蒙古を倒したのに恩賞がない!?故に1人の女と出会い、帝王が支配する異世界へと赴く。

オオカミ

文字の大きさ
33 / 65

33 海の戦い

しおりを挟む
「最後尾のフラムに砲弾が撃ち込まれました!」

「なんだと!?」

「船長、フラムの後方に船が見えます!」

 マストに上っていた一人の船員が叫んだ。
 遠くの方から6隻のシップが見えた。
 バートは遠眼鏡を使ってその船を確かめた。

「帆に、サメに巻き付いたウツボの絵が描かれていやがる。ブラック・キッドか!?おもしれえことしやがる」

 襲った相手がキッドだとわかるとバートは怒りに燃え刀を抜いた。
 バートが白い覇気を出した。

「戦闘。取舵150度!奴らを沈めろ!」

 15隻のバート艦隊が敵前で大回頭した。

 両者が一気に距離を詰めていった。

 大砲とやらが一斉に火を噴いた。
 蒙古が戦で投げつけた『てつはう』よりすごいものが飛んでいった。

 ブラック・キッドの艦隊も砲撃した。
 旗艦シークイーンに砲弾が当たった。

 バートどのは某が全く知らない戦いを海で繰り広げた。

「ガキ共、そんなに海の餌になりたいか!」

 シークイーンが火を吹いた。
 続いて後ろにいる艦隊からもキッドの艦隊の一隻に集中砲撃を行った。
 それによってその敵の船は傾いた。

 バキィ!

「バートどの!マストが折れたぞ!」

 敵の砲弾がシークイーンのマストを一本へし折った。

「あぁ!?一本折れたくらいが何だ!」

 バートどのは構うことなく部下に指示をだしている。
 某はバートどのからいただいた望遠鏡で敵の船をのぞいた。

「あそこに、おまえの女はいない」

「わかるのか?」

「もし、あそこに女を乗せていたら攻撃せずに女を甲板に立たせて人質交渉するはずた。キッドはどこかに隠れている。あいつらを捕まえて吐かせてやる!」

 バート艦隊の砲撃が敵の船に無数の穴を開けていった。
 キッド艦隊はかなわないと思ったか向きを変えて逃げ出した。

「俺にけんかを売ってただですむと思うな!」

 バートが追撃を命じた。

 どぉん!

 轟音がなった。
 遙か先に船が3隻見えた。その船は逃げるブラックキッドの船めがけて砲撃を開始した。

「俺の艦隊だ。キッドを探したと見せかけて、半分はこっそり戻して遠くから着いてこさせていた。あいつの考えることはお見通しだ」

 バート艦隊に包囲されたキッドの艦隊は無数の砲弾を撃ち込まれ、どんどん傾いていった。
 もはや敵は逃げられない。

 バート艦隊が傾いて身動きできない船に近づき、接触した。

「行くぞお前ら!」

 バートが仲間を率いて敵の船に乗り込んだ。
 某はサハリどのからいただいた『記憶の種』を一粒飲んだ。
 ルナどのに魔術をかけられることなく身体が覚えていた【疾風迅雷(ラピッドサンダーストーム)】が呼び起こされた。

 バートどのに負けじと続いた。

 敵の1人が刀を振った。

 軽々と躱して斬った。

 船の上の戦いは蒙古の戦の時の夜討ちで知っている。
 明るい分むしろこちらの方が戦いやすい。

「全員刺身にしてやる!」

 バートが、大声を上げて刀を振りまくり、その刃から無数の【鮫ノ刃(シャークブレイド)】の刃が敵を滅多斬りにした。

「逃げた!?」

 敵わんと思った敵が海の中へ飛び込んだ。

「奴を追うぞ!」

 バートどのが言った。

「あいつらが逃げる先にキッドがいやがる」

「しかし海の中だぞどうやって?」

 相手は海の中へ潜ってしまった。
 人間が海の中を潜って、追うなど不可能だ。

「できる。まんぼ!」

「は、はい!」

 ぽっちゃりして、めがねとやらををかけた一人の魚人が現れた。

「こいつは、魔術師だ。こいつに変化魔術をかけてもらえ」

「この者に?」

「は、はい!僕は、魔術師・・・い、いえただいま魔術師を目指して特訓中の・・・」

 杖と本を持って、自信なさそうに立っていた。

「余計な話は良いから、早くせい!」

「はい!」

 まんぼとかもうす魚人は急いで本を開いて、杖をかざし呪文を唱えた。

「【変身(トランスフォーメーション)】!」

「・・・・・・」

 何も感じない。
 身体に何の変化も無い。

「もう一回!」

 まんぼはもう一度呪文を唱えた。

 某の身体に異変を感じた。
 何かが変わった気がした。

「手を見てみろ。あと耳も触ってみろ」

 バートどのに言われて手を見た。なんと某の指と指の間に水かきのようなものがついていた。
 そして耳の後ろがぱっくり割れていた。

「お前は一時的に魚人になった。俺についてこい!」

 バートどのが海に飛び込んだ。

「よし!」

 海に飛び込んだ。

 何の問題も無く息ができ、普通に泳ぐ以上に素早く泳ぐことができた。
 確かに某は今、魚人になっていた。

「なんだこれは!?」

 海の中に無数の船が海底に沈むことなく、海の中を浮かんでいた。

「ハサルトの海はな、まるで刻が止まったかのごとく、ゆっくりと流れている。ここで沈んだ船は皆、長い刻を経て朽ちていく」

「刻がとまるかのごとく?」

 この船達がいつ頃からここに浮かんでいるか知らない。だが、この海は確かに刻が止まったかのごとく船を浮かべていた。

 その中によくわからない大きくて黒い異様な玉がいくつも浮いていた。

「こ、これは魔機雷だ!」

 バートどのが教えてくれた。

「魔機雷は多くの魔術師がこの巨大な弾に魔力を注入する。これに何かが触れると巨大な爆発を起こす強力な武器だ。未だにロード商人達がハサルトを捕獲するためにあちこちの海に沈めていやがるが、キッドのやろう・・・」

 バートがこぶしを強く握りしめた。

「来たな、はっはっは」

 目の前の船の残骸からブラック・キッドが現れた。それと同時にキッドの一味が周りを取り囲んだ。

「キッド・・・これが貴様の言う新しい海賊か?」

「おうよ。俺たちはこれでビジネスをやって新しい時代をつくるんだよ」

「ハサルトを商品にしようってのか!?ハサルトは俺たち魚人の大切な仲間だぞ!」

「仲間?もともと俺たちは何でもありの生き方をしていた・・・ブラック・キッド様がつくるあらたなる自由だ!」

 キッドが高らかに宣言すると、キッドの一味が一斉にウツボがサメに巻き付いた旗を掲げた。

「自由だと~!?お前には無理だ!」

「いや、手に入れてみせる!」

 キッド一味がいっせいに襲ってきた。
 バートが水中で鮮やかに泳ぎ、刀を振るった。

 某も太刀を抜き、魚人となった身体でキッドの一味を斬りまくった。
 身体に少しの違和感を感じるが、『記憶の種』で某の身体が記憶しているルナどのの支援魔術の力がそれを補ってあまりある力を与えてくれた。

「バート!」

 キッドの眼は異様に丸くなり大きな口を開けてギザギザの2本の刀に濃褐色の斑紋が付き、それを振り回した。

 キッドが刃を間合いの外から振ると、歯のような覇気がバートを。襲った。

「若造、なんだその歯抜けは!」

 バートは刃でキッドの覇気を吹き飛ばした。

 ガッ!

 すぐにキッドの刃が飛んできた。
 だがバートはその刃を受け止めた。

 バートの周りに泡が集まってきた。
 その泡が白い覇気となり、黒い刃とバートを包み込んだ。

 バートはキッドの刀を飛ばした。

「終わりだブラック・キッド。連れ去った女を出せば命は助けてやる!」

「ふっ」

 キッドの不適な笑みを浮かべた。

「バートどの!?」

「!?」

 バートどのの下から突如巨大な魔物が口を開けてバートどのを食らおうとした。
 バートどのは間一髪避けた。

「アクアキラーか!」

 それはサメの3倍はあろうかという大きなトカゲがサメのように泳いでいた。
 10匹ほどのアクアキラーなる魔物が我らを取り囲んだ。

「俺の最高の相棒だよ・・・はははは!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。 謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇! ※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。 王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。 だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。 行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。 冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。 無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――! 王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。 これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

処理中です...