蒙古を倒したのに恩賞がない!?故に1人の女と出会い、帝王が支配する異世界へと赴く。

オオカミ

文字の大きさ
45 / 65

45 人造モンスター

しおりを挟む
「仲間を呼びに行ったのか?」

「竜は賢い生き物です。アルブティガーを倒した虎吉さまの力を見て仲間を呼びに行ったのでしょう」

「お願いだ勇者よ!その偉大な力で竜を倒し、我らの無念を晴らしてくれ!」

 古の王が懇願している。

「あぁ・・・分かった・・・」

 こんな惨めな姿を見せて何が王だ。

「勇者さん・・・」

 童男が頭にかぶっていた輪っかを握って心配そうにしていた。

「・・・お主を神殿まで送り届ける・・・龍を退治して」

 童男にそう言うと童男は「違う」というように首を振った。

「龍は・・・」

 ドォオオオン!

「戻ってきたか」

 先ほどの竜が仲間をつれて戻ってきた。
 合計4匹、真ん中のやつが一番でかい。

 4匹の竜は某がいる雲の地面の遙か上を旋回していた。

「虎吉さま、中級の3匹はわたしが相手をします!虎吉さまは一番でかいのを!」

 ルナが杖をかざした。

「光よ稲妻となり、敵を射貫け・・・【雷矢(ライトニングアロウ)】!」

 ルナどのが一瞬にして9発の雷矢(ライトニングアロウ)を出し3匹の竜を攻撃した。

 3匹の竜はぎりぎりで躱すとルナの周りを旋回しだした。

 ルナの【雷矢(ライトニングアロウ)】の威力が上がっていた。その威力に中級の竜はうかつに手出しが出来なかった。

「よし!」

 中位の竜どもらはルナどのに任せて大丈夫だ。
 某は太刀を構えた。

「・・・・・・」

 2人が戦っている間、古の王は虎吉達から離れた。
 そして隠れて見ている古の王は懐から短剣を取り出した。

「出でよ・・・わが王国の守護神!」

 短剣が光り出した。

「・・・来いやぁ!」

 某が叫ぶと上位の龍が大口を開けて急降下してきた。
 【覚醒(アウェイクニング)】の力で思いっきり空へと飛んだ。某はまるで自分自身が竜になったかのごとく大空を飛んだ。
 
 そして竜の背中を斬った。
 竜が身体をくねらせ、某に噛みつこうとした。

 某は再び飛んで身近にあった岩ほどの大きなの雲に飛び移った。

 竜は追撃の手を緩めず、5本の鋭い刃で攻撃した。

「良い攻撃だ。アルブティガーほどじゃないがな!」

 マカミどのからいただいた天狗の太刀で竜の爪を防ぎながらあちこち浮かんでいる小さな雲に飛び移った。

「グゥオオオ」

 竜が周りを炎の海に変える覇気を発した。

「カァアアア」

 竜が咆哮を上げた。

 ドオオン!

 竜の炎が3発の鋭い刃となって某を襲ってきた。

「むん!」

 1発目を切り裂き、2発目を躱し、後ろから来る3発目を斬った。 アルブティガーと戦って鍛えた自身の力が、そしてルナどのがかけてくれた【覚醒(アウェイクニング)】の力が己を助けてくれた。

「せいや!」

 【覚醒(アウェイクニング)】がかかった力で天狗の太刀を使って炎の海を切り裂き、竜の頭へと太刀を振り下ろそうとした。

「!?」

 いったん竜から離れた。
 竜の背後に見えた神殿の内部に犬ほどの大きさの子竜がいた。

「どういうことだ?」

 子竜は鎖につながれていた。

「キュアアアア!」

 子竜が悲しそうに泣いていた。
 竜が咆哮を上げ子竜のところに飛んでいった。

 ドオオン!

 突然、黒い塊が現れた。
 ぶよぶよした形状がやがて形をなし岩のような皮膚で巨大な猿のような形となった。
 そして大きな両手で、竜の首を掴むと首をへし折った。

「虎吉さま、あれは・・・ゴーレム!?」

「ゴーレムとは何だ?」

 ルナどのが教えてくれた。

「はい、言い伝えでグローリは自らの力で竜類に匹敵する強力なモンスターを人工的に作り出したと言われています。その名は人造モンスター『ゴーレム』。言い伝え通りです。・・・あれは魔術によって操作されたと言われてますが・・・虎吉さまあれ!」

 ルナどのが指さす方に、禍々しい短剣を持つ古の王がいた。

「グゥオオオ!」

 怒り狂った竜がゴーレムに攻撃をした。
 ゴーレムは、巨大な腕で建物を崩しそれを投げ飛ばした。

「お願いです、僕を子竜のもとまで!」

 童男が叫んだ。
 某は童男の手を掴んで走り出した。

 ドオオン!

 目の前にもう一体のゴーレムが立ちはだかった。

「キュアアア!」

 大空から一体の魔物が飛んできた。
 魔物が巨大な風を巻き起こしゴーレムを吹き飛ばした。

「フウカ!?」

 フウカがゴーレムに噛みついた。
 ゴーレムはフウカを振りほどこうと動き、フウカを殴った。
 フウカは逆にゴーレムを持ち上げ、風の力で遠くに吹き飛ばした。

「フウカ、そこは任せる!」

 某は童男と友に子竜のもとへ。
 もう少しだ。

 ドオオン!

「まだおったか!」

 もう1体のゴーレムが姿を現した。

「童、そこで待っておれ。某がゴーレムを倒したら子竜の元まで行け!」

 太刀を構えた。
 ゴーレムが拳を振り下ろした。

 ザン!

 手首を斬った。

 すぐにゴーレム2発目の拳が振り下ろした。
 某は高く飛んだ。

 バン!

 天狗の太刀は、その岩のように硬いゴーレムの喉を切り裂いた。

 ゴーレムの手が某を握りつぶそうとした。
 指を切り落とした。

 地面に降りると再び飛んだ。

「くたばれ!」

 ゴーレムの額に天狗の太刀を深々と刺した。

 ゴーレムが形を失い、ブヨブヨの状態になった。
 そのブヨブヨが某を飲み込もうとした。
 その液体に身体が包み込まれたとき邪な念と嫌な記憶が見えた。

「喝!」

 邪念に己を見失わないよう、己の魂に気合いを入れ太刀を振った。

 ゴーレムは飛び散り、消滅した。

 神殿に着地すると童男が子竜を抱きかかえていた。
 鎖から解き放たれた子竜は、喜んでいるように見えた。

「お主が求めていたのは、この子竜か?」

「ありがとう!」

「よし、ルナどのの所に戻ろう」

  ルナどのの所に戻った。
 ルナどのの後ろに、王が隠れていた。

「お前が裏切ったのか?」

 ブヨブヨの中で消された記憶を見て分かった。

「違う!」

 王は首を振った。

「我らの栄光をこの国の力を永遠に守るために、そのために少しばかりで良いんだ。少しばかり世界のために数匹の竜に身を捧げてもらおうと思ったのだ」

 ガッ!

 王の胸ぐらをつかみ突き飛ばした。

「お主はもう死んでいる。見苦しいから、成仏しろ!」

 王は深くうなだれた。

 なんたる無様だ。

「理不尽だ・・・なぜ朕の時に・・・この偉大な国家が・・・」

 望みを叶えられなかった古の人間がうずくまりながら消えていった。

「勇者さん・・・」

 子竜を大事に抱えていた童男が、満足した顔でいた。

「お主は、このために現れたのか?」

「大切なものを守ろうとして守れなかった。その思いが心の奥底で消えずにいた。でも歴史から消された。それでも誰かに伝えたくて忘れて欲しくなくて・・・ずっと願っていた」

「それで某に頼んだのか?」

「うん、僕は必死に止めたかった。龍達には人間を嫌いになって欲しくなかったんだ。だって、ずっと仲良しだったんだ。でも・・・僕はあなたみたいに強くなかった」

 童男は、強くなれなかった自分を悔やみ瞳を潤わせながらしゃべった。

(某のように強く?)

「よく聞け・・・」

 童男に答えた。

「龍には伝える。人間に裏切ろうとしなかった心強き者がいたことを!」

「・・・これ・・・」

 童が自分がかぶっていたものを某に渡した。

「これ、本当は龍の角で作られた指輪なんだ。かつて王国が友情の証として、王国が大切に持っていたんだ。これを龍に返して欲しいんだ。・・・裏切ってごめんなさいって」

 それを言うと、童男は小竜を大事に抱えながら消えた。

 童男が消えると同時に我らも光に包まれた。
 光が消えると龍神がいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...