ひとりで生きたいわけじゃない

秋野小窓

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【8】二人の関係

8-11:直居side

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 ひた、と手を胸に当てる。僕と違って、綺麗に筋肉が乗った胸板。

「ドキドキしてるでしょ。わかる?」

 どうだろう。そんな気もする、けど。よく分からない。僕の方がドキドキしてるからかな。

「ぼく、も………」
「潤も?ドキドキしてるの?」

 貴矢さんの手が、Tシャツの裾から滑り込んででくる。そのまま捲り上げられてしまい、なんだか恥ずかしい。

「……ぁ………」
「潤、綺麗だね」
「ふぁ……っ」

 貴矢さんのキスが、首筋に落ちてくる。ちゅ、ってされたり、ぺろ、ってされたりして、僕、味見されてるみたいだ。

「バンザイして」

 Tシャツを頭から抜き取ってもらう。

「たかやさん、も……」
「ふふ、俺も脱ごうか」

 前を開けただけになっていた貴矢さんのシャツに手を掛けるが、僕には取れなくて、貴矢さんが自分で脱いでくれた。

「潤」

 貴矢さんが、ぎゅうっと抱きしめてくれる。素肌で密着するの、恥ずかしいけど、ほっとするような、不思議な感覚。
 僕も貴矢さんの背中に手を回して、ぎゅっと抱きしめ返す。

「気持ちいいね」
「っ、はい………」

 ずっとこうしていたいくらい、気持ちいい。
 くっついていると、どっちの鼓動か分からないくらい、お互いドキドキしているのが分かる。

「たかやさん、すき……」
「ありがとう。俺も、潤が好きだよ」
「すき。……すきっ、」

 うぅ、なんで泣きたくなってくるんだろう。貴矢さんのこと、好きになっていいんだ、って思ったら、気持ちがいっぱいになってしまって、苦しい。

「潤?」
「たかやさっ、……き、すき……っ」
「うん。好き。俺も」

 ぎゅうっと抱きつく僕の頭を撫でてくれる。優しい。貴矢さん。好き。

「こい、びと……?」
「そうだよ。俺は潤の恋人でしょ?」
「ん……」

 少しだけ体を離して、貴矢さんを見つめる。この人が、僕の恋人。

「たかやさん……」
「ん?」
「……ちゅ、して………」

 恥ずかしいけど、自分からする勇気はなくて、貴矢さんにお願いしてみる。貴矢さんは嬉しそうに笑って、啄むようなキスをしてくれた。
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