「あっ………」

 貴矢さん、カタくなってるーー……。
 これまで僕の方が気持ちよくされてたけど、貴矢さんも僕なんかに興奮してくれているんだろうか?

 貴矢さんが腰を動かすたびに、ズボン越しに擦れて当たっている。ゆるゆるとした刺激も、気持ちいい、けど。
 それ以上に、貴矢さんとこんな体勢でお互いの敏感なところをくっつけていることが恥ずかしくて、ドキドキする。

 どうしよう、僕もカタくなってきちゃった……。

「……た、かやさ、ん………」
「潤、……怖い?」

 怖くなんてない。首を横に振る。

「俺、潤のここに、挿れたいんだ」

 貴矢さんが僕のおしりに触れながら、熱っぽく言う。
 そうか。ここで、するんだ。

「今日いきなりは無理だから、気分だけ、ね」
「えっちの……まねっこ、してたんですか?」
「ふふ、そうだよ」

 う。想像しちゃった。
 貴矢さんが裸になって、今と同じ体勢で見つめてくるところ。………セクシーで、かっこいい。

 肌に触れたくなって、胸元に手を伸ばす。開いた襟から、鎖骨の下あたりに指先が触れる。

「ん?」
「たかやさん、シャツ、とって、い……ですか?」
「脱がせてくれるの?」

 ボタンを外していく。はだけた胸元。
 貴矢さんの大人の色気が、この香りととても似合っていて。視線を上げると、目が合う。前髪をかき上げる仕草。お腹の奥が、ズク、と疼く。


++++++++++++

大したことしてないんですが、念のためカッコ付きで*マークにしておきました(笑)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

想いの名残は淡雪に溶けて

叶けい
BL
大阪から東京本社の営業部に異動になって三年目になる佐伯怜二。付き合っていたはずの"カレシ"は音信不通、なのに職場に溢れるのは幸せなカップルの話ばかり。 そんな時、入社時から面倒を見ている新人の三浦匠海に、ふとしたきっかけでご飯を作ってあげるように。発言も行動も何もかも直球な匠海に振り回されるうち、望みなんて無いのに芽生えた恋心。…もう、傷つきたくなんかないのに。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

僕の恋人は、超イケメン!!

BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

処理中です...