ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第3章「ホリィ・ソルジャーズ」

第74話「兄妹の過去」

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長い時間イーサカ達が、車屋の前で待っていると、ようやくイーグルが出てきた。
「いや~すまん、すまん、車買うのに手続きとか、色々かかったもんじゃから時間とられたわい」
「まったく、遅えぜ~イーグルさん~おれもう腹ペコだぜ~」
「確かにね…私もお腹空いたわ」
「僕も」
「おれも」
「私も」
五人の予期せぬお腹空いた攻撃にイーグルは、参ったらしく、五人にこう提案した。
「解った、解った、ならホテルに行こうか…もう夕暮れ時だしな、飯はそこで摂ればいいじゃろう?」
イーグルの意見に異議を唱える者はいなかった。ホテルで食事を摂ることとなり、全員がホテルの美味しい食事に舌を打ちながら、談笑していた。
「はっはっ、その車をッ!フシルシチョフに売ったって」
「ああ、知人から聞いた話じゃ、間違いないぞ!しかも売ったのはその知人自身なんじゃからな」
「だから、今こんなにソ連とアメリカに緊張が走っているんですね」
「全く、その男のせいで、大戦がまた起こったら、戦犯はその男ですな」
「まさか~そんな訳ないでしょう?責任があるとしたら、その車を騙されて買った、フシルシチョフよ」
「はっはっ、確かに戦犯はその男だ」
そうやって、また一同が笑うと、イーサカが冗談ではなく真剣な話を始めた。
「なぁ…メアリー…一つ聞きてえんだが…」
顔から笑みが消えた、イーサカにメアリーもまた真剣な表情で答えた。
「何かしら?」
「お前達兄妹がおれ達に協力を申し出た理由だ…聞かせてもらおうか…」
「わかったわ…私たちはある男に復讐をしようと思って、あなた達に協力を申し出たのよ」
「復讐じゃと…」
「あれは…あれは…」
とメアリーが、そこまで言いかけたところで代わりにヤングマンが話し始めた。
「いいんだ、メアリー…おれが代わりに話そう…あれはもう10年くらい前のことだ、突如おれたちの両親がある男に警察署に連れていかれたんだ…そこで父は拷問を受け殺され、母は連れていかれた男に辱めを受けた後に父と同様拷問で殺された!だからおれ達は、その男に復讐するために十年間生きてきたんだッ!」
「つまり、こう言いてえ訳だな…復讐のために力を貸して欲しいと…」
「その通りよ!私たちに力を貸して頂戴!」
イーグルは、暫く黙った後に答えた。
「わかった…ただし条件がある…その復讐は全てヤング…お前さんがやれ…それが条件じゃ…」
メアリーは、一瞬納得しかねた様子だったが、首をコクリと縦に動かした。
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