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龍神
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「西の国・・・龍神?」
少々理解が出来なかった。だが、確かにこの童女は人間では無い何か不思議なものを感じた。
「お主は本当に龍神の子供か?」
童女に尋ねてみた。だが、童女は童男にしがみついて、こちらを警戒している。
「ドラコー、サム!」
「え?」
聞いたことのない言葉を喋った。
「ボォオオオ!」
「あっち!」
突然、火を吹いた。
師匠から聞いた事がある。
我らの龍神は水を司るが、
だが、遙か西の地の龍神は別の名で呼ばれ我らが知っている龍神とは全く違う姿をして、火を司ると言っていた。
間違いなくこの童女は西の地の龍神の子供なのだろう。
信じられなかった。
師匠から聞いたときはそんな龍神がいるのかと疑っていたが、だが、本当にいたのだ。
「世界はどれだけ広いんだ?」
ここから遙か遠い西の地に火を司る龍神はいたのだ。世の中は自分が想像できないほどにとてつもなく広かった。
見てみたい・・・。
「この童を龍神に返そう!」
「うん・・・」
某達は、童を帰そうとずっとこちらを見ている龍神の方へ歩いて行った。
ボォオオオ!!
突然、某達は炎に包まれた。
バサァァァァァァ!
空から大きな妖怪が降りてきた。
龍神の童女がその妖怪のもとへ走った。
「龍神か!?」
某が知っている龍神では無い。その姿はまるでトカゲに翼が生えたような妖怪だった。
「グゥオオオオオオ!」
怒り狂っている。
おそらく、この童女の親なのだろう。
「まっまて・・・某の話を・・・」
龍神の目に殺意を感じる。我らは子供を返すつもりだったと伝えなければならない。
「ゴォオオオ!」
子供とは比べものにならない炎を吐いた。空を炎が走り、地面から凄まじいほどの水蒸気が立ち上っている。
後ろで震えている自分より幼い童の命を助けなければならない。
だが、子供の某に龍神を倒せるのか?
「守れない・・・?」
あの日、あの巨大な力に何も出来ず、両親を見殺しにしてしまったあの敗北の味が蘇った。
「力を!」
ゴゥ。
腹に力が湧き、全身に力がみなぎった。
父の形見の脇差しを抜くと龍神の炎に向けて一振りした。
「ウォオオオオオ!」
バァアアアッン!
龍神の炎が二つに割った。
これには龍神も驚いたのか炎を吐くのを止めた。
「某はこの童を守らねばならない!お主が童を殺すというのであれば、お主を殺す!」
腹から痛みが出てきた。
だが、絶対に退かない。
後ろで半泣きになりながら震える、童男を守る!
「カーマ!」
女の姿をした龍神が何かを叫んだ。
瞬間、雲の大地から無数の水玉が飛び出すと炎をかき消し、そして心地よい風が吹いた。
「人間の子よ、怖い思いをさせて申し訳ない」
水を司る方の龍神が近づいてきた。
透き通るような声だった。
「子供を殺すつもりはない、返すつもりだった・・・」
「分かっております。ただ、この者はこの子供の母親なのです。子供を人間に連れ去られて、冷静でいられなかったのです。お許し下さい・・・」
サァアアアア!
西の龍神が姿を変えた。青い瞳に赤い髪をして異国の服を着た人間の姿になった。
某達に何かを離している。
だが、異国の言葉なので何を言っているかわからない。
「我が子を返してくれて感謝すると言っています・・・そしてもう一つ・・・」
水を司る龍神が訳してくれた。
そして龍神は某の腹に手を当てた。
「”あの者”の血を飲んだのですか?」
見抜かれていたのか。脇差しで龍神の炎を切り裂いたのも奴の力のよるものだろう。
11歳のまだ童に過ぎない某が龍神と張り合った。
奴の血は、凄まじい力を与える。
だが、今は口の中に血の味がして、胸が苦しくなってきた。
悟られまいと必死になって耐えていた。
「父と母を奴に殺されたときから・・・ずっと!」
息が荒くなる。
「ハァアアア!」
火を司る龍神が口から炎と共に何かを吐き出した。石ころ程度の大きさの半透明の塊だった。
西の龍神がそれを某に差し出した。よく分からぬがそれを受け取り、懐に入れた。
「いきなさい、少年!」
瞬間、某と童の身体は雲の大地に飲み込まれた。
ザッバァアアアン!
再び水の中に入った。
「ブァハアアア!」
顔が水面から飛び出した。
もとの北上川に戻った。
「お~顔を出しおったか!」
川から顔が出ると身体が浮かび上がった。というより持ち上げられた。
師匠が飛んできて、某と童を掴んで川岸へと運んでくれた。
「行信・・・良かった生きておる!」
川岸で心配して立っていた兄者が某の無事を確かめると安堵の顔を浮かべた。
「ぐぅ!」
「どうした!?」
生きているのは良かった。
だが、奴の苦しみが身体から消えない。龍神に貰った物を思いだし懐から出した。
「おぉ、これは、これは・・・汝は龍神に会ったのか!?」
師匠が懐から出した龍神から貰った半透明の塊を見ると驚きの声を上げた。
「それは、竜涎(りゅうぜん)である!」
「りゅうぜん?」
「うむ、それは最強の薬だ。それを湯に溶かして飲むと、どんな痛みもどんな病気も治せる。龍神が滅多に人に渡さぬものだ」
「何と、お主は龍神に出会ったのか!?」
兄弟子が信じられない顔で某を見た。
某も未だに信じられなかった。
だが側には龍神の子供を守っていた童もいた。自分は確かに龍神に出会い、龍神から薬をいただいた。
「師匠、某の腹にある奴の血を消すことが出来ますか?」
「いや・・・無理だ」
「!?」
「奴は最強だ。痛みを抑えることは出来る。だが奴の血は龍神の力を持ってしても消すことは出来ぬ」
現れた望みが消えた。
どうやったらこの血から縁を切ることが出来るのか。
「じゃが、すぐに館に戻ってその傷みを抑えるとしよう。義経、弟を担ぐのだ!」
「はっ!」
兄者が某の肩を持ってくれた。
「ちなみに、これは龍神のよだれだ」
「へ???」
「まぁ早い話、龍神のよだれをお湯に溶かして飲むわけだな・・・急ぐぞ!」
「えっ、えええ、し、師匠・・・某は、龍神のよだれを飲む!?」
龍神のよだれを飲まされたおかげで鬼神の血の痛みは治まった。
「そなたなんという強者だ・・・」
「は?」
横になっていると側にいた兄者が某に感心した。
「鬼神の血を身体に取り込み、龍神から童を守り、龍神の童を龍神に返す。お主、是非拙者の力になってくれ!」
兄者が眼を輝かせて、某に力を求めている。
兄者のこれからの動きは分かっている。伊豆にいる兄上に会い、平家を倒して新しい世の中を作るのだろう。
「某は鞍馬山に帰ります・・・」
* * *
「行信、もう一度お願いする。力を貸してくれ!」
鞍馬山へ戻るとき、兄者から再度強く頼まれた。
某は首を横に振った。
そして某は兄者と別れた。
だが兄者は必ず迎えに来ると言っていた。
* * *
平泉に行ってから3年。14歳になったとき兄者から一通の文が届いた。
内容はこうだった。
―拙者と兄者は一度も会ったことがない。
つまり拙者は兄者を知らなければ、兄者も拙者を知らん。このまま会いに行っても拙者が弟だとは信じてはもらえん。
そこで某に力を貸して欲しいとのことだった。この時、某は14歳になっていた。
兄者は自分の望みを叶えようと全力を出している。そんな人に出会ったのも・・・・・・運。
結局、某は兄者を助けることにした。師匠に源氏の棟梁に関して何か情報は無いかと尋ねた。
「それならば相模の中村党を頼れ。やつらは頼朝とつながりがあり、源氏の味方をして名を上げたいと思っているらしい」
師匠の情報を頼りに天狗党の仲間を使って、兄者を中村党に紹介した。
これを好機と見た中村党は兄者を鎌倉殿に紹介した。兄者は見事、兄上と共に平家と戦うことが出来るようになった。
これによって某は兄者のもとで働くこととなった。
その後、兄者は源平合戦において数々の戦功を挙げ、兄者は敵味方両方に大きな存在となった。
「行信、やはりそなたは凄い!どうじゃ、兄者に会ってみんか?」
兄者が鎌倉殿に会おうと誘ってきた。自分の活躍は、この行信がいるからと教えるためだそうだ。
「いえ、某は鎌倉殿とは会いません・・・」
少々理解が出来なかった。だが、確かにこの童女は人間では無い何か不思議なものを感じた。
「お主は本当に龍神の子供か?」
童女に尋ねてみた。だが、童女は童男にしがみついて、こちらを警戒している。
「ドラコー、サム!」
「え?」
聞いたことのない言葉を喋った。
「ボォオオオ!」
「あっち!」
突然、火を吹いた。
師匠から聞いた事がある。
我らの龍神は水を司るが、
だが、遙か西の地の龍神は別の名で呼ばれ我らが知っている龍神とは全く違う姿をして、火を司ると言っていた。
間違いなくこの童女は西の地の龍神の子供なのだろう。
信じられなかった。
師匠から聞いたときはそんな龍神がいるのかと疑っていたが、だが、本当にいたのだ。
「世界はどれだけ広いんだ?」
ここから遙か遠い西の地に火を司る龍神はいたのだ。世の中は自分が想像できないほどにとてつもなく広かった。
見てみたい・・・。
「この童を龍神に返そう!」
「うん・・・」
某達は、童を帰そうとずっとこちらを見ている龍神の方へ歩いて行った。
ボォオオオ!!
突然、某達は炎に包まれた。
バサァァァァァァ!
空から大きな妖怪が降りてきた。
龍神の童女がその妖怪のもとへ走った。
「龍神か!?」
某が知っている龍神では無い。その姿はまるでトカゲに翼が生えたような妖怪だった。
「グゥオオオオオオ!」
怒り狂っている。
おそらく、この童女の親なのだろう。
「まっまて・・・某の話を・・・」
龍神の目に殺意を感じる。我らは子供を返すつもりだったと伝えなければならない。
「ゴォオオオ!」
子供とは比べものにならない炎を吐いた。空を炎が走り、地面から凄まじいほどの水蒸気が立ち上っている。
後ろで震えている自分より幼い童の命を助けなければならない。
だが、子供の某に龍神を倒せるのか?
「守れない・・・?」
あの日、あの巨大な力に何も出来ず、両親を見殺しにしてしまったあの敗北の味が蘇った。
「力を!」
ゴゥ。
腹に力が湧き、全身に力がみなぎった。
父の形見の脇差しを抜くと龍神の炎に向けて一振りした。
「ウォオオオオオ!」
バァアアアッン!
龍神の炎が二つに割った。
これには龍神も驚いたのか炎を吐くのを止めた。
「某はこの童を守らねばならない!お主が童を殺すというのであれば、お主を殺す!」
腹から痛みが出てきた。
だが、絶対に退かない。
後ろで半泣きになりながら震える、童男を守る!
「カーマ!」
女の姿をした龍神が何かを叫んだ。
瞬間、雲の大地から無数の水玉が飛び出すと炎をかき消し、そして心地よい風が吹いた。
「人間の子よ、怖い思いをさせて申し訳ない」
水を司る方の龍神が近づいてきた。
透き通るような声だった。
「子供を殺すつもりはない、返すつもりだった・・・」
「分かっております。ただ、この者はこの子供の母親なのです。子供を人間に連れ去られて、冷静でいられなかったのです。お許し下さい・・・」
サァアアアア!
西の龍神が姿を変えた。青い瞳に赤い髪をして異国の服を着た人間の姿になった。
某達に何かを離している。
だが、異国の言葉なので何を言っているかわからない。
「我が子を返してくれて感謝すると言っています・・・そしてもう一つ・・・」
水を司る龍神が訳してくれた。
そして龍神は某の腹に手を当てた。
「”あの者”の血を飲んだのですか?」
見抜かれていたのか。脇差しで龍神の炎を切り裂いたのも奴の力のよるものだろう。
11歳のまだ童に過ぎない某が龍神と張り合った。
奴の血は、凄まじい力を与える。
だが、今は口の中に血の味がして、胸が苦しくなってきた。
悟られまいと必死になって耐えていた。
「父と母を奴に殺されたときから・・・ずっと!」
息が荒くなる。
「ハァアアア!」
火を司る龍神が口から炎と共に何かを吐き出した。石ころ程度の大きさの半透明の塊だった。
西の龍神がそれを某に差し出した。よく分からぬがそれを受け取り、懐に入れた。
「いきなさい、少年!」
瞬間、某と童の身体は雲の大地に飲み込まれた。
ザッバァアアアン!
再び水の中に入った。
「ブァハアアア!」
顔が水面から飛び出した。
もとの北上川に戻った。
「お~顔を出しおったか!」
川から顔が出ると身体が浮かび上がった。というより持ち上げられた。
師匠が飛んできて、某と童を掴んで川岸へと運んでくれた。
「行信・・・良かった生きておる!」
川岸で心配して立っていた兄者が某の無事を確かめると安堵の顔を浮かべた。
「ぐぅ!」
「どうした!?」
生きているのは良かった。
だが、奴の苦しみが身体から消えない。龍神に貰った物を思いだし懐から出した。
「おぉ、これは、これは・・・汝は龍神に会ったのか!?」
師匠が懐から出した龍神から貰った半透明の塊を見ると驚きの声を上げた。
「それは、竜涎(りゅうぜん)である!」
「りゅうぜん?」
「うむ、それは最強の薬だ。それを湯に溶かして飲むと、どんな痛みもどんな病気も治せる。龍神が滅多に人に渡さぬものだ」
「何と、お主は龍神に出会ったのか!?」
兄弟子が信じられない顔で某を見た。
某も未だに信じられなかった。
だが側には龍神の子供を守っていた童もいた。自分は確かに龍神に出会い、龍神から薬をいただいた。
「師匠、某の腹にある奴の血を消すことが出来ますか?」
「いや・・・無理だ」
「!?」
「奴は最強だ。痛みを抑えることは出来る。だが奴の血は龍神の力を持ってしても消すことは出来ぬ」
現れた望みが消えた。
どうやったらこの血から縁を切ることが出来るのか。
「じゃが、すぐに館に戻ってその傷みを抑えるとしよう。義経、弟を担ぐのだ!」
「はっ!」
兄者が某の肩を持ってくれた。
「ちなみに、これは龍神のよだれだ」
「へ???」
「まぁ早い話、龍神のよだれをお湯に溶かして飲むわけだな・・・急ぐぞ!」
「えっ、えええ、し、師匠・・・某は、龍神のよだれを飲む!?」
龍神のよだれを飲まされたおかげで鬼神の血の痛みは治まった。
「そなたなんという強者だ・・・」
「は?」
横になっていると側にいた兄者が某に感心した。
「鬼神の血を身体に取り込み、龍神から童を守り、龍神の童を龍神に返す。お主、是非拙者の力になってくれ!」
兄者が眼を輝かせて、某に力を求めている。
兄者のこれからの動きは分かっている。伊豆にいる兄上に会い、平家を倒して新しい世の中を作るのだろう。
「某は鞍馬山に帰ります・・・」
* * *
「行信、もう一度お願いする。力を貸してくれ!」
鞍馬山へ戻るとき、兄者から再度強く頼まれた。
某は首を横に振った。
そして某は兄者と別れた。
だが兄者は必ず迎えに来ると言っていた。
* * *
平泉に行ってから3年。14歳になったとき兄者から一通の文が届いた。
内容はこうだった。
―拙者と兄者は一度も会ったことがない。
つまり拙者は兄者を知らなければ、兄者も拙者を知らん。このまま会いに行っても拙者が弟だとは信じてはもらえん。
そこで某に力を貸して欲しいとのことだった。この時、某は14歳になっていた。
兄者は自分の望みを叶えようと全力を出している。そんな人に出会ったのも・・・・・・運。
結局、某は兄者を助けることにした。師匠に源氏の棟梁に関して何か情報は無いかと尋ねた。
「それならば相模の中村党を頼れ。やつらは頼朝とつながりがあり、源氏の味方をして名を上げたいと思っているらしい」
師匠の情報を頼りに天狗党の仲間を使って、兄者を中村党に紹介した。
これを好機と見た中村党は兄者を鎌倉殿に紹介した。兄者は見事、兄上と共に平家と戦うことが出来るようになった。
これによって某は兄者のもとで働くこととなった。
その後、兄者は源平合戦において数々の戦功を挙げ、兄者は敵味方両方に大きな存在となった。
「行信、やはりそなたは凄い!どうじゃ、兄者に会ってみんか?」
兄者が鎌倉殿に会おうと誘ってきた。自分の活躍は、この行信がいるからと教えるためだそうだ。
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